福岡をクルーズ客船のハブ港に−イン・アウトのバランスが活性に寄与

  • 2010年9月3日
 観光庁と外航クルーズ旅行振興全国協議会は9月2日、今年で5回目となるジャパン・クルーズ・シンポジウムを福岡で開催した。観光庁長官の溝畑宏氏は出席する船社に対して「日本には世界に誇れる観光資源がある」とした上で、国、都道府県、民間などが一体となって観光振興に取り組んでいると紹介。そして、訪日外国人3000万人の目標において、クルーズ客船や全国の港湾、受入地域の活躍が大きな要素との認識を示し、「外航クルーズ船の誘致を積極的におこない、外航客船の方には福岡、九州、日本の熱い想いを受け止め、日本に多くの人を送り込んでいただきたい」と挨拶した。

 開催地の福岡市長の吉田宏氏は、福岡への外航客船の寄港数が2007年にはゼロであったものが、2010年は前年から2.7倍の66回にのぼり日本でもっとも多い現状を紹介。その理由として、カジュアル・クルーズが多くショッピングスポットが揃うこと、上海や釜山などに近い地理的要因、釜山との定期船が就航していることから日本の港でCIQが最も早く、1時間半で1500人の審査ができることをあげた。2011年には福岡から鹿児島まで新幹線が走り、1時間20分で結ばれることも紹介。今後は九州全体としてクルーズ客船の受入れに取り組み、将来的にはインバウンドとアウトバウンドの双方向の需要を活性化し、「アジアのクルーズ客船のハブ港」としての福岡をめざす考えを表明した。

 シンポジウムでは外航客船社のトップが集結。訪日クルーズ客船の増加策として、日本の魅力や寄港地や発着に求められる要素、クルーズマーケットの拡大に向けた方策を話し合った。特に、外航客船の経営陣からは現在、アジアを戦略的に定点クルーズの航路として開発している流れ、顧客を満足させる視点から寄港地を選定していること、インバウンドだけでなくアウトバウンドも活性化することで収益性が高まり、安定した日本への配船が可能と指摘する意見が多く上がった。福岡市港湾局局長の池田薫氏もパネルディスカッションにおいて、インバウンドに集中している需要をアウトバウンドの活性化と合わせバランスをとる重要性を指摘した。

 なお、会場には400名に近い旅行会社、外航船社、港湾関係者が詰め掛け、熱心に議論に聞き入っていた。