欧州各国、寒波で交通網混乱、見通しも不透明−旅行会社は落ち着いて対応

  • 2010年12月21日
 欧州各国で寒波による大雪が続き、空路に影響を与えている。フランクフルトやパリ、ロンドンなどの主要空港で欠航や遅延が相次ぎ、日本路線も大きな影響を受けた。特に、ロンドンは現地時間12月19日も一部を除く出発便とほとんどの到着便が運航停止になったといい、日系航空会社2社など欧州線を運航する航空会社が欠航や遅延、ダイバートを余儀なくされた。

(最下部に航空・空港各社へのリンクを用意)

 日本航空(JL)では、18日の成田発ロンドン行きのJL401便がパリにダイバートしたほか、19日のJL401便も途中で引き返し、折り返しのロンドン発JL402便も欠航。両日のJL401便の乗客は合計469名。また、全日空(NH)も同様に、18日出発のロンドン行きNH201便がミュンヘンにダイバートし、19日のNH201便と折り返しのNH202便も欠航。これにより、NH202便を含めて乗客645名に影響が出た。また、NHでは12月9日以降に計11便が影響を受けたという。

 外国航空会社でも、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が19日と20日、ヴァージン・アトランティック航空(VS)が18日から20日にかけて欠航。ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)も長距離線は通常運航しているものの、欧州域内線は20日のみで132便が欠航予定。また、スイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)はウェブサイト上で、ベルリンやデュッセルドルフ、フランクフルト、ハンブルク、ロンドン、パリ、プラハ線などで20日も影響が続くと説明。

 このほか、フィンエアー(AY)やキャセイパシフィック航空(CX)、エミレーツ航空(EK)、エティハド航空(EY)、オーストリア航空(OS)、スカンジナビア航空(SK)、シンガポール航空(SQ)、トルコ航空(TK)などの各社でも、ウェブサイトなどで欧州線の欠航や遅延について随時提示している。

 一方、旅行会社のパッケージツアーの状況は比較的落ち着いている模様。ジェイティービー(JTB)やエイチ・アイ・エス(HIS)、日本旅行、ANAセールスでは、いずれも大きな混乱はなく粛々と対応していると説明。キャンセル料や旅行延期の手数料収受は各社によって異なっている。また、オペレーター各社も影響は少なからずあるとしつつ、グループやFITなどに応じてホテル手配などの対応を進めているとした。

 今後の見通しは、日本時間20日23時現在で不透明なまま。航空会社各社ではロンドンに向けて出発している便が多いものの、ヒースロー空港では降雪と凍結が続いていることから「引き続き混乱が起きる可能性がある」としており、航空会社から運航の確認が取れない場合は空港に向かわないように求めている。一方で、ロンドンのガトウィック空港やスタンステッド空港の路線は通常運航に戻っているという。

 とはいえ、仮に天候が落ち着き、完全に空港の制限がなくなったとしても、空路全体の混乱が収束するまでには一定の時間を要すると見られる。空路以外でも、例えばロンドンからの移動のためにユーロスターに人が殺到するケースもあるといい、引き続き注意が必要だ。


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