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成田、中間決算で3期ぶりの増収増益−通期連結業績を上方修正

  • 2010年11月12日
 成田国際空港(NAA)の2011年3月期中間期(2010年4月1日〜9月30日)の営業収益は、空港容量の拡大にともなう国際線新規就航などでの増便や、航空旅客数の増加がけん引し、前年比9.4%増の980億300万円となった。営業利益は90.5%増の219億7800万円。NAAによると、営業費用において、B滑走路2500メートル化工事完成による減価償却費や、増収に伴う経費が増加したものの、退職給付費用や設備更新費用の縮小、経費削減の実施より、営業原価が9億9900万円、販売費及び一般管理費が9億8700万円減少したことが要因だという。経常利益は146.7%増の176億4900万円、純利益は181.2%増の99億7300万円となり、中間期としては3期ぶりの増収増益となった。

 航空機発着回数は、夏スケジュール以降の発着枠22万回の拡大に伴う国際線の新規就航などの増便により、4.7%増の9.9万回と増加。航空旅客数も景気の回復基調や新型インフルエンザの回復により、8.9%増の1761万人と増加した。

 空港運営事業では、昨年11月からの国際線着陸料の引き下げの影響で空港使用料収入が減少したものの、昨年11月の料金改定の影響で、旅客施設使用料の料金改定や旅客数の増加により、11.5%増の552億6000万円となった。リテール事業では、旅客数増に伴い物販の売り上げが増加し、10.1%増の263億9700万円、鉄道事業は7月に開業した成田スカイアクセスの開業で430.6%増の5億4200万円を計上した。

 これにより、通期の連結業績を上方修正した。NAA代表取締役社長の森中小三郎氏は日本航空(JL)の減便や羽田国際線拡大の影響、経済状況の不透明感などから、「下ぶれの懸念も見極める必要がある」としながらも、営業収益は当初予想の1863億円から1.7%増の1894億円、営業利益は256億円から10.5%増の283億円、経常利益は164億円から19.5%増の196億円、純利益は81億円から22.2%増の99億円とした。


▽LCC専用ターミナル新設の見通し、11月に方向性を発表

 森中氏は、LCC専用のターミナル新設に関し、11月末に方向性を発表する考えを示した。同氏によると、数社のLCCと就航の具体的な条件について話を進めており、「就航するとしたら来年の冬スケジュールくらいからになる見込み」だという。早期に就航するLCCがあった場合は、既存の施設を活用して対応する考えだ。なお、スカイマーク(BC)が成田に就航する考えを表明したことについては、「今の我々の施設で対応可能」とし、JLや全日空(NH)が利用していない発着枠が利用できるよう、国土交通省と調整中だという。