フランス、新素材で多面性アピール、ワークショップ開催で
フランス観光開発機構(ATF)は10月4日、毎年恒例となっている観光ワークショップ「Sakidori France」を都内で開催した。現地からは28の企業・団体の担当者33人が来日。開会の挨拶に登壇したATF在日代表のフレデリック・メイエール氏は、現地から多くのセールス担当者が来日していることについて、「日本マーケットが重視されており、喜ばしいこと」と話した。また、フランスを訪れる日本人旅行者は「より興味深く、よりユニークな体験を求めている人が多い」と述べ、フランスがそれに応えるだけの素材を備えたデスティネーションであることを強調した。
メイエール氏はワークショップ後のインタビューで、震災後の日本人渡航者数について、「それほど大きな変化はなく、アルザス、ボルドー、ブルゴーニュなどでは増加傾向にある」と話し、「パリは若干減少したものの、もともと日本人渡航者が多い場所であり、災害時には影響を受けやすい」といい、現在は回復基調と伝えた。
また、日本にフランスの観光局が開局して40年経ち、日本はリピーターも多くすでに成熟したマーケットであると指摘。その上で、新しいものに敏感で情報通の人が多いが、フランスの22の個性的な地方にはまだまだ新しい発見の余地があり、そうした人々に対し常に新しくユニークな感動を与えられると自信を示した。今後はソーシャルメディアを利用した宣伝活動に注力するほか、現地で供給されるサービスなどの質をも高めていきたいと話した。
なお、パリでは観光収入の4分の1をMICEマーケットが占めており重要視している。ビジネス客をターゲットとした取り組みでは、数年前から始まったホテルの厳密な格付けのほかに、高級ホテルの数を2020年までに7000室にまで増やすのが目標。さらに質の高いMICEをめざす。2013年に欧州文化首都となるマルセイユでもホテルキャパシティを増やしており、初の5ツ星ホテルもオープンする予定だ。
▽新たな観光スポットオープンやモン・サン・ミッシェルの改修工事も進む
プレゼンテーションでは広報担当の佐藤由紀子氏が登壇し、出展者の最新情報や特徴を伝えた。パリ市では2012年にルイ・ヴィトン財団美術館、コンサートホール「フィルハーモニー・ド・パリ」、ボーテ財団の資料館などが順次オープン。また、ギャラリー・ラファイエット百貨店のジャパニーズ・カスタマーサービスが2011年夏に拡張リニューアルオープンしている。
このほか、モン・サン・ミッシェルでは、砂の堆積が進み本土と地続きなることを防ぐため、現況の橋を撤去し新たに建設が進められている。これにあわせ大陸側に移転する新しい駐車場、受付案内所が2012年4月28日にオープンする予定だ。また、新たなアクセス方法として馬車も登場する。
コンコルドホテルでは、ニースのパレ・ド・ラ・メディテラネのシービュールームとエグゼクティブルームがリフレッシュオープン。パリのホテル・ド・クリヨンのレストラン「アンバサデュール」のシェフ、クリストファー・アッシュ氏がミシュランで星を獲得したことも伝えられた。
交通機関では、2011年12月11日に開通するレイル・ヨーロッパのライン/ローヌ線について話し、フランス東部を通りフランクフルトなどへアクセスする新しいルートを紹介した。また、エールフランス航空(AF)が10月2日にマルセイユからトゥールーズへ直行便を就航したニュースのほか、2012年末までにA380やA330、B777型機など長距離路線向のけ全機材を一新させる計画も伝えた。マルセイユは2013年の欧州文化首都に選出されており、現地では活発に新開発が進められているという。