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コロンビア、観光客誘致に本腰−渡航情報の引下げ好機に、日本向け計画も始動

  • 2009年9月17日
 在日コロンビア共和国大使館はアビアンカ航空(AV)日本地区GSAのエア・システムと観光セミナーを開催、新デスティネーションとしてのコロンビアをアピールした。同大使館駐日大使のパトリシア・カルデナス氏は、2002年に大統領に就任したウリベ氏の政策により治安改善が向上し、観光産業の育成に注力していることを説明。WTOが発表した今年上半期(1月〜6月)の全世界の観光客数が前年比8%減であったのに対し、コロンビア入国者数は10.3%増の63万8202人で増加したことを示し、コロンビアが観光客の信頼と期待に応えるデスティネーションであることを強調した。

 2008年の累計では2.3%増の122万2966人で、02年比で54%増と成長している。このうち日本人は8.9%増の5302人で、ほとんどがビジネス渡航客。しかし今年、日本の外務省の渡航情報「渡航の延期をおすすめします」の対象エリアが5ヶ所に減少し、8月には観光地の多くが「十分注意してください」に引き下げられた。これを追い風に日本人観光客の誘致を強化していく。すでに日本旅行業協会(JATA)の協力を得てセミナーを開催。現地での見本市に日本の旅行会社を招待したほか、日本での世界旅行博にも出展する。

 コロンビアの観光としては、世界遺産に登録されたカルタヘナや首都ボゴダなどの歴史と文化的要素のほか、太平洋とカリブ海の海、アマゾンのジャングルなどの自然、民族の伝統文化など幅広い要素を紹介。また、インフラ整備も進み、世界的なチェーンホテルやブティックホテルなど幅広い施設がオープン。今年は新たに約5000室が稼動する予定だ。クルーズの寄港数も増加し、09年から10年にかけて25社が参入予定。これにより約48万人の入国者数を見込んでいる。

 日本からのアクセスは、ロサンゼルス、ワシントン、ニューヨークからアビアンカ航空(AV)への乗り継ぎが可能だ。このうちロサンゼスル線は9月15日からスケジュールを変更。日本からの当日乗継が可能になり、利便性が向上する。


▽日本市場向けプロジェクトも開始

 セミナーに参加したコロンビアの日系オペレーターであるアラスアドベンチャーの代表取締役社長の坪田充史氏によると、現在、コロンビア政府では世界規模の観光プロモーションを展開しているという。アメリカなど主要市場が中心で、これとは別に日本は副大統領府との共同プロジェクトとしてプロモーションが開始した。

 民間の観光プロジェクトを支援する観光基金の一環で実施するもので、同社のプランが採用されてプロジェクトが実現。坪田氏は「安全性を見てもらいたい」と語り、10月に実施するFAMツアーやメディアツアーでは渡航情報が「十分注意してください」のエリアのみで組める旅程を提案する。プロジェクトでは2010年には純粋な観光客でパッケージツアーを中心に500人、2011年には1000人に倍増させ、将来的には1万人の日本人観光客の誘致を目標としている。


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