現地レポート:オーストラリア ビクトリア州
1泊2日の滞在で深い魅力づけが可能
メルボルンからの小旅行先「ヤラバレー」の新たな旅行スタイル
ビクトリア州の州都、メルボルン。洗練されたカフェやショップなどが集まり、お洒落な街として旅行者にも人気がある。さらに、郊外へ1時間から2時間ほど車を走らせれば、気軽に美しい自然に出会えるのもこの街の魅力。ダイナミックな海岸線の景色が望めるグレート・オーシャン・ロードや、野生のペンギンに出会えるフィリップ島、そして広大なワイン畑が広がるヤラバレーも、すべてメルボルンから日帰り旅行ができる距離にある。今回は、6月中旬にメルボルンで開催された旅行見本市「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)」のポストツアーで、これまで日帰り旅行が主流だったヤラバレーでの1泊2日の小旅行を体験。宿泊を加えるだけで、急ぎ足の旅行では味わえない新たな魅力づけが期待できる。
ヤラバレーのワイナリーめぐり。日帰りでは味わえない時間と景色
メルボルンから北東へ車で1時間ほどの距離に位置するヤラバレーは、約70のワイナリーが点在するオーストラリアを代表するワインの産地だ。最も人気があるアクティビティはもちろん、それぞれに特徴があるというワイナリーめぐり。代表品種のピノ・ノワールやシャルドネのワインはもちろん、オーストラリアワインのおもしろさの特徴であるさまざまなブレンドワインでも、赤のスパークリングワインなどユニークなワインに出会える。他に類を見ない珍しいものが多く、ワイン通でなくとも楽しめるのがポイントだ。
同行したオーストラリアを専門とする旅行会社の社員によると、現在はメルボルンを訪れたFIT旅行者が日帰りのワイナリーツアーをオプションで申し込むケースが多い。この場合、2、3軒のワイナリーをめぐり、それぞれの場所でのテイスティングを楽しむのが主流だ。しかし「時間に余裕を持ち、食事も一緒に楽しむことで、この地域での滞在がより魅力的になる」という。
多くのワイナリーではレストランを併設しており、その土地で採れた食材をふんだんに使った質の高い料理を提供している。広大なぶどう畑の向こうに広がる丘陵を一望し、天気がよければ外で風を感じながらのランチが可能だ。最近はワイナリーで食事をするツアーが増えてはいるが、ほとんどが日帰りプランであるため、ゆっくりとおいしいワインと食事を楽しむ余裕はあまりない。ワインの魅力を十分に堪能するには食事とそれを味わう時間が大切。宿泊することで時間的余裕が生まれ、よりじっくりとこの地域の魅力に迫ることができるのである。
また、ヤラバレーの景観美も、滞在する理由になる。夏は緑、収穫の秋は黄金に色を変える広大なワイナリーの景色はまさに圧巻だという。今回は収穫後の冬に訪れたが、幾重にも続くブドウの葉の緑がダンデノン丘陵を背景に広がるダイナミックな景色は見ごたえ十分。赤みが射す夕刻はさらに幻想的で、この景色はまさにヤラバレーならではといえる。
前出の旅行会社社員によると、「日帰りツアーでは何箇所かワイナリーを訪れワインテイスティングをすると疲れてしまい、帰りの車内ではメルボルンまで眠ってしまう人が多い」という。特に夕暮れ時の景色まで楽しむ人はほとんどいないという。ワインテイスティングや食事のあとに景色をゆっくり楽しむ時間をぜひ盛り込みたい。
宿泊先も楽しみのひとつに
宿泊自体もヤラバレーに滞在する目玉のひとつとなる。ヤラバレーには4ツ星以上の高級ホテルからデザインホテル、安価なロッジまで宿泊施設が多くあり、旅程や趣向にあわせた滞在が可能。ゆったりとした旅程を組むのであれば、食事も堪能できる高級ホテルに宿泊するのがおすすめだ。
今回、宿泊したシャトー・イェーリング・ヒストリック・ホテルは、オーストラリアに2軒のみというルレ・エ・シャトーの登録ホテルのひとつ。1854年に建てられたビクトリアスタイルの屋敷を利用したホテルで、250エーカーの広大な敷地内に32室の客室のみという贅沢なつくり。客室の内装はすべて異なり、ソファやシーツなどのリネン類もビクトリア調で雰囲気がある。2階からはヤラバレーのすばらしい景色を眺めることができ、日の出や夕暮れは特にロマンチックだ。
ホテル内のフランス料理レストラン「エレノアズ・レストラン」では、メニューリストを見たときから思わず目を奪われる。詳細まで日本語で表記され、前菜には「本マグロ・トロの昆布じめ」や「ボラのたたき」など日本人好みのメニューが多く、シニアの旅行者やちょっと洋食に飽きてしまった舌にはうれしいオリエンタルなテイストがそろう。最近では、メルボルン大学の日本人留学生が来豪した両親と滞在したり、ランチなど料理を目当てにやってくる日本人が増えているという。
ワイナリーめぐりと組み合わせるアクティビティや見所
