アミューズトラベル主催登山ツアーで死亡事故−JATA、ガイドライン策定を検討へ

  • 2009年7月21日
 アミューズトラベルが主催した北海道大雪山系のトムラウシ山での登山ツアーで、参加者が死亡する事故が発生した。北海道警察によると、参加者15名と引率者(ガイド・添乗員)3名のうち参加者7名と引率者1名が悪天候の影響により死亡。残る8名はすでに生存が確認されている。これを受けてアミューズトラベルでは、ウェブサイト上に謝罪文を掲出するとともに、大雪山系ツアーを催行中止することを決定。また、代表取締役社長の松下政市氏は17日の記者会見で辞意を表明した。

 登山ツアーについては、今年3月に解散した旅行業ツアー登山協議会が2004年に「ツアー登山運行ガイドライン」を策定し、コースの難易度に対応した引率者の比率(ガイド・レシオ)を目安として表示。アミューズトラベルの担当者によると、同社ではかねて「安全第一」を掲げ、ガイド・レシオよりも多い比率となるよう引率者の数を設定していたという。トムラウシ山ではすでに「17回から18回はツアーを催行してきていた」といい、これまで問題は発生していなかった。事故の原因については「(衰弱により病院で手当てを受けていた)ガイドの体調が戻ってきたところ」のため、詳細はわからないという。なお、トムラウシ山以外のツアーの催行については、現在検討中の段階だ。

 こうした流れを受けて、日本旅行業協会(JATA)では「JATAとしてのガイドライン、ガイド・レシオを策定し、会員に周知徹底する」方針だ。ガイドラインの見直しの焦点については「17日に事故が発生し、さまざまな見解がある状態」であるため現在は定まっておらず、情報収集や事実確認を続けているところ。時期は「できる限り早い段階」をめざしており、第1回の会合を今月内に開催したいという。

 なお、ガイドラインの見直しはもともと今年度の事業計画に盛り込んでいたものの、新型インフルエンザの発生により手を付けられず、秋ごろをめざしていた。