アクセスランキング、1位は全日空の国際線強化、2位は燃油サーチャージ

  • 2010年3月27日
[総評] 今週は、全日空(NH)の中期経営計画についての記事が1位になりました。この中でNHは、首都圏空港の拡張とボーイングB787型機「ドリームライナー」を受納する2010年を最大の好機と位置づけ、国際線を事業の柱として成長する青写真を描いています。計画の最終年度である2011年度には、国際線事業で2009年度の見込み比約7割増となる3570億円の収益をあげ、座席供給量も2007年度比で約3割増とする計画です。日本航空(JL)が経営再建を進めるうちに、NHがどこまで国際線事業を拡大してその後の発展の基盤を築けるかに注目が集まります。

 2011年までの路線展開の詳細は現在のところ一部を除いて明らかにされていませんが、アライアンスパートナーとの提携効果を最大限発揮する方針を示しています。ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)の第二のハブ空港であるミュンヘンに就航することを決めていることなどを考慮すると、長距離線はパートナーのハブ空港を中心に展開し、アジアを中心とした短距離線のネットワーク拡充により注力するのではないかと考えられます。

 また、アクセスランキングではこのほかにも、ユナイテッド航空(UA)の羽田線、マカオ航空(NX)の成田就航、成田空港会社の中期経営計画など、「新展開」や「拡大」に関連する記事が多く入っています。先週の総評でも「明るい兆し」と書きましたが、旅行業界にとって上期、航空業界にとって夏スケジュールが始まるのを前に、回復とその先の成長に向けた取り組みが本格化しつつあるように感じます。

 ただ、一つ気になるのは、3位の記事にある燃油サーチャージの値上げです。日系航空会社を中心に多くの航空会社が廃止したのも今は昔、長距離線では往復2万円を超えてしまいました。安売りの是非はさておいて2万円で海外旅行に行ける時代に、需要に影響がでないわけがありません。

 燃油価格の値上がりがただでさえ厳しい航空会社の経営をさらに圧迫することは承知していますが、海外旅行市場の全体最適を考慮すれば別の選択があり得るのではないでしょうか。また、日本旅行業協会(JATA)をはじめ旅行業界全体としても、燃油サーチャージ問題の抜本的な解決に向けて、より一層の取り組みがなされることが望まれます。せっかくの「兆し」を「兆し」で終わらせないためにも――。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2010年3月第4週:3月20日2時〜3月26日18時)
第1位
全日空、国際線を成長の柱に−新事業戦略、国際線収入7割増へ(10/03/23)

第2位
ユナイテッド航空、羽田線就航に自信−太平洋地区副社長、成田空洞化は否定(10/03/23)

第3位
燃油サーチャージ、据え置きは外航8社、改定期間2ヶ月への変更も(10/03/25)

第4位
日本航空、10年度チャーターは前年度並み460本めざす−欧州方面を強化へ(10/03/24)

第5位
マカオ航空、成田/マカオ線に就航へ−マカオを第一デスティネーションに(10/03/23)

第6位
アリタリア−イタリア航空、新機内エンターテイメントサービスを開始(10/03/23)

第7位
ブロッサム・ジャパン、日本のラグジュアリー・トラベル市場活性化めざす(10/03/24)

第8位
成田、2012年までに27万回へ、LCC専用施設も検討−需要は2%増予測(10/03/25)

第9位
カナダ、新路線、VWCなど追い風に30万人達成へ−セミナーで各州も魅力紹介(10/03/24)

第10位
KNTT菊池社長、東名阪で新規出店も−社員教育も強化し販売力向上へ(10/03/23)