NY市観光局、09年のマーケティング戦略、キーワードは「お値打ち感」

  • 2009年5月25日
 ニューヨーク観光局(NYC & Company)は5月19日、マイアミで催されていた「インターナショナル・パウワウ2009」の会場で、今年度のマーケティング戦略を発表した。NY観光局のCEOであるジョージ・ファティタ氏は「世界経済の落ち込みにもかかわらず、NYは世界中の人々を呼び寄せるにふさわしい魅力を持ち続けている。NYへの旅は“高い”というイメージを払拭し、どれほど付加価値があり、リーズナブルな予算で訪れることができるかをアピールしていきたい」と述べ、いわゆる“お値打ち感”の高いNYをマーケティングの基軸としていくことを示した。

 今年のマーケティング戦略のキーワードは「バリュー」。ホテルやレストラン、劇場、その他のアトラクションでのディスカウントを前面に出し、“お値打ち”感で訴求効果を出そうというものだ。その中心となるのが「NYC:The Real Deal」。一つ正価で購入すれば、それと同価値の2つ目を半額にするというキャンペーンで、すでに90ヶ所以上の業者が協力を申し出ているという。この他、日曜の夜に宿泊するとホテル料金が20%から30%割安になる「Sunday Stays Program」や、マンハッタンの最高級ホテルに2泊連泊すると3泊目が無料になるプログラムなどに協力するホテルも増えている。7月12日から31日まで催される「サマー・レストラン・ウィーク」は35米ドルで3コースのディナーを楽しめるというイベントで、すでに多くの有名レストランが協賛する予定だ。

 さらに今年はヘンリー・ハドソンが現在のニューヨークを“発見”してから400年にあたり、記念行事が多く予定されている。2000年以来休止されていたメーシーズの独立記念日花火大会も400周年を記念して復活されるほか、9.11事件以来、閉鎖されていた自由の女神の冠部分にある展望台も7月4日から再び公開される。この他、リンカーン・センターやグッケンハイム美術館の創立50周年、アポロ劇場の創立75周年なども開催される予定。さらに、ブロードウェイのショーは43もの公演がされることになっており、1982年以来最もにぎやかな年になりそうだ。

 また、今年から来年にかけては、プラザ・ホテルのリニューアル・オープンをはじめ、マンハッタンやブルックリン周辺に60軒以上のホテルが新築または改築され、1万5500以上の客室が増える予定。ファティタ氏は「NYはユニークなエネルギーに満ちた都市。マンハッタンだけではなく、ブルックリンなどそれぞれ魅力があることを知ってもらい、多くの人に訪れてもらいたい」と語った。(取材:宮田麻未、写真:神尾明朗)