佐川アドバンス、「介護旅行」に着手、3年後に1億円めざす−中核事業化へ

  • 2010年10月6日
 団体の社員旅行や出張関係をメインに取り扱う佐川アドバンス旅行事業部は10月1日、高齢者を対象とした介護旅行サービスを新たに開始した。これは、ホームヘルパーと旅程管理者の両方の資格を持つトラベルヘルパー(外出支援専門員)が同行する受注型の介護旅行。同社では、高齢化社会が進む中で介護が必要な高齢者の旅行や外出に対するニーズの高まりに着目したといい、トラベルヘルパー養成や派遣業務を展開する「SPIあ・える倶楽部」と業務提携することで実現した。3年後には売上高1億円を目標にかかげ、東京地区からスタートする。今後、2011年4月には大阪、9月以降は名古屋、福岡と展開を広げ、2012年には仙台や札幌など全国規模でのサービス提供をめざす。

 従来、介護が必要な高齢者を対象とした旅行では、バリアフリーの施設やサービスを提供するツアーが多いが、今回同社が展開するツアーでは、バリアフリーでない古い旅館やホテルでの宿泊なども、トラベルヘルパーが同行することで安心して利用できるようにする。旅行代金は、旅行行程費用とトラベルヘルパー費用をあわせた金額となる。トラベルヘルパーは要介護認定の度合いに応じて手配する。

 このほか、同サービスの一環として東京地区ではタクシー会社のANZEN Groupとも提携し、トラベルヘルパーとともにタクシーに同乗して自宅から東京近郊への日帰り旅行や外出支援もおこなう。また、現在同タクシーに広告を設置しており、すでに問い合わせも発生しているという。今後は新聞や雑誌などに広告を掲載してさらなる認知をはかる予定だ。

 さらに、佐川アドバンスでは中長期的な目標として、介護旅行サービスを10年以内に旅行事業部の柱にすえる考えで、人材育成にも注力している。現在、全国50名の旅行事業部スタッフのうち3名がトラベルヘルパーの資格取得を進めており、11月には2名が取得できる見込みだ。また、東京地区では近々専門チームを立ち上げ、その後大阪、名古屋での設置も視野に入れている。現在進めている2011年度採用では介護旅行サービスのスタッフとして4名程度を募集しており、トラベルヘルパーの資格がない場合でも入社後に資格取得や研修を進める。