DS模擬問題:エジプト編 ファラオの力の象徴、オベリスク

  • 2009年6月15日
問 完成すれば世界最大となったといわれる「未完のオベリスク(切りかけのオベリスク)」が見られるのはどこか。

A ルクソール
B ヘリオポリス
C アスワン
D カイロ


−−正解は下記へ



ココに注目!






▽オベリスクはファラオの力の象徴

 古代エジプトでは、神殿の門前の両脇に巨大な石造の記念碑が立てられた。先に向かって細くなるこの角柱は「オベリスク」と呼ばれるもので、ピラミッドの形をした先端部は、当時、金や銅などで覆われ、太陽の光を反射して太陽神のシンボルとしての役割を果たしていたといわれる。オベリスクの側面には、ファラオ(王)の名前や功績などが、神への“報告”として刻まれた。オベリスクは、ファラオの威厳や力を示す象徴だったのである。

 残念ながら、こうしたオベリスクの多くは、諸外国の戦利品として、また近代から現代にかけては各国への寄贈品として、国外に持ち出され、イタリア、トルコ、イスラエル、フランス、アメリカ、イギリスなどに点在している。パリのコンコルド広場にあるオベリスクはよく知られるところだろう。

 いずれのオベリスクも巨大なものだが、実はさらに大きなオベリスクが造られる可能性があった。その証拠が、エジプト南部のアスワンに残る「未完のオベリスク(切りかけのオベリスク)」。エジプト南部、ナイル川沿いに位置するアスワンは、古代エジプトの時代からオベリスクや神殿などの原料である花崗岩が採れることで知られ、今も石切場の跡を見ることができる。そこに残されているのが、切り出される途中のオベリスクで、その長さは約42メートル、推定重量は1200トン。完成すれば、世界最大のものとなったことは間違いない。未完のままなのは、切り出しの途中で裂け目が入ったため。巨大なオベリスクはどれも一枚岩の花崗岩から造られるため、亀裂が入った時点で放棄されてしまったのだ。これほど巨大なオベリスクが誰のものであったのかは、銘がないためわかっていない。

 ちなみに、このアスワンの石切場跡は、古代エジプト人が有していた高い技術に触れる重要な資料でもある。彼らは、巨岩に切り込みを入れてくさびを打ち込み、そこに水をかけた。木製のくさびは水を含んで膨張し、岩を砕く。古代エジプト人は、こうして花崗岩を自在に切り出し、オベリスクやピラミッド、神殿、像などを造ったのである。


▽ラムセス2世のオベリスクの1本はパリへ
  
 エジプトに現存するオベリスクで最も有名なのは、ルクソール神殿前にあるラムセス2世のオベリスクだろう。神殿入口の巨大な塔門の前に、一対のラムセス2世の巨大な座像とともにそびえている。オベリスクは対になっているのが普通で、ここにもかつては2本あったが、1本は近代エジプトの基礎を築いたムハンマド・アリーがフランスに寄贈したため(これがコンコルド広場に立つオベリスク)、現在ここで見られるのは1本のみ。ちなみに、このときフランスのルイ・フィリップ国王からは、エジプトに時計台が贈られた。

 エジプトに現存する最大のオベリスクは、高さ約30メートルのハトシェプスト女王のオベリスクだ。ハトシェプスト女王は、自らの業績を神々に報告するためにオベリスクを4本造ったといわれるが、そのうちの1本がルクソールにあるカルナック神殿のアモン大神殿で見られる。ちなみに、神殿の敷地内には、もう1本が倒れた状態で残されている。






正解:C