タイムアウト東京、認知向上でフェア開催−ガイドブックの新潮流めざす

  • 2010年4月7日
 ウェブサイトでライフスタイルマガジン「Time Out Tokyo」を運営するタイムアウト東京は4月30日まで、TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで「旅」をテーマにしたフェアを開催中だ。「Time Out」は1968年にロンドンで創刊されたガイドブックで、Time Out Tokyoはそのブランドを通じて日本の魅力の多言語での発信をねらう。フェアではTime OutとTime Out Tokyoの認知向上を目的に、世界中で年間100万部以上売り上げるというトラベルガイド「City Guide」とポケットガイド「Shortlist」を店舗の特設棚で販売。さらに、ストリートアートで有名な覆面芸術家「Banksy(バンクシー)」が表紙を担当し、イギリスではすでに完売したロンドン版のTime Outも販売する。

 タイムアウト東京は、元タワーレコード代表取締役社長の伏谷博之氏が経営するオリジナル株式会社により、「コンテンツ大国、観光立国」「都市、文化、ライフスタイルの文脈」「多言語による都市情報発信」をキーワードに設立。伏谷氏によると、Time Out Tokyoは「本当に素晴らしいものは、世界のどこであれ誰であれ、感動を与えてくれる」というコンセプトで運営。「この街で今おもしろいのは何か」という視点で作られており、各都市の最新の文化やイベントを把握できるため、「情報感度」の高い人が活用する傾向があるという。

 Time Out Tokyoは、現在はウェブサイトで日本語と英語で情報を発信しており、2010年後半に中国語版も提供を開始する予定。ウェブサイトの情報は無料で閲覧でき、広告収入がビジネスモデルの基盤だ。その上で、日本では訪日旅行の盛り上がりを追い風に、Time Outの各都市の媒体と連携した展開もねらっており、1月には全国商工会連合会と連携してロンドン版とニューヨーク版の記者を北陸と北九州に派遣し、それぞれの媒体で観光地や特産品をアピールした。

 タイムアウト東京の今後の展開としては、「ロンドンやニューヨークを訪れて、ガイドブックとは別に現地の情報誌を買う人がいるが、ガイドブックと情報誌の(要素の)両方をバランスよく取り込む」方針。Time Outが東京を含めて世界30都市で事業を展開していることから、各国の物や文化など観光資源を他国の媒体で紹介するなど各国の拠点と連携し、旅行を促進する考えだ。日本でのブランドの浸透をはかるとともに、ウェブサイトだけでなく紙での発行も視野に入れる。また、「観光業に関して我々は門外漢」であることを逆手に取り、国内外ともに新しい魅力の発掘も進める。