再仕分け、国内観光3事業廃止、訪日も減額・見送り−効果検証不十分と指摘

  • 2010年11月16日
 政府の行政刷新会議は11月15日、事業仕分け第3弾として観光庁の国内観光関係5事業と国際観光関係2事業について評価し、国内3事業を廃止と判断した。事業仕分け第3弾は、同会議がこれまでの仕分けの結果が十分に反映されていないと見た事業を対象としたもの。

 廃止となった3事業は「着地型旅行商品流通促進支援事業」「ユニバーサルツーリズムネットワーク構築支援事業」「スポーツ観光支援事業」。また、「観光地域づくりプラットフォーム支援事業」「観光圏整備事業」は予算要求半減と抜本的な見直し、国際観光関係の「訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)」は予算要求の3分の2への縮減と内容の見直し、「国際会議の開催・誘致の推進」は予算計上の見送りとした。

 観光庁は2011年度概算要求で、前年比3%増の130億8200万円を要求。今回の対象となった事業では、国際観光関係が93億1000万円で、この中には中国市場向けとして「元気な日本復活特別枠」からの25億6000万円を含む。また、国内観光関係は6億3200万円を要求していた。仕分け結果を反映すると、2011年度の予算は全体で約3割減の93億円程度に目減りすることとなる。

 仕分けの議論で、観光庁側からは政府が新成長戦略での観光の位置づけや、2010年度の予算は前回の仕分けの結果を確実に反映した点を訴えたものの、仕分け人の多くは国際、国内に関わらず効果の測定や検証が十分ではないと主張。廃止になった3事業は12人の仕分け人のうち8人が廃止を選択し、「効果が具体的に不明」「国が誘導することで均一化を招くおそれがある、民間や地域の独創的な発想によるべきではないか」といった意見があがった。

 また、ビジット・ジャパン事業は、広告宣伝費用の多さと、それに対する効果の測定ができていないと指摘。また、元気な日本復活特別枠から中国市場向け予算を要求することについては、概算要求分の約63億円の中で取り組むべきでは、といった声もあり、特別枠を担当する評価会議に意見として伝えることとなった。観光庁からは、2010年度末からKPI(Key Performance Indicators)指標を用いた効果測定をおこなうと訴えたが、「効果検証がない中での投資は合理的ではない」と退けられた。




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