本保長官、訪日客3000万人は「妥当」−課題山積も予算増で積極対応へ

  • 2009年10月29日
 観光庁長官の本保芳明氏は10月28日の定例会見で、訪日外客数の新たな目標となる3000万人について「これくらいが妥当」とし、達成は可能との見方を示した。本保氏は、前提条件が変われば目標も変わると語った上で、「もともと大きな市場が存在するなかで、どこまで取れるかという問題だと考えている。あとはどれだけ本気で金をかけて取りに行くかということ」と説明。そして、概算要求の予算額が実現すれば「もっと大きな数字でも考えられなくはないが、物事はある程度時間をかけて着実に進めるものであり、これくらいが妥当」と語った。3000万人は、同じ島国であるイギリスが現在受け入れている外国人旅行者数を参考にしたという。

 ただし、目標達成に向けては課題が山積しているとの認識で、プロモーション体制や受け入れ体制など「全戦線にわたって戦略的な取り組みが必要」と強調。特に、予算配分を考える上で、拠点ネットワークと広告宣伝は「効率的にやる前提で、相当大きな数字を投入していきたい」といい、拠点数は14地点から21地点、広告宣伝費も前年比3倍増の100億円規模への拡大をめざす。また、統計調査にも相当額を投じる方針だ。最重点市場は中国で、個人観光ビザのさらなる緩和を含めて総合的に取り組んでいく必要があるという。また、日本政府観光局(JNTO)の体制強化が「絶対不可欠」といい、あわせて観光庁自体の業務執行体制やJNTOに対する監督機能の強化にも取り組む方針。

 今後の予算折衝については「突出して大きい倍率」であることから、「厳しい折衝になる」見込み。一方、事務レベルのみで終えられるものではないとの認識であるものの、「予算全体が政治主導で作られている。従来の大臣折衝は形式的だったが、真の意味での大臣や三役レベルでの折衝もありえるのでは」と期待を語った。

 なお、3000万人達成に向けた計画の第1期は2010年に始まるが、3ヵ年での行動方針の柱は国土交通省成長戦略会議で議論される。戦略会議は2010年6月の最終報告を予定しているが、「6月を待つつもりはない」といい、観光関係の結論は年内にも出るよう要望していると語った。


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