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世界の海外旅行者数、上半期7%増の4.2億人−アジアが急回復、日本も寄与

 世界観光機関(UNWTO)によると、2010年上半期(2010年1月1日〜6月30日)の世界の海外旅行者数(推計値)は、前年比7%増の延べ4億2000万人となった。これは、利用可能な世界141ヶ国・地域への訪問者数データから推計したもの。2008年比では2%減であるものの、全地域で回復傾向が見られるといい、北米やアジアへの旅行者数は2008年の数値を上回った。

 月ごとで見ると、5月が10%増と最も伸びており、3月の9%増、6月の8%増が続いた。4月は2%増に留まったが、アイスランドの火山噴火によって欧州の空域が閉鎖されたことが影響したという。

 受け入れ地域別では、中東が20%増と大きく伸びたが、前年が16%減であった反動で、全体を牽引しているのは14%増のアジア太平洋地域という。地域内でオセアニアのみ5%増と緩やかな回復傾向を示したが、いくつかの例外を除いて北東アジアは16%増、南東アジアは12%増、南アジアは14%増などとなった。

 さらにアジア内の国・地域別では、スリランカが49%増と最も高かったほか、日本も36%増と2位に入った。3位以下はベトナム35%増、ミャンマー35%増、台湾29%増、香港23%増、マカオ23%増、シンガポール23%増などとなった。デモによる影響を受けたタイも、リピーターに支えられ14%増となったという。

 なお、141ヶ国のデータは、国によって8月時点で2ヶ月分から7ヶ月分とばらつきがあるものの、90ヶ国は6ヶ月分を報告しており、7%増はこの90ヶ国のサンプルから推計した。また、141ヶ国のうち30ヶ国は前年割れの状況であったが、101ヶ国はプラスで、51ヶ国は2ケタの増加であった。


▽通年で4%超の成長も

 UNWTOは2010年通年での世界の海外旅行者数を、3%増から4%増の成長と予測しているが、現在のところは4%近く、あるいは4%を上回る伸びを達成する可能性もあるとの見方だ。

 特に回復に向けたカギとするのが「地域内旅行」と「国内旅行」。海外からの旅行者のうち5分の4は同じ地域の国民といい、上半期のアジア地域の大幅な回復も、地域内のアウトバウンド市場の強さを反映したものとの分析だ。国内旅行については、国内旅行者数が全海外旅行者数の4倍の規模と試算されるといい、不況下で消費者が「近場」の旅行を選択しやすくなる中で、地域内旅行とともに成長を支えると指摘した。