変化する航空仕入、LCCやチャーターの可能性は-JATA航空シンポジウム
今年のJATA国際観光フォーラムでは、「航空会社と旅行会社のパートナーシップを再検討~座席の安定確保への具体策を徹底討論」と題したシンポジウムが開催された。航空新聞社取締役編集長の石原義郎氏をモデレーターに、ジェイティービー航空政策室室長の清水直樹氏、エヌオーイー(NOE)取締役東京レジャー営業本部長の橋本肇氏、全日空(NH)常務取締役執行役員の片野坂真哉氏、シンガポール航空(SQ)日本支社長のデイヴィッド・リム氏が登壇。座席の安定確保、運賃形態、LCC、チャーターなどのテーマにおける両者の関係について活発な議論が行われた。
▼厳しさ増すレジャー用座席確保
冒頭、NHとSQからそれぞれの事業戦略が説明されたあと、石原氏は旅行会社への航空座席の供給が厳しくなっている現状について、JTBの清水氏とNOEの橋本氏に意見を求めた。清水氏は、BtoCで代理販売する消費財としての航空座席と、商品を造成する生産財としての航空座席があると説明。「そのなかでも、BtoBの生産財としてのIT運賃座席の供給がタイトになってきている」との認識を示した。清水氏によれば、一部推測を含めて、全体のIT運賃座席の比率は発券人数ベースで2009年から10ポイントずつほど減っており、現状では50%ほどにまで落ちているという。
一方、橋本氏も同じく厳しい現状認識だ。「航空会社によって戦略は異なるものの、大きな流れとしては、レジャーのBtoBの座席確保については非常に心配している」と懸念を表し、特にインバウンド需要が回復してきたときの座席確保は、中小旅行会社にとって大きな課題になるとの認識を示す。
これを受けて、NHとSQは旅行会社との関係に言及。NHの片野坂氏は「団体からFIT、間際化など時代の流れにあわせて、航空会社もレベニューマネージメントを強化するようになった」と現状を説明。「航空会社にとっては、航空券を最後まで死なせないことが大事。そのためにもリアルタイムで代理店を通してマーケットとつながっていくことが重要だ」と述べた。また、SQのリム氏は、航空会社のプロダクトやサービスを消費者に伝える役割、ローシーズンの需要喚起の役割において旅行会社の力は大きいとし、「持続可能なパートナーシップを継続していくことが大切」と強調した。