宿泊した翌日はヤラバレーを上空から楽しむ熱気球など、ちょっと活発なアクティビティを体験するのも一案だ。ぜひ訪れてほしいのが、ヤラバレー中央部にあるヒールズビル自然保護区の「オーストラリア野生動物保護ヘルスセンター」。カモノハシの飼育園が有名だが、それ以外でもこの付近に生息する野生動物が傷ついた場合、保護・治療する役割を持っている。今年の2月に発生した山火事の際には多くの動物が治療を受けたという。ここでは動物の治療の様子はモニターで同時中継され、来館者がその映像を見られるようになっている。また、動物の心音が聞こえる聴診器や動物の目から見た人間の様子など、楽しみながら野生動物の命の大切さを学べる工夫もされている。教育旅行の素材としてはもちろん、一般の旅行者にも十分訪れる価値のある施設だ。
また、メルボルンからヤラバレーへの往路の道中に、蒸気機関車を利用するというのも単なる移動手段以上の魅力があり、おすすめだ。パッフィンビリー蒸気機関車はメルボルン近郊のベルグレーブ駅からジェムブルック駅までの24キロメートルを、ダンデノン丘陵やシダ峡谷などをぬって走るオーストラリア最古の蒸気機関車。ヤラバレーの最寄りのメンジーズ・クリーク駅までの20分の乗車時間中は、都市の街並みから郊外の自然へ移り変わる車窓の景色が楽しめる。スピードがあまり速くないので、窓に座って足をぶらぶらさせて、風を体感しながら景色を眺める乗客が多い。子どもだけでなく大人も十分楽しめ、丘陵の高低差が感じられる体験型のアクティビティとなる。
ワイナリーめぐり以外のアクティビティを盛り込むことができるのも、宿泊を組み込んだからこそ。ヤラバレーの本来の魅力を十分に引き出せるのが、1泊2日プランなのである。
メルボルンからの小旅行先「ヤラバレー」の新たな旅行スタイル
ビクトリア州の州都、メルボルン。洗練されたカフェやショップなどが集まり、お洒落な街として旅行者にも人気がある。さらに、郊外へ1時間から2時間ほど車を走らせれば、気軽に美しい自然に出会えるのもこの街の魅力。ダイナミックな海岸線の景色が望めるグレート・オーシャン・ロードや、野生のペンギンに出会えるフィリップ島、そして広大なワイン畑が広がるヤラバレーも、すべてメルボルンから日帰り旅行ができる距離にある。今回は、6月中旬にメルボルンで開催された旅行見本市「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)」のポストツアーで、これまで日帰り旅行が主流だったヤラバレーでの1泊2日の小旅行を体験。宿泊を加えるだけで、急ぎ足の旅行では味わえない新たな魅力づけが期待できる。
ヤラバレーのワイナリーめぐり。日帰りでは味わえない時間と景色
メルボルンから北東へ車で1時間ほどの距離に位置するヤラバレーは、約70のワイナリーが点在するオーストラリアを代表するワインの産地だ。最も人気があるアクティビティはもちろん、それぞれに特徴があるというワイナリーめぐり。代表品種のピノ・ノワールやシャルドネのワインはもちろん、オーストラリアワインのおもしろさの特徴であるさまざまなブレンドワインでも、赤のスパークリングワインなどユニークなワインに出会える。他に類を見ない珍しいものが多く、ワイン通でなくとも楽しめるのがポイントだ。
同行したオーストラリアを専門とする旅行会社の社員によると、現在はメルボルンを訪れたFIT旅行者が日帰りのワイナリーツアーをオプションで申し込むケースが多い。この場合、2、3軒のワイナリーをめぐり、それぞれの場所でのテイスティングを楽しむのが主流だ。しかし「時間に余裕を持ち、食事も一緒に楽しむことで、この地域での滞在がより魅力的になる」という。
多くのワイナリーではレストランを併設しており、その土地で採れた食材をふんだんに使った質の高い料理を提供している。広大なぶどう畑の向こうに広がる丘陵を一望し、天気がよければ外で風を感じながらのランチが可能だ。最近はワイナリーで食事をするツアーが増えてはいるが、ほとんどが日帰りプランであるため、ゆっくりとおいしいワインと食事を楽しむ余裕はあまりない。ワインの魅力を十分に堪能するには食事とそれを味わう時間が大切。宿泊することで時間的余裕が生まれ、よりじっくりとこの地域の魅力に迫ることができるのである。
また、ヤラバレーの景観美も、滞在する理由になる。夏は緑、収穫の秋は黄金に色を変える広大なワイナリーの景色はまさに圧巻だという。今回は収穫後の冬に訪れたが、幾重にも続くブドウの葉の緑がダンデノン丘陵を背景に広がるダイナミックな景色は見ごたえ十分。赤みが射す夕刻はさらに幻想的で、この景色はまさにヤラバレーならではといえる。
