バンコクの水位低下傾向か、影響長期化見込む旅行会社も
タイの洪水被害が長引くなか、バンコクでは一部の観光地で冠水や浸水のため観光ができない状況も発生しているが、水位は徐々に下がりはじめているようだ。
タイ国政府観光庁(TAT)によると、10月30日現在、10月29日、30日はバンコクは満潮だったため水位が上昇し、29日の午前8時45分には最大の2.5メートルに達した。バンコク都心部で影響はないが、チャオプラヤー川岸の主要な観光スポットや周辺地域の一部では浸水が確認されており、「バンコクへ旅行中の皆様は、チャオプラヤー川岸の観光スポットへの訪問はできるだけ避けてください」とした。
また、ドンムアン空港は洪水の影響で閉鎖しており、国内線を就航していたLCCのノックエアー(DD)やオリエント・タイ航空(OX)は、通常通りの営業を続けているスワンナプーム空港に拠点を移して運航しているという。
ただし、現在はピークも過ぎ、水も徐々に引いてきているようだ。ニュー東洋トラベルバンコク支社の渡辺俊男氏は10月31日、チャオプラヤ川の水位について「昨日よりも今日、というように、1日ごとに水は少なくなってきている」という。
ただし、一部地域では観光できない状況が続いており、午前9時現在、リバーシティーや暁の寺院船着場などが冠水で観光できず、川沿いのホテルでは一部のレストランが閉鎖されており、リバーシティーから王宮や暁の寺を回るディナークルーズも11月5日まで閉鎖中だ。一方、王宮は水が引いたため観光ができる。エメラルド寺院や大理石寺院、涅槃仏寺院、観光可能とした。
また、在タイ日本大使館によると、タイ政府はバンコクなど21都県で31日までの平日を臨時休日としていたが、11月以降の延長は見送る方針だという。
▽旅行会社各社、催行中止期間の延長も
一方、旅行会社各社は影響が長期化する見通しから、パッケージツアーの催行中止期間を延長する動きが続いている。ジャルパックは10月28日にバンコク滞在のパッケージツアーについて、催行中止期間を11月15日出発分までに延長。11月16日以降については、11月30日出発分までで水害を理由に取り消す場合、取消料を免除するとした。
同社によると、10月13日から10月31日までで約1000名のツアーキャンセルが発生。スワンナプーム国際空港が現地住民の避難所となる可能性もあり、「今後も影響が長引くのでは」と懸念を示した。クラブツーリズムも影響は長引くとの見通しから、アユタヤとバンコクに滞在するツアーを11月20日分まで催行中止とした。
また、阪急交通社によると、10月28日時点、10月24日から11月30日のツアーキャンセルは約600人となった。日本旅行も「ちょうどタイの観光シーズンであるため、影響は少なからずある」とし、洪水の早期収束を期待したい考えを示した。
※いずれも10月31日午後7時現在の情報