ハワイ体験レポート:ビショップ・ミュージアムのガーデンツアー
多彩な植物の魅力に迫るハワイアン・ガーデンツアー
〜ビショップ・ミュージアムで人々の生活に活かされた植物と出会う〜
ハワイの歴史や文化、自然、科学などをひも解く博物館として知られるビショップ・ミュージアム。ここで、フラやウクレレのカルチャーレッスンが実施されているのは有名だが、ガーデンツアーも開催されていることをご存知だろうか。ミュージアム周辺の庭園には、実にさまざまな植物が植えられており、これらを解説付きで見てまわることができる。通年で花々が見られるハワイでも、最も色とりどりの花々が咲く春から夏のこの時期はまさに見ごろ。さらに季節の花々を楽しむだけではなく、多彩な植物をうまく生活に採り入れたハワイの人々のライフスタイルを知ることができる。リピーターにとっても興味深い体験となることだろう。
庭園を歩いて発見! 多彩な植物
ハワイアン・ガーデンツアーを案内してくれたのは、ビショップ・ミュージアムの日本人スタッフ、アイコさん。待ちあわせ場所へ行くと、赤いムームーを着て出迎えてくれた。このツアーは毎日催行が可能だが、リクエストベースなので参加者がいなければ休みとなる。カルチャーレッスンに比べると華やかなイメージに乏しいためか、1日1組、2組のみの参加も珍しくないそうだ。その分、参加者にとってはじっくりと植物について教えてもらえるよい機会となるのも確かだ。
ハワイアン・ガーデンツアーは本館正面のすぐ脇からスタート。大きな葉が重なりあうその奥に赤と黄色の鮮やかな花が咲いていたり、木の上には白い花や豆をぶらさげた黄色い花というように、よく見ると色とりどりの花が咲いている。5歩も歩くと今度は青いバナナの房がたわわに実り、その後にはパンの木に実がついていた。近年、日本でも有名になったノニの木もあり、木の下にはじゃがいものように白くなった実がゴロゴロ転がっている。ちなみに、ノニの実はかつて切り傷や吹き出物などの治療に使われた。現代の糖尿病や高血圧に良いとされている効果は信憑性に疑問があり、現在ハワイでも調査が進められているそうだ。
さらにガーデンの奥へ入っていくと、あでやかなハイビスカスやプルメリアが咲いている。ブーゲンビリアも含め、これらハワイを代表するかのような花々は実は外来種だ。ほぼ1年中咲いているので、いつ訪れても見ることができる。同じ外来種でもシャワーツリーは季節があり、見ごろは5月から6月。ピンクやクリーム色の花をつけるレインボーシャワーと黄色の花をつけるゴールデンシャワーがあり、ホノルルの街路樹としても認定されている。今年は少し開花が遅れているそうで、ここで見ることはできなかったが、空港からホノルルへ向う途中で黄金に染まったゴールデンシャワーを何本も見かけ、その度に目を奪われた。
ユニークな植物の活用法について学ぶ
ツアーでは、ハワイの人々のユニークな植物活用法についても教えてくれる。例えば鳥が大好きなククイナッツの実は、火種になるという。アイコさんが石で殻を砕くと、中から白い実がでてきてすぐに鳥がやってきた。ココナッツの器に突き刺した針金に実をつけ、ライターで火をつけると、あっという間に火が点く。
花壇の脇には赤いパーパラ・ケーパウが咲いていた。これは触るとベトベトする粘着性があり、鳥を捕獲するのに利用されていたという。ハラの葉は編んで敷物やカゴに使われ、繊維質の多い実は衣服や寝具の着色に利用された。悪霊を退ける力があるとされるティは魔除けとして植えられることもあり、お守りとして身につけたり、スポーツ観戦の際に振って応援するなど、今でも活用されているという。
ハワイの植物には、大きく分けて前述の外来種のほか、固有種、ポリネシア導入種の3種がある。固有種は、ハワイを含む一部地域に見られるもので、その中でもハワイでしか見られない植物をハワイ固有種という。代表的なのは、家具や楽器作りに重用されるコアの木やハワイ島の伝説を秘めた花、オーヒア・レフアなど。また、ハワイ固有種は現在、その多くが絶滅危惧種に指定されている。
約1500年前にポリネシア人が持ち込んだのがポリネシア導入種だ。この中には、ハワイアンの主食となったタロや19世紀の主産業となったコー(サトウキビ)のように、ハワイの人々の生活に採り入れられ、根付いたものが多い。前述のククイ、ハラ、ティをはじめ、マイア(バナナ)、ノニ、ウル(パンの木)、ニウ(椰子の木)もポリネシア導入種だ。
ラウハラの葉でクラフト作り
