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Marriott Bonvoy

アントワープ、フランダース地方の周遊拠点として、もう1泊の滞在アピール

  • 2009年5月11日
 ベルギーのフランダース地方を代表する都市のひとつ、アントワープから同市副市長のフィリップ・ヘイトン氏と同市観光局局長のアニック・ボガール氏が来日、日本市場に向けて同市の魅力をアピールした。アントワープにとって日本人旅行者は現在12番目の位置付けだが、アジアでは1位を占めており、近年肉薄している2位の中国人マーケットと比べても消費額の高さから寄せる期待は大きい。

 旅行者の動向は、2008年は厳しい年だったが、周辺他都市の宿泊客数が減少したなか、アントワープへの旅行者は宿泊客ベースで3.2%増とわずかながら伸びを維持。延べ宿泊客数の150万人は当初目標としていた170万人を下回ったものの、この数値を維持することに力を注ぐ。「今は苦しい時期だが、過去の例をみても経済不況の波は繰り返されており、これはやがて来る好景気の前触れでもある。今は日本をはじめ北米、中国など、新マーケットを開拓し、観光客誘致のための活動や積極的な施設開発をして、旅行者の到来に備えるべき時でもある。こうしたことは旅行者が動き出してからアピールしても遅いので、今が大切な時期と考えている」と話す。


▽古典と最先端のバランスが街の魅力に

 アントワープはゲントやブルージュなど他の都市を巡るにも便利なロケーションで、フランダース地方の交通の要衝としての役割を果たしており、ブリュッセルやアムステルダムへも鉄道で気軽にアクセスできる。ボガール氏は「フランダース地方での日本人旅行者の平均宿泊日数は3.6泊で、そのうちアントワープは1泊程度だが、ブリュッセルやアムステルダムと比べ割安に宿泊できるアントワープに2泊して、その価値を十分味わって欲しい」とアピール。

 市内には大聖堂やルーベンスの家といった古典的な観光スポットが多数ある一方で、ファッションや現代建築に代表されるように常に新たな要素が加わっており、その2つのコンビネーションが最大の魅力となっている。アントワープ市では中心部において車の乗り入れを制限するなど、歩行者にやさしい街づくりのための投資をしており、旅行者が気軽に散策を楽しめる街並みづくり着手している。セグウェイを使ったツアーの提案をはじめ、市内の主要な観光アトラクションに旅行者が散策をしやすくするための標識を今夏までに170ヶ所設置するなど、環境整備に注力する。現在、大聖堂での日本語ツアーをデイリーベースで実施しているが、主要観光スポットでの日本語のパンフレットの設置も進めていく方針という。さらに、ウェブサイト上でアントワープの2日間過ごし方のモデルコースを紹介しているほか、サイトも年内にリニューアルし、インタラクティブな機能を付加する予定だ。

 今後の観光の新素材のひとつが、来年9月にオープンを計画している新しい博物館「MAS」だ。最先端の現代建築のモデルともなる粋を凝らした建物で、アントワープの過去から現在、未来へと続く市の歴史を物語る場所となるほか、これまで展示スペースの関係で実現できなかった世界的な巡回展示にも着手。2010年にはナポレオン展、翌年にはあらゆるジャンルの宗教をテーマにした大規模なアート展も計画している。