ANAグ、中間期は経常利益17%減に、最終益は228億円に拡大
全日空(NH)グループの2012年3月期第2四半期(2011年4月1日~9月30日)の連結業績で、売上高は前年比3.0%増の7048億4100万円、営業利益は11.8%減の501億3300万円、経常利益は17.4%減の375億9600万円となった。震災後の影響や海外景気、原油価格の高騰などの影響で減益となったものの、黒字は確保した。また、当期純利益は特別損失が大幅に減少したことにより、前年に比べて72.1%増となる228億5600万円となった。
航空運送事業は、売上高が3.2%増の6310億円と微増し、営業利益は11.2%減の457億円。このうち、国際線は震災直後1ヶ月間は大幅に需要が落ち込んだものの、4月中旬からビジネス需要が牽引。7月以降はレジャー需要も堅調に推移したため、売上高は12.5%増の1596億円と、前年に比べて178億円の増収となった。
また、路線網では、成田/仁川線を7月に再開し、減便していた成田/北京線も7月1日に復便。需要が伸びている成田/ホノルル線は機材を大型化。こうした取り組みにより、旅客数は9.2%増の284万667人となった。期間中の座席供給量は21.5%増と大幅に拡大したが、旅客輸送量が10.7%増に留まったため、利用率は7.0ポイント減の72.1%となった。
一方、国内線は震災による需要低迷により一部減便や機材小型化を実施。お盆期間は臨時便を設定したり、週末割引を新たに設定するなど需要を喚起したが、売上高は1.4%減の3278億円、旅客数も8.3%減の1921万7117人となった。座席供給量は前年並みにとどめたが旅客輸送量が8.5%減となり、利用率は5.6ポイント減の60.0%だった。
旅行事業では、売上高が7.7%減の784億9500万円と減少し、営業利益も27.1%減と前年を下回ったが19億2200万円の黒字を確保。海外旅行は震災の影響で第1四半期に旅行需要が減退したものの、円高基調が追い風となり、7月以降は中国を除いてほぼ全方面で震災以前の水準にまで回復。主力のANAハローツアーは、アジアを中心に夏場の旅ドキ商品が好調で、ダイナミックパッケージの取扱高も大幅に伸ばした。
▽通期業績予想は売上高のみ下方修正
2012年3月期(2011年4月1日~2012年3月31日)の連結業績予想については、前回予想から売上高のみ下方修正する。ANAグループでは、第2四半期までは当初の計画通りに推移しているものの、下半期以降の見通しが不透明であると判断。7月29日に発表した第1四半期決算の業績予想と比べて、国内外の景気後退懸念や為替影響などにより、営業収入が100億円程度減少するとの見通しだ。
ただし、引き続きコスト削減に努めることで減収見込額と同額の営業費用を削減できるとし、営業利益、経常利益、当期純利益の見通しは変更しない。これにより、通期の業績予想では売上高を前回の1兆4100億円から100億円少ない1兆4000億円とし、営業利益は700億円、経常利益は360億円、当期純利益は200億円のまま据え置いた。