ジェイティービー（JTB）がこのほど取りまとめた旅行動向調査によると、年末年始（2010年12月23日〜2011年1月3日）に海外旅行に出かける人は前年比3.4％増の58万2000人となる見込みだ。海外旅行者数は2007／2008年の年末年始から前年割れが続いてきており、4年ぶりのプラス成長となる。一般的な休暇期間が12月31日から1月3日までの4日間と短いことが懸念されていたものの、12月23日から12月26日までも飛び石で4連休にできることや、円高基調、羽田空港の国際化の効果もあって、伸びが予想されるという。

　また、海外旅行の総消費額は、燃油サーチャージ額の上昇もあって8.0％増の1181億円、旅行者1人あたりでは4.4％増の20万3000円となる見込み。1人あたりの消費額は2年ぶりのプラス成長だが、2008／2009年の22万7400円には届いていない。

　方面別では、ユーロ安のイタリアやスペイン、自然遺産の周遊コースの人気が高いというニュージーランド、羽田国際化で座席供給量が増えた台湾や香港、シンガポールなどが人気。それ以外の方面でも総じて前年を上回る、あるいは前年並みが多いものの、中国は尖閣問題の影響もあってか33.0％減となる予想だ。

　出発のピークは、ルックJTBの予約状況からの推計で、遠距離の欧州方面が12月28日から30日、ハワイやアジア方面は29日と30日。帰着日は1月4日が火曜日のため、1月2日と3日に集中する見込みだ。一方、年明けにハワイやグアム、アジア方面に出発し、1月8日から10日の3連休に帰国する旅行者も増えており、年始に仕事を休める人の中では1月3日から5日の出発が多いという。

　なお、国内旅行は人数が0.6％増の2876万4000人でこちらも4年ぶりに増加。総消費額は1.0％減の9147億円、1人あたりの平均は1.6％減の3万1800円の予想だ。出発のピークは12月30日と31日、帰着日は1月2日と3日だが、12月の飛び石連休に高速料金のETC休日割引が適用されることもあり、特に夜景やイルミネーションなどを目的に国内旅行に出発する人も増加しているようだ。また、東北新幹線の青森延伸で青森や函館への旅行にも注目が集まっているという。

　調査は、全国200地点で15歳から79歳までの男女1200名にアンケートを実施したほか、JTBや航空会社の予約状況、業界動向などから推計した。