破産の海外旅行開発、未出発の顧客対応など残務整理へ−負債約2.7億円

  • 2011年3月9日
 3月7日付で破産を申立てた第3種旅行業者の海外旅行開発が残務整理を進めている。東京商工リサーチ(TSR)によると、破産申し立ては受理されたものの、破産手続開始決定はされておらず、破産管財人も決定していない。これは、旅行中、および出発を控えた顧客の対応をするためで、破産手続開始決定までの間、同社の事業や財産を管理する保全管理人を選任する。

 旅行中、および出発を控えた顧客を含めて債権者の人数は不明だが、負債総額は約2億7000万円という。3月8日11時現在、事務所や電話の問合せなどには対応していた。海外旅行開発では、「出発を控えた顧客に迷惑をかけないよう最大限の努力をしたい」との姿勢を示している。

 破産に至った経緯は、TSRによると同社が以前からの事業採算悪化により累積赤字を抱えていたほか、最近では航空会社からのコミッション収入がなくなったことにも影響を受けていたという。経費や人員の削減などコスト抑制のための努力はしていたものの、売上が伸び悩み破産に至った。

 また、同社は「アビオンクラブ」の名前で会員組織を持っており、アイスランドやアフリカ、カナダなどへのオーダーメイド型ツアーを受託販売していた。レジャー以外にも、官公庁や大学、学校関係の海外視察旅行や修学旅行、団体旅行なども取り扱い、業務渡航も手掛けていた。2010年3月期の年商は10億円であった。

 日本旅行業協会(JATA)によると、JATAの各委員会やJATA主催のフォーラムなど、業界活動に協力的な会社だったという。また、同社と取引のあった旅行関連企業の営業担当者は、これまで支払い遅延などはなかったといい、前兆は感じられなかったとした。


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