成田、08年度最終利益は45.5%減の59億円−新型インフルは混乱なし

  • 2009年5月18日
 成田国際空港の2009年3月期決算(2008年4月1日〜2009年3月31日)は、営業収益が前年比5.2%減の1894億8900万円、営業利益が28.7%減の234億4200万円の減収減益となったものの黒字を確保した。営業収益は世界経済低迷の影響を受け、日本人、外国人ともに旅客が減少したことで旅客サービス施設使用料収入が減少するとともに機材の小型化や低騒音化の促進で空港使用料収入や給油施設使用料収入も減少したことなどが影響した。また、経常利益は39.9%減の141億7600万円となり、当期純利益は45.5%減の59億5700万円と大幅に前年を下回った。

 成田国際空港代表取締役社長の森中小三郎氏は当期純利益について、「中間期連結業績発表時には61億円と下方修正しており、その後の経済危機などを考慮すれば予想通り」と述べた。また、2010年3月期連結業績の見通しについては、「予測しにくい状況だが2010年の容量拡大に向けて努力していく」と話す。4月末時点で増枠する発着枠のうち約60%が埋まっており、今後の中国および、アメリカとの交渉で残りの枠に大きく影響するという。2010年には中東路線の乗り入れも決定しているが、「国際路線の基幹空港として新規路線就航実現をめざす」と積極的な姿勢を示した。

 2010年3月期通期の連結業績予想は、営業収益が6.0%減の1781億円、営業利益が36.4%減の149億円、経常利益が62.6%減の53億円、純利益が71.5%減の17億円。前年度に新規就航した路線の通年化や今期の新規就航路線などを見込む一方で、経済低迷による機材小型化などが継続すると予想し減収の見通しだ。純利益は平行滑走路の延伸関連工事が完了することで特別損失が減少するものの早期供用開始のための費用や営業収益減収により前年度を大幅に下回る予測だ。

 なお、新型インフルエンザの影響で混乱や大幅な航空便の遅れなどは発生していない。当初3時間ほどかかっていた検疫も現在では1時間ほどに短縮できており、森中氏を始め成田空港職員も実際に質問表の回収や利用客の誘導などをおこなうこともあり、現場との共通認識を持って対応しているという。


▽関連記事
成田と関空、08年度の国際線旅客数はともに8%減(2009/04/24)