約1時間のガーデンツアーが終わると、広場のベンチでハワイアン・クラフト作りが体験できる。ラウハラの葉を使ったブレスレット作りで、好みの色のリボンを使う。出来あがりはなかなかおしゃれなのに、作り方はいたって簡単。どんなに不器用な人でも20分から30分もあれば完成できる。なにしろあらかじめ裂いてあるラウハラの葉に好みの色のリボンを交互にくぐらせていくだけなのだ。木陰で風にふかれながら集中していたら、あっという間にできてしまった。これなら、ちょっとしたお土産にもなりそうだ。
本館周辺のガーデンは決して広いものではないが、そこに植えられている植物の数は豊富で、よく見るとさまざまな花や実をつけている。説明を受けてはじめて気づくといった感じだが、一度知ると面白くて、もっといろいろ聞いてみたくなる。イラスト入りの解説カードをもらえるので、あとで復習するのに役に立つ。家族旅行なら子供と一緒に参加して、夏休みの自由研究にするのもいいだろう。
ガーデンツアーのスタートからクラフト作りまでで約1時間30分。これに毎日催行される11時30分からの日本語館内ツアーに参加すると、所要時間は約2時間となる。通常ツアーは9時30分にスタートし、10時15分からクラフト作り。11時から自由行動、11時30分から日本語館内ツアーという流れになっており、料金は30米ドル(3歳以下無料)。これにワイキキからの送迎を付けると45米ドル(3歳以下15米ドル)となる。今年8月には、ハワイアンホール・ギャラリーがリニューアルオープンを控えており、ビショップ・ミュージアムへリピートするなら、今度はぜひハワイアン・ガーデンツアーに参加してみるのもよいだろう。もちろん、初心者にもおすすめだ。
▽ビショップ・ミュージアム
www.bishopmuseum.jp
〜ビショップ・ミュージアムで人々の生活に活かされた植物と出会う〜
ハワイの歴史や文化、自然、科学などをひも解く博物館として知られるビショップ・ミュージアム。ここで、フラやウクレレのカルチャーレッスンが実施されているのは有名だが、ガーデンツアーも開催されていることをご存知だろうか。ミュージアム周辺の庭園には、実にさまざまな植物が植えられており、これらを解説付きで見てまわることができる。通年で花々が見られるハワイでも、最も色とりどりの花々が咲く春から夏のこの時期はまさに見ごろ。さらに季節の花々を楽しむだけではなく、多彩な植物をうまく生活に採り入れたハワイの人々のライフスタイルを知ることができる。リピーターにとっても興味深い体験となることだろう。
庭園を歩いて発見! 多彩な植物
ハワイアン・ガーデンツアーを案内してくれたのは、ビショップ・ミュージアムの日本人スタッフ、アイコさん。待ちあわせ場所へ行くと、赤いムームーを着て出迎えてくれた。このツアーは毎日催行が可能だが、リクエストベースなので参加者がいなければ休みとなる。カルチャーレッスンに比べると華やかなイメージに乏しいためか、1日1組、2組のみの参加も珍しくないそうだ。その分、参加者にとってはじっくりと植物について教えてもらえるよい機会となるのも確かだ。
ハワイアン・ガーデンツアーは本館正面のすぐ脇からスタート。大きな葉が重なりあうその奥に赤と黄色の鮮やかな花が咲いていたり、木の上には白い花や豆をぶらさげた黄色い花というように、よく見ると色とりどりの花が咲いている。5歩も歩くと今度は青いバナナの房がたわわに実り、その後にはパンの木に実がついていた。近年、日本でも有名になったノニの木もあり、木の下にはじゃがいものように白くなった実がゴロゴロ転がっている。ちなみに、ノニの実はかつて切り傷や吹き出物などの治療に使われた。現代の糖尿病や高血圧に良いとされている効果は信憑性に疑問があり、現在ハワイでも調査が進められているそうだ。
さらにガーデンの奥へ入っていくと、あでやかなハイビスカスやプルメリアが咲いている。ブーゲンビリアも含め、これらハワイを代表するかのような花々は実は外来種だ。ほぼ1年中咲いているので、いつ訪れても見ることができる。同じ外来種でもシャワーツリーは季節があり、見ごろは5月から6月。ピンクやクリーム色の花をつけるレインボーシャワーと黄色の花をつけるゴールデンシャワーがあり、ホノルルの街路樹としても認定されている。今年は少し開花が遅れているそうで、ここで見ることはできなかったが、空港からホノルルへ向う途中で黄金に染まったゴールデンシャワーを何本も見かけ、その度に目を奪われた。
ユニークな植物の活用法について学ぶ
ツアーでは、ハワイの人々のユニークな植物活用法についても教えてくれる。例えば鳥が大好きなククイナッツの実は、火種になるという。アイコさんが石で殻を砕くと、中から白い実がでてきてすぐに鳥がやってきた。ココナッツの器に突き刺した針金に実をつけ、ライターで火をつけると、あっという間に火が点く。
