概算要求、観光関係予算は前年並、休暇分散は3.5倍−免税制度の見直しも

主要な要求事項は、「訪日外国人3000万人プログラム第1期」「観光を核とした地域の再生・活性化」「観光産業の競争力強化・ニューツーリズムの推進」「ワークライフバランスの実現に向けた環境の整備」「観光統計の整備」の5項目。
このうち、訪日外国人3000万人プログラムでは1%増の95億6200万円を要求。ビジット・ジャパン事業にあたる訪日旅行促進事業では3%増の88億6700万円を計上した。このうち25億6000万円は最重視する中国市場向けで、政府が成長分野向けに設定する「元気な日本復活特別枠」からの配分を見込む。また、重点市場に訪日旅行者数の伸びが顕著なスペイン、イタリア、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアを追加し、合計19ヶ国・地域とする計画だ。
また、MICEの開催・誘致の推進には1%減の4億4300万円、訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備や医療観光の促進に向けた環境整備には47%増の2億5100万円を要求。受け入れ環境整備では、約5000万円を投じてツイッターによる情報提供を開始。訪日中の外国人が英語でつぶやくと、必要な情報を即座に提供するという。また、医療観光で病院と外国人患者の間に立つコーディネーターの評価基準の設定や、多様化する訪日外国人のニーズに対応した外国語ガイドの人材育成などもおこなう。
▽「観光圏」は次段階に、着地型商品流通などの窓口組織形成へ
「観光を核とした地域の再生・活性化」では、4%減の6億400万円を計上。特に、これまで3年にわたって継続してきた「観光圏」の取り組みを深化するため、5億4200万円を要求する。すでに45ヶ所が観光圏として認定され、地域での協力体制が構築されるなど観光による地域活性化の素地ができつつあるとの考えから、着地型旅行商品の流通促進に向けて「観光地域づくりプラットフォーム」の形成を進める。これは、旅行会社や旅行者などの市場側と観光圏をつなぐ組織で、着地型商品の企画・販売や人材育成、情報提供などの強化につなげる。
「観光産業の競争力強化・ニューツーリズムの推進」は、188%増の1億1500万円を要求。ここでも着地型旅行商品の流通促進に取り組むほか、ユニバーサルツーリズムやスポーツツーリズムの振興も進める。さらに、「ワークライフバランスの実現に向けた環境の整備」は250%増の9800万円とし、休暇取得の分散化に注力。分散化の意義やメリットの周知を推し進めるほか、社会実験も今年度より規模を拡大して実施したい考えだ。このほか、「観光統計の整備」は前年と同じく3300万円の要求で、宿泊旅行統計調査や訪日外国人消費動向調査を継続する。
なお、日本政府観光局(JNTO)への運営費交付金は10%増の21億200万円と増加したが、退職金の積み増しや、北京やバンコクなどで計画する事務所の移転などの費用を計上したためという。
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