前出の旅行会社社員によると、「日帰りツアーでは何箇所かワイナリーを訪れワインテイスティングをすると疲れてしまい、帰りの車内ではメルボルンまで眠ってしまう人が多い」という。特に夕暮れ時の景色まで楽しむ人はほとんどいないという。ワインテイスティングや食事のあとに景色をゆっくり楽しむ時間をぜひ盛り込みたい。
宿泊先も楽しみのひとつに
宿泊自体もヤラバレーに滞在する目玉のひとつとなる。ヤラバレーには4ツ星以上の高級ホテルからデザインホテル、安価なロッジまで宿泊施設が多くあり、旅程や趣向にあわせた滞在が可能。ゆったりとした旅程を組むのであれば、食事も堪能できる高級ホテルに宿泊するのがおすすめだ。
今回、宿泊したシャトー・イェーリング・ヒストリック・ホテルは、オーストラリアに2軒のみというルレ・エ・シャトーの登録ホテルのひとつ。1854年に建てられたビクトリアスタイルの屋敷を利用したホテルで、250エーカーの広大な敷地内に32室の客室のみという贅沢なつくり。客室の内装はすべて異なり、ソファやシーツなどのリネン類もビクトリア調で雰囲気がある。2階からはヤラバレーのすばらしい景色を眺めることができ、日の出や夕暮れは特にロマンチックだ。
ホテル内のフランス料理レストラン「エレノアズ・レストラン」では、メニューリストを見たときから思わず目を奪われる。詳細まで日本語で表記され、前菜には「本マグロ・トロの昆布じめ」や「ボラのたたき」など日本人好みのメニューが多く、シニアの旅行者やちょっと洋食に飽きてしまった舌にはうれしいオリエンタルなテイストがそろう。最近では、メルボルン大学の日本人留学生が来豪した両親と滞在したり、ランチなど料理を目当てにやってくる日本人が増えているという。
ワイナリーめぐりと組み合わせるアクティビティや見所
宿泊した翌日はヤラバレーを上空から楽しむ熱気球など、ちょっと活発なアクティビティを体験するのも一案だ。ぜひ訪れてほしいのが、ヤラバレー中央部にあるヒールズビル自然保護区の「オーストラリア野生動物保護ヘルスセンター」。カモノハシの飼育園が有名だが、それ以外でもこの付近に生息する野生動物が傷ついた場合、保護・治療する役割を持っている。今年の2月に発生した山火事の際には多くの動物が治療を受けたという。ここでは動物の治療の様子はモニターで同時中継され、来館者がその映像を見られるようになっている。また、動物の心音が聞こえる聴診器や動物の目から見た人間の様子など、楽しみながら野生動物の命の大切さを学べる工夫もされている。教育旅行の素材としてはもちろん、一般の旅行者にも十分訪れる価値のある施設だ。
また、メルボルンからヤラバレーへの往路の道中に、蒸気機関車を利用するというのも単なる移動手段以上の魅力があり、おすすめだ。パッフィンビリー蒸気機関車はメルボルン近郊のベルグレーブ駅からジェムブルック駅までの24キロメートルを、ダンデノン丘陵やシダ峡谷などをぬって走るオーストラリア最古の蒸気機関車。ヤラバレーの最寄りのメンジーズ・クリーク駅までの20分の乗車時間中は、都市の街並みから郊外の自然へ移り変わる車窓の景色が楽しめる。スピードがあまり速くないので、窓に座って足をぶらぶらさせて、風を体感しながら景色を眺める乗客が多い。子どもだけでなく大人も十分楽しめ、丘陵の高低差が感じられる体験型のアクティビティとなる。
ワイナリーめぐり以外のアクティビティを盛り込むことができるのも、宿泊を組み込んだからこそ。ヤラバレーの本来の魅力を十分に引き出せるのが、1泊2日プランなのである。
オーストラリアへ、シンガポール経由でアクセスが多様に
カンタス航空(QF)は日本航空(JL)と6月から、
JLが運航する日本/シンガポール線とQFが運航
するシンガポール/オーストラリア線のコード
シェア運航を開始した。QFのシンガポール線は
メルボルンやパース、アデレードの3都市から就
航しており、JLとのコードシェア運航によって
成田、および関空からのオーストラリアへの
アクセスが広がった。特に関空発の就航地は
これまで、ジェットスター航空(JQ)の関空/
ゴールドコースト/シドニー/ケアンズの3都市であったが、今回のコードシェアにより計
6都市に拡充。成田までのアドオン運賃なしで、多数の都市へのアクセスが可能となる。
また、日本から直行便の無いオーストラリアの都市へ行く場合、オーストラリア国内で
国際線から国内線へ乗り継ぎをするため、経由地の空港で荷物をピックアップし、再度
チェックインをする必要がある。しかし、シンガポール経由の場合はすべて国際線での
乗り継ぎになるため、荷物のスルーチェックインが可能という利点がある。さらに、3地点
周遊で追加料金がかからない「オージーエアパス」での販売も可能。価格面のメリットは
大きく、その分を旅行内容に反映させることができる。
取材協力:オーストラリア政府観光局、カンタス航空、ビクトリア州政府観光局
取材:本誌 高橋絵美