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アマデウス、厳しい環境は変化のチャンス−アジア太平洋地域での業績拡大

  • 2009年11月13日
(バンコク発:本紙 松本裕一) アマデウス・アジア・パシフィックは11月12日、バンコクでアジア太平洋地域のメディアを対象にメディア・ブリーフィングを開催し、同地域の旅行市場の現状と2010年の見通し、同社の戦略について説明した。この中で同社プレジデントのデービッド・ブレット氏は、「経済は安定しつつあるが、消費者のコスト意識は高いまま。航空会社のイールドも低く、2010年もさらに直販志向を強める」と環境の変化を指摘した上で、厳しい環境だからこそ逆に変化のチャンスであると強調。同社も研究開発への投資を続け、「利用者が必要と感じる前に新しいソリューションを開発」するなど変化を推し進めているといい、2009年はこれまでのところ、アジア太平洋地域での航空券予約実績に占めるシェアが前年比2ポイント増の33%となっているほか、ネット系旅行会社の取扱に占めるシェアも18.8ポイント増の51%になるなど好調な業績を確保しているという。

 また、2010年の見通しとして、「市場規模は2007年のレベルにまで回復する」と言及。ただし、業務渡航需要の減少や、「一度安さになれた消費者は以前の水準の旅行費用を支払おうとはしない」ことから、イールドの回復は遅いとの見方だ。その上で、「航空会社は新しい流通戦略の模索を続ける」とし、コスト削減の観点から直販へのシフトを進めると予測した。こうした環境の中で旅行会社は、「自らニッチな市場を見つけ、サービスに焦点を当てた戦略をとることになる」との分析だ。そして、同社としては「地域の特性に応じてさらに研究開発への投資を続け、中小の旅行会社が導入しやすいシステムの開発を進める」ほか、航空会社に対しては航空券の手配、インベントリ情報、搭乗手続きなどを管理する「アルテア(Amadeus Altea)」の導入を進め、シェアの拡大をはかる考えだ。

 このほか、航空業界担当のバイス・プレジデントであるジョン・チャップマン氏は、2010年のアジア太平洋地域の航空会社が取るであろう戦略として、「自社サイトでの直販の推進」「付加的なサービスの有料販売を進める」「(自動チェックイン機など)セルフサービスの拡大」「モバイル機器への対応」などのキーワードを列挙。同社としては、こうした航空会社のニーズを汲んで開発を進める一方、複雑な旅程など旅行会社でしか提供できないサービスを可能とするシステムも開発し、両方のニーズに応えていく方針を示した。