夏の長期休暇需要取り込みへ
JTBや日旅が海外商品投入-ANAセは国内プラン
企業の節電対策などで見込まれる夏休みの長期化、また分散化による新規需要を見込み、旅行会社各社が長期滞在型の商品を設定している。例えば、日産などの一部企業では例年に比べて長期の夏休み導入を検討しているほか、一部大学でも夏休みを前倒しする予定だ。こうした変化から、夏休みの多様化が予想され、国内外の長期滞在に対応した商品を投入することで新規需要の取り込みをはかるねらいがある。日本旅行業協会(JATA)VWC2000万人推進室でもロングステイ人気国調査で上位5ヶ国の各観光局と連携し、長期滞在をテーマにした過ごし方や滞在プランを提案。多方面から長期滞在を促していく。
JTBグループでは、ルックJTBで「ロングバケーション日数長めがおトクな海外旅行」を7方面14コース設定し、旅行日数が長くなるほど1泊分の料金が安くなるようにした。旅行日数は方面によって最長で20日間まで延長できるなど、休暇期間にあわせて選べるように工夫。例えば、アストン・ワイキキ・サンセットであれば、1部屋4名利用で大人1名あたり13万7000円から24万8000円。最長で14日間まで延長できる。また、JTBガイアレックでは「海外ロングバカンス」と題し、将来海外移住を検討している人を対象に、ハワイや台湾、マレーシアの長期滞在型商品を企画。15日間から30日間まで、旅行日数を自由に選ぶことができるほか、往復の航空券を含まない現地集合、解散コースも新設した。
日本旅行では、ベストツアーで「ロングヴァカンス」を9方面で設定し、内容を詰め込むのではなく、ゆったり、のんびり楽しめるような内容とした。通常3、4日間が主流のソウルや台北、香港なども5日間から7日間で設定。ホタル鑑賞プランやピピン島観光プランなど、そのデスティネーションならではの過ごし方を提案するおすすめプランも用意した。例えば、バンコクは6日間から8日間の設定で、3日間集中講座プランとしてタイ式足裏マッサージ資格取得プランやクイックタイ語講習プランなども追加代金で設定している。
ANAセールスは国内旅行商品でロングステイプランを展開する。6月9日から順次販売を開始する「ANAスカイホリデー 旅ドキ」では、北海道、九州、沖縄方面のパンフレットで「ロングde行っ得」を設定し、3方面で1600名の集客をめざす。一方、ダイナミックパッケージ「旅作」と全国のホテルが予約できる@ホテルでは、宿泊施設に3連泊すると夕食を1回付けるなどの特典を新たに設定している。
また、今回の長期休暇化により、今後の夏の旅行形態の変化が見込まれ、日本人の休暇を取得する感覚が変化する可能性もあり、長期滞在型の旅行者の増加にも期待がかかる。