アクセスランキング、1位はタイ洪水、2位は「新IT運賃」
[総評] 今週は、タイで発生している洪水について、その影響や旅行大手各社の対応状況をお伝えした記事が1位になりました。報道によると、300人近い方が亡くなられているとのことで、早く収まってほしいと願うばかりです。
タイではこの数年、空港閉鎖やデモなど受難続きで旅行需要への影響も心配ですが、常に老若男女の人気を集める有力なデスティネーションですから、きっと力強く復興してくれると信じています。また、震災から間もない5月にタイ国旅行業協会(TTAA)が約150名の大型視察団を日本に送ってくれたこともはっきりと記憶していますし、私も何か力になれることがないか考えてみようと思います。
アクセスランキング2位には、JATA国際観光フォーラムで航空座席に焦点を当てて議論をしたシンポジウムの内容についての記事が入っています。レジャー向けの座席をどう確保するのかが主な議題でしたが、PEX運賃で商品造成をする弊害、チャーターやLCCの可能性などそれぞれに興味深い意見があり、2時間でもまったく足りないと感じるほどでした。
特に、記事でも書きましたが「Individual Trade Fare」、つまり航空会社が個別の旅行会社ごとに設定する「新IT運賃」についての提案はユニークなものでした。確かにPEX運賃で商品造成をすることは、例えばポテトチップスのメーカーがじゃがいもを買うのに、農作物の無人販売所や道の駅に行かなければならないようなものです。
個人的には、旅行会社と航空会社の関係において、航空会社が旅行会社の流通インフラや消費者への説明機能などを使う以上は、その対価を有形無形で支払うべきではないかと考えていますが、実際の大きな流れとしては、逆にコミッションカットやIT運賃の減少など、旅行会社にとっては望ましくない方向に物事が進んできています。
ゼロコミッションが顕在化した頃の取材で、「フィービジネス」という言葉が良く語られました。コミッションがなくなれば、旅行会社がより良いサービスや商品を提供して消費者から対価を得られ、旅行業の健全な姿への転換が進む、というような論調です。しかし、消費者からフィーをもらえるんだからコミッションは支払わなくても良い、というのは本来おかしな理屈でしょう。PEX運賃での商品造成にも同じような違和感を覚えます。
現在の航空関連の問題の多くは、「売りたい」という旅行会社側のニーズと実際の座席供給量のバランスが取れていないために起きているのではないかと感じてしまいます。需要側が多すぎるのか供給側が少なすぎるのかわかりませんが、売るものを手に入れるために、不利な条件を我慢せざるをえないという仮定です。
その意味では、チャーターは旅行会社が自らこのバランスを崩すツールになります。そして、LCCは未だ日本人や日本市場が体験したことのない世界をもたらすはずですから、商習慣にも思いもつかないような変化を起こす可能性が十分にあります。もしそれが現実のものになるとすれば、その変化の波に「巻き込まれる」のではなく、「自ら乗ろう」とする意思が重要になるはずです。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年10月第2週:10月7日0時~10月14日20時)
第1位
◆タイ洪水でアユタヤツアー中止、バンコクへの振替も(11/10/12)
第2位
◆変化する航空仕入、LCCやチャーターの可能性は-JATA航空シンポジウム(11/10/11)
第3位
◆ジェットスター・ジャパン、「最低価格保証」実現に向け国交省と調整予定(11/10/11)
第4位
◆JAL大西社長、羽田国際線「利用率90%以上多い」(11/10/12)
第5位
◆JATA消費者相談室、旅行会社の疑問に回答-JATA旅博セミナーで(11/10/12)
第6位
◆近鉄、「クラツー専用列車」、12月23日運行開始へ(11/10/10)
第7位
◆主要58社、8月海外旅行は半年ぶりプラス、訪日4割減も国内2%増(11/10/10)
第8位
◆日本航空、燃油サーチャージ据え置き、12月以降発券分(11/10/12)
第9位
◆スカンジナビア航空、21路線新設へ、来年夏スケから(11/10/12)
第10位
◆全日空、8月の国際線旅客は31%増、利用率も微減まで回復(11/10/13)