JTB志賀常務、経営戦略にとってITは「最重要」、交流文化産業の基礎に

  • 2010年10月20日
 ジェイティービー(JTB)常務取締役の志賀典人氏は10月19日、日経BP主催の「ITpro EXPO 2010」の基調講演で登壇し、「ITは経営戦略上、最も重要なもの」との認識を示した。JTBは、消費者のニーズの変化やウェブ販売の増加など業界の環境が変化する中で、総合旅行産業から交流文化産業への変化を目標としているが、ITをその基礎とする。

 志賀氏は「旅行業の本質はインフラとしての旅行情報の提供と予約決済の機能にある」としつつ、現在はこうした機能の社会的有用性が、グローバル化やITの進化によって相対的に低下してしまっていると指摘。また、「2014年には日本の旅行消費の40%がインターネット経由になり、店頭での販売も決してなくなりはしないが現在の7割程度になる」と予測。その上で、「旅行業の未来は(これらの機能に)いかに付加価値を付けていくか、これが命題」と強調した。

 交流文化産業への進化の取り組みはこの「付加価値」の創出をめざすものだが、志賀氏によると、その基礎となるのは旅行情報提供と予約決済の機能であり、それを支えるのがITであるという。また、基礎的な部分のみでなく、販売チャンネルとしてのインターネットへの対応、サプライヤーの直販拡大などの動きの中で、営業や仕入れなどの戦略にとってもITの重要性は増しているという。

 現在のIT投資には迅速性や柔軟性、拡張性が求められているといい、JTBでは志賀氏を委員長とするIT戦略委員会を2005年に設置。経営者、ユーザー、システム開発者が委員となり、議論を重ねながらグループとしてのシステム開発に取り組んでいるところだ。特に、ウェブ販売や交流文化産業のカギとなるグローバル展開といった分野への投資を重視して進めているという。

 なお、志賀氏は「日経情報ストラテジー」の「CIOオブ・ザ・イヤー2010」を受賞しており、今回の講演は受賞を記念したものだ。


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