成田の保安サービス料でコミッション要求−JATA、コストなど負担増を懸念

 成田国際空港(NAA)が11月16日発券分から新たに導入する旅客保安サービス料に対して、日本旅行業協会(JATA)はコミッションの支払いを要求する。JATAには8月中旬の段階で事前の説明があったといい、9月3日には撤回を求める文書を海外旅行委員長の佐々木隆氏の名前で送付していた。この中で、「やむを得ず新設する場合であっても、旅行会社への負担増への措置を図った上で、4月以降としていただきたい」と要望。JATA事務局長の奥山隆哉氏は、航空会社や空港会社の経営環境の悪化には理解を示し、11月からの導入は避けられないとの見方だが、「旅行会社、航空会社、空港会社の今後の関係を考えると得策ではない」とし、コミッションの支払いや周知、さらに最終的には旅客サービス施設使用料(空港使用料)への一本化を求めていく方針を説明した。

 JATAからは、「二重支払いと捉えられ、徴収時にトラブルが予想される」「回復しつつある旅行需要に水を差す」「旅行会社の自社システム改修などのコストが発生する」ことから、撤回ないし空港使用料への一本化を要求。また、導入が避けられない場合でも11月からでは「下期のパンフレットがすでに発売されており、追加説明や窓口での対応などの負担増に繋がる」とし、来年4月からに遅らせるよう求めた。

 しかし、もともと8月12日に初めて説明があった際に航空局の担当者のみがJATAを訪れるなど、国土交通省航空局の主導の色が濃く、最初から「結論ありき」で交渉にならなかったという。着陸料を下げるために別の収益源を確保する意図が見られ、「事前の説明というよりは通知」と印象を述べる。結局、提示された案から変更された点は、空港使用料の対象拡大について、当初は地方発国際線利用の乗り継ぎにも適用しようとしていたところが、国際線乗り継ぎ旅客に留められたのみだ。

 今後の方向性として、奥山氏は「少なくともコミッションは得られるようにしたい」と説明。また、周知徹底への尽力も求めていく。コミッションは、燃油サーチャージでも実現しておらず、仕組みづくりなど課題はあるものの、「まずはNAAと個別の航空会社を交渉のテーブルに着かせる」ことが重要との考えだ。


▽大手各社の反応−自社システム改修は不可避

 大手旅行会社各社では、「受け入れるしかない」との反応が多いようだ。ただし、自社システムの対応では1000万円単位のコストがかかる会社もあり、ある会社の幹部は「まったく受け入れられない。かかったコストはNAAに請求する」と怒りを隠さない。コスト以外に、11月16日までと期間が限られていることも負担となる。NAA側も周知への対応を進めていることは間違いないが、徴収時のトラブルや需要への影響が懸念される。


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