スターウッド、MICEで訪日強化-MICE関係者招聘、新システムで直販強化も
スターウッド・ホテル&リゾート・ワールドワイドは国内ホテルへのMICEの誘致を強化し、東日本大震災発生以来落ち込んだインバウンドの回復をはかる。11月15日に開催した記者会見で、日本スターウッドホテル日本・韓国・グアム地区統括社長のロタ・R・ベール氏は「MICE需要をあげていくのが日本復興の鍵」と述べ、MICEは団体単位であるため利用者も多く、宣伝効果も見込めることから、誘致に注力したい考えを示した。
また、会議に先立ち、来日したアジア・太平洋地区のPCOなどMICE担当者38名で構成する同社のMICEアドバイザリーボードメンバーと都内でMICEに関する会議を実施。同社アジア太平洋地区会長兼社長のミゲル・コウ氏は、MICE関係者を日本に招くなどの取り組みを通し、日本の現状を実際に見てもらうことで「日本が安全だというメッセージを皆で伝え、ネガティブな印象を払しょくしていきたい」と意気込みを示した。
同社によると、国内15グループホテルにおいて、震災後2ヶ月でMICE関連のキャンセルは11万7000泊分にのぼった。また、国内企業の海外でのMICEは6月から復調傾向で震災前の91%まで戻り、国内でのMICEも7月以降から大幅に回復したが、海外企業の日本でのMICEはダメージが大きいという。同社アジア太平洋地区営業部門担当副社長のアリソン・テイラー氏によると、MICEは同社収益の20%を占める大きな市場だが、震災で、各ブランドにもよるが収益が約5、6%減となった。しかし、8月以降からインセンティブを中心に回復基調にあることから「願わくば震災前のレベルまでに戻していきたい」と述べた。
こうした取り組みの一環として、スターウッド・ホテル&リゾート・ワールドワイドでは、グループホテルが各ホテルの客室や宴会場などについて、空席状況の検索や見積もり、予約ができるオンラインシステム「アイザック(ISAC)」を国内ホテルで導入し、海外からのMICE需要の取り込みをはかる。同システムは各国ホテル間、旅行会社間の問い合わせルートを簡略化し、顧客に対する回答の迅速化をはかるためのもので、各国で順次導入を開始。国内ホテルでは2011年12月をめどにウェスティンホテル東京とセントレジスホテル大阪で、2012年末までに国内全15ホテルに取り入れる計画だ。
日本スターウッド・ホテル日本・韓国・グアム地区統括営業・マーケティング本部長の矢島隆彦氏によると、同システムの導入により、旅行会社経由でのMICE需要に加え、企業との直接取引の受注拡大もはかる考え。「旅行会社経由と直販に対応できるようにすることで、多角的にアプローチしていきたい」と述べた。
さらに、MICE専用日本語版ウェブサイトを11月末に立ち上げ、国内15ホテルをMICEに特化し、専属スタッフがサポートを実施。国内企業が海外で実施検討している国際会議を国内での実施へと誘導したい考えだ。