年間倒産件数、3年連続で減、負債額も縮小−破産が8割、楽観論にはクギ

  • 2011年1月14日
 東京商工リサーチ(TSR)によると、2010年通年の旅行業の倒産件数は42件であった。2007年が50件、2008年が59件、2009年が56件と50件台が続いていたが、3年連続で減少して40件台におさまった。負債総額も56億4100万円(前年:86億2300万円)となった。また、宿泊業の倒産件数は103件(同:128件)、負債総額は706億4800万円(同:1278億9900万円)であった。

 旅行業の数値についてTSRでは、リーマンショック以降、海外旅行需要が低迷していたものの、2010年は円高を背景に回復傾向に転じて旅行会社の収益が増加し、また金融円滑化法による経営支援なども経営を支えたと分析している。

 ただし、年間42件の旅行業の倒産のうち、破産が35件と全体の83%を占めていることから、TSRでは、業績不振が続いて再建不能の状態で倒産にいたった実態を示していると分析。業界内の競争の厳しさを指摘した。

 なお、12月単月では、旅行業で倒産件数が2件(同:4件)となったものの、負債総額が9億300万円(同:2億9900万円)と増加。これは、アクセスインターナショナルが7億4000万円の負債を抱えて破産したことによるものだ。宿泊業の倒産件数は10件(同:13件)、負債総額は49億5400万円(同:102億1900万円)であった。