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ANAセールス、代理店への保証金増額−ANTA、国内線コミッション含め協議へ

  • 2009年11月9日
 全国旅行業協会(ANTA)によると、ANAセールスが国内の代理店に国内線航空券取扱委託契約保証金の増額を要求している。ANTA副会長の田中均親氏によると、平均して従来は100万円から150万円であったところが200万円から300万円程度に引き上げられ、特に北海道など取扱規模の大きなエリアでは1000万円が2500万円となるなど、中小旅行会社にとって「非常に大きな額」を求められているという。ANAセールスグループの4社から個別の打診があるといい、全体像を把握しにくい状況だが、すでに保証金を支払えずに代理店契約を解消せざるを得ないケースもあるようだ。

 田中氏は、国内線コミッションの見直しも含めて、全日空(NH)は「旅行会社経由で航空券を購入してもらわなくてもかまわないと考えているのではないか」と懸念。ANTAとして手数料率や具体的な保証金額を要望することはできないものの、「会員が困っている以上、NH側と交渉したい」との考えで、すでにANTAの三役会も開催し、今月内にもNH幹部と面会する方向で調整を始めているという。また、交渉力強化のため、日本旅行業協会(JATA)と連携しながら進める考えも示した。

 なお、NH広報室では、保証金増額の動きを認めたうえで、「不景気で旅行会社が倒産する事態もあり、(その際の損失が)従来の保証金に収まらなくなってきた。今後も(倒産が)続く可能性がある」と説明。また、旅行業法の弁済業務保証制度が業者間取引は対象としていないことも一因のようだ。ただし、NH本体と代理店契約をしている旅行会社には今のところ保証金増額の要求はないという。なお、業界関係者からは、今年3月に普門エンタープライズが営業を停止した際、NHに億単位の損失が発生したことが引き金になったと指摘する声もあった。


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