ニュージーランド、震災後の順調なリカバリーをアピール-TRENZ2011開幕
(クイーンズタウン発 特派:塙千春)ニュージーランド旅行業界最大のトレードショー、TRENZ(Tourism Rendezvous New Zealand)が5月22日に南島のクィーンズタウンで開幕した。今年2月、南島観光のハブとなるクライストチャーチで大地震が発生し、現在も市内中心の主要ホテルが休業するなど不安材料もあるニュージーランドだが、今回のTRENZには23社の初出展者を含む約280社ものサプライヤーが出展。さらに地震前の目標を超える294社のバイヤーが世界31の国と地域から参加し、各国の注目の高さをうかがわせた。
2月22日に発生したクライストチャーチ大地震の影響で、2011年3月までの1年間で同国を訪れた外国人旅行者数は250万6639人と前年同期比で6.1%減、3月単月では11.4%減となった。しかし地震後2ヶ月のうちに日本以外のマーケットは既に復活しており、ニュージーランド航空(NZ)副CEOのノーム・トンプソン氏は、「国際線の旅客数はクライストチャーチ地震の翌月(3月)ですら、全体で約1%増、4月で約5%増を記録しており、今後の回復には自信を持っている」と話す。
また、23日の記者会見では、ニュージーランド政府観光局(TNZ)チーフエグゼクティブのケビン・ボーラ―氏が今後の見通しについて説明。昨年から今年にかけてヨーロッパの金融危機や、オーストラリアの洪水、クライストチャーチの地震、日本の津波などをマイナス要因として挙げつつ、「オーストラリア、中国マーケットの伸びが非常にパワフルであること、今年9月にはニュージーランド全土でラグビー・ワールドカップが開催されること、またニュージーランド航空の北米路線、日本、中国路線における座席数の拡大、中国系キャリアの新路線開設の予定もあることなどから、今後の展望は明るいと見ている」とコメントした。
今後のプロモーションとしては、スキー客にターゲットを絞った「スノー・キャンペーン」をオーストラリアで展開し、冬季の需要拡大をねらうほか、既にニュージーランド旅行に興味を持っている層に向け、インターネット、ソーシャル・ネットワーク、モバイル端末などのメディアを使ったキャンペーンを展開していくことを明らかにした。
▽クライストチャーチ、地震の影響は一部、旅行可能をアピール
また、クライストチャーチ・カンタベリー観光局チーフ・エグゼクティブのティム・ハンター氏は、現在のクライストチャーチ市内の状況について、「市内中心部の16ブロックのみ安全上の理由で閉鎖されており、大型バスを使ったツアーは宿泊地を近郊のアッシュバートンやオアマルに移動させるなどの動きが出ている。しかし市内の観光施設、アトラクション、FIT向けの宿泊施設の多くは通常通りオープンしている。今、もっとも大切なのは、遠慮と誤解から来る旅行自粛を控えてもらうことだ」と話した。TRENZは、25日まで4日間に渡って開催される。