JTB、10年度決算は最終黒字50億円
-震災影響額は340億円に、海旅が堅調
ジェイティービー(JTB)の2011年3月期連結(2010年4月1日~2011年3月31日)業績は、売上高が前年比4.0%増の1兆1666億8000万円、営業利益が81億9000万円(前年:33億9200万円の損失)、経常利益が73億7200万円(同:16億6800万円の損失)、純利益は50億4800万円(同:145億5700万円の損失)で黒字転換した。東日本大震災による旅行キャンセルや手控えなどの影響額が340億円発生したものの、円高による海外旅行者数の増加やアジアからの訪日外客の伸びにより全体的に回復基調だった。
JTB代表取締役社長の田川博己氏は、「厳しかった2009年を乗り越えるため実施した経営構造改革が、最終的に数字として出てきた」と評価。今後、震災の影響が懸念されるが、「こういう時期だからこそ自ら仕掛けて商品、需要をつくりださないといけない」と話し、震災復興や需要創造に向けて取り組む姿勢を示した。
なお、販管費で、ウェブプロモーションやルックJTBの商品改革の経費が多く発生したことで広告宣伝費用が25.7%増と拡大したものの、システム関連の既存固定資産の償却、事業再編による店舗や事業所の統合、移転で支払家賃を削減したことなどで全体では40億1100万円の経費を削減した。2011年3月末での連結対象会社数は国内86社、海外81社、持分法適用会は20社で、前年に比べて9社減少している。これは、中核事業への集中化とグループ内の事業再編によるもの。また、従業員数は1308名の減少し2万6218名となった。
▽旅行事業では海外が堅調
旅行事業の売上高は4.2%増の1兆321億1800万円で、このうち海外旅行の売上高はルック、団体、メディア、FITいずれも前年を上回り、12.1%増の4562億6900万円となった。国内旅行は苦戦し、2月まではほぼ前年並みを維持していたが、震災の影響で春休みの団体旅行でキャンセルが発生するなどし、2.9%減の5240億2600万円と前年を下回った。訪日旅行も2月までは16か月連続で前年を超えており、18.1%増の518億2300万円となった。
また、夏休みの旅行需要については伸び悩んでいるとし、第1四半期の国内旅行は前年の7割弱、海外旅行が約8割、第2四半期では国内が約8割弱、海外が9割弱になるとの見方を示した。