卒業旅行レポート:ニューヨーク5日間、フリー型パッケージツアーのケース

〜チキンでも行った一人旅。ニューヨークで美術館に〜
今回は、自称“外人恐怖症”という、海外への不安を持つ学生が一人旅をしたレポートだ。興味の対象物が海外にあるからこそ出かけたという、旅行を手段としたいわゆる「SIT」のケースといえる。通常は旅行会社のツアーを利用するが「本当は長期滞在をしてのんびり観光してみたい」という思いもある。レポートには、そんな旅行者だからこそ感じる旅行会社への要望も書かれている。
◆旅行者データ
2009年度大学院・文学研究科卒業 女性
これまでの海外旅行回数:4回
旅行実施時期:2010年2月15日〜2月19日 5日間
旅行代金:約15万円、現地消費額:約2万5000円
旅行前
不安解消のためにパックツアー

まずは、海外旅行に対する自分の不安を解消することが、精神的にも安全に旅行をするために必要だ。そこで旅行会社を頼ることにした。また、卒業旅行を考えはじめたのが出発時期まで1ヶ月を切った1月の半ばで、修士論文の口頭試問が間近に控え準備をする時間がない。そのため、飛行機やホテル、空港送迎など全部入った旅行会社のパッケージツアーを探し、エイチ・アイ・エス(HIS)で偶然残っていたフリースタイルのニューヨークツアーに滑り込んだ。このツアーが残っていなければ、きっと卒業旅行をせずに終わっていただろう。
旅行のハイライト
旅行先で初めて得た専攻分野の知識

例えば、美術館では展示品にぶつかる可能性があるため、バックパックなどの荷物を背負って入場してはいけないということを、館内で注意を受けている人を見て初めて気がついた。また、美術館ではインクが作品に付着する可能性があるので、館内でインク系の筆記具を使ってはいけないことになっている。しかし、日本ではバックパックが禁止ということはなく、ペン類の使用禁止も徹底されていない場合もあり、海外に比べて日本の美術館の意識レベルの低さを実感した。
また、日本で美術館を訪れるのは大人が中心で堅苦しいイメージがあるが、メトロポリタン美術館では親子連れや子供のグループが多い。学芸員からレクチャーを受ける子供たちもいて、小さい頃から美術教育を受ける環境があることに驚いた。また、併設のカフェテリアにブッフェがあり、大衆食堂のようににぎわっていたのも日本とは異なる点だ。美術館が教育の場、社交の場といった公共の場であり、日常に溶け込んでいることを知ることができた。
人に勧めたいポイント
旅で常識がリセットされる

例えば、自然派コスメショップの「キールズ」で土産品を買物していたときのこと。ショップのカウンセラーの仕事ぶりを見ながら、「人種のるつぼ」のニューヨークではそれぞれ特徴のある肌の悩みに対応しなくてはならないので、日本の店のカウンセラーよりも苦心することが多いだろうと、ふと思った。そして、さまざまなケースがあるからこそアメリカでは個人主義が主流となるのかもしれない、ということを考えた。
また、街中ではあらゆる国の食べ物が売られていたのも「人種のるつぼ」であるニューヨークが感じられる場面で、面白かった。訪れたデリで、ある惣菜を「ヘルシーです」と宣伝する理由がラードではなく植物油を使用しているからと分かったときは、油分カットやカロリーカットがヘルシーの基準になっていることが多い日本の健康意識や食に関する感覚との違いを感じ、興味深かった。
卒業旅行を終えて
卒業旅行だからこそ、思い通りの旅行がしたい

ただ、ツアーを探しはじめてから出発まで1ヶ月を切っていたため、空席のあったツアーが「ヒルトン・ニューヨーク確約」で、通常より3万円ほど値段が高くなってしまったのが少々、残念だった。また、パッケージツアーの場合、2人1室利用の料金設定が多く、一人参加の場合は一人部屋追加料金が必要になる場合がほとんどだ。これが、一人旅で旅行会社のパッケージツアーを利用したい人には負担になる。学生には旅行をする時間はあっても、お金はないという事情がある。
私の場合は時間がなく、便利で安全という理由で、旅程が決められたパッケージツアーを利用したが、就職する前の最後の春休みは思いっきり遊びたいのが学生の本心で、卒業旅行はできるだけ自分の思い描いた旅行がしたい。普段はツアー利用が多いからか、「今回はやっぱり自分の思い通りの旅行がしたい!」という時になかなか情報が少ないように思った。旅慣れていない人が自由旅行してはいけないのかな、と尻込みしてしまう。自由気ままな一人旅ができるプランや「一人旅コンシェルジュ」のようなものがあれば、自分の思い通りの旅行ができたのかもしれないと思った。
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