花壇の脇には赤いパーパラ・ケーパウが咲いていた。これは触るとベトベトする粘着性があり、鳥を捕獲するのに利用されていたという。ハラの葉は編んで敷物やカゴに使われ、繊維質の多い実は衣服や寝具の着色に利用された。悪霊を退ける力があるとされるティは魔除けとして植えられることもあり、お守りとして身につけたり、スポーツ観戦の際に振って応援するなど、今でも活用されているという。
ハワイの植物には、大きく分けて前述の外来種のほか、固有種、ポリネシア導入種の3種がある。固有種は、ハワイを含む一部地域に見られるもので、その中でもハワイでしか見られない植物をハワイ固有種という。代表的なのは、家具や楽器作りに重用されるコアの木やハワイ島の伝説を秘めた花、オーヒア・レフアなど。また、ハワイ固有種は現在、その多くが絶滅危惧種に指定されている。
約1500年前にポリネシア人が持ち込んだのがポリネシア導入種だ。この中には、ハワイアンの主食となったタロや19世紀の主産業となったコー(サトウキビ)のように、ハワイの人々の生活に採り入れられ、根付いたものが多い。前述のククイ、ハラ、ティをはじめ、マイア(バナナ)、ノニ、ウル(パンの木)、ニウ(椰子の木)もポリネシア導入種だ。
ラウハラの葉でクラフト作り
約1時間のガーデンツアーが終わると、広場のベンチでハワイアン・クラフト作りが体験できる。ラウハラの葉を使ったブレスレット作りで、好みの色のリボンを使う。出来あがりはなかなかおしゃれなのに、作り方はいたって簡単。どんなに不器用な人でも20分から30分もあれば完成できる。なにしろあらかじめ裂いてあるラウハラの葉に好みの色のリボンを交互にくぐらせていくだけなのだ。木陰で風にふかれながら集中していたら、あっという間にできてしまった。これなら、ちょっとしたお土産にもなりそうだ。
本館周辺のガーデンは決して広いものではないが、そこに植えられている植物の数は豊富で、よく見るとさまざまな花や実をつけている。説明を受けてはじめて気づくといった感じだが、一度知ると面白くて、もっといろいろ聞いてみたくなる。イラスト入りの解説カードをもらえるので、あとで復習するのに役に立つ。家族旅行なら子供と一緒に参加して、夏休みの自由研究にするのもいいだろう。
ガーデンツアーのスタートからクラフト作りまでで約1時間30分。これに毎日催行される11時30分からの日本語館内ツアーに参加すると、所要時間は約2時間となる。通常ツアーは9時30分にスタートし、10時15分からクラフト作り。11時から自由行動、11時30分から日本語館内ツアーという流れになっており、料金は30米ドル(3歳以下無料)。これにワイキキからの送迎を付けると45米ドル(3歳以下15米ドル)となる。今年8月には、ハワイアンホール・ギャラリーがリニューアルオープンを控えており、ビショップ・ミュージアムへリピートするなら、今度はぜひハワイアン・ガーデンツアーに参加してみるのもよいだろう。もちろん、初心者にもおすすめだ。
▽ビショップ・ミュージアム
www.bishopmuseum.jp
緑の公園経由でアラモアナへ
ワイキキは緑や花々が多い街だ。散策するだけでも、
鮮やかな花やユニークな形の植物が、目を楽しませて
くれるし、憩いの場となる公園も身近にある。その中
で意外と見過ごされているのは、フォート・デルーシ
ー公園ではないだろうか。ワイキキビーチの東にカピ
オラニ公園があることはよく知られているが、その反
対側、つまりワイキキビーチの西に位置し、西側の
ホテルからもアクセスしやすい。
ここは米軍が管理する公園だが誰でも自由に入るこ
とができ、一歩足を踏み入れればよく整備された緑が
広がる。カラカウア通り沿いを歩いているだけでも、
ハイビスカスやシャワーツリー(見ごろは5月から6月)
が咲いているのを見ることができる。滞在のひととき
に、朝夕のウォーキングをするのもおすすめ。さらに
花探しよりも気持ちがいいのは、大木が作り出す木陰
の下を歩くことだ。この中を突っ切っていくと、すぐ
そこにはヒルトン・ハワイアン・ビレッジがある。
おすすめは、ワイキキからアラモアナセンターへの
通り道として利用すること。公園の中を歩いてヒルト
ンに入り、ヒルトン内のショッピングモールもチェック。
元気のある人はそのままアラモアナ・ブールバードを
歩いて行ってもいいし、ヒルトン前からザ・バスの8番
もしくはワイキキ・トロリーのピンクに乗って行くこ
ともできる。目的地までの道中も、ちょっとした観光
気分で楽しめるだろう。
今週のハワイ50選
ビショップ・ミュージアム(オアフ島)
ワイキキ(オアフ島)
アラモアナセンター(オアフ島)
取材協力:ビショップ・ミュージアム
取材:竹内加恵