JTB田川氏、アジアでの地位確立重視、「観光による復興」も

  • 2011年9月25日

JTB代表取締役社長の田川博己氏  ジェイティービー(JTB)代表取締役社長の田川博己氏は9月21日、アジア・イノベーション・フォーラム2011の講演で、JTBグループのアジアにおける中期グローバル戦略を語った。同氏は「成長のためにはアジアの中でいかにJTBの地位を築いていくかが大切」と述べ、アジア経済の成長や交流人口の増加をテコに、アジアを含む世界各地の拠点を相互につなぐ、ネットワーク型の企業グループの形成をめざす考えを改めて示した。

 田川氏はJTBの強みを「ランドオペレーターとしての斡旋力」とし、強みを最大限に取り入れて戦略を立てていくとした。同氏は、日本人出国者のうち約8割に対し、同グループが現地でランドオペレーター業務を実施しており、諸外国の企業からも高い評価を得ていると強調。また、近年日本企業の海外進出が増加しており、日本国内だけでなく海外での営業活動の必要性も指摘。先ごろ中国政府からJTB新紀元が試験的なアウトバウンド業務経営を認可されたことを受け、在留邦人への法人営業を実施し、旅行需要の獲得をはかる考えだ。

 また、田川氏は講演テーマの1つとして、東日本大震災からの復興にツーリズムがどのように寄与できるかを語った。同氏によると、復興へのまちづくりに対し、観光の視点から交流人口の増加と地域産業の活性化へとつなげるためのプロジェクトを立ち上げ、各県知事や観光団体などと進めているという。田川氏は「(観光系の)ソフト産業をいかに地元に根付かせるかが今後の課題」と述べ、今までJTBグループが実施してきた、地域活性化のための活動の成果を東北復興に生かしていきたいとした。