日旅、富裕層向けパッケージ商品を新たに展開−「画一化からの脱却」めざす

  • 2009年4月17日
 日本旅行は富裕層向けにオーダーメイド商品を企画、販売する特定マーケット営業推進室「e3time(イースリータイム)」セクションで、新たにパッケージ商品「地球の贈りもの」の販売を開始した。イースリータイムではこれまで、顧客のニーズにあわせてその都度手配していたが、年間を通して販売可能なパッケージ商品を展開することにより、シェア拡大とリピーター獲得をめざす。イースリータイムの2008年の取扱額は約2億円で、2009年は今回の商品だけで1億円、全体で約4億円の取扱をめざす。

 今回発売したパッケージツアーでは、旅行商品ごとに美術や音楽、自然、動物などテーマを設定。メインターゲットとなる旅慣れた人にも満足してもらえるよう、個人では手配の難しいエリアや期間限定のイベントなどを組み込んだ。航空機はビジネスクラスの利用が基本となるが、「航空運賃は節約して観光やホテルにお金をかけたい」など消費者の「こだわりと割り切り」を意識し、カスタマイズできるようにした。これは、旅行の行程を消費者との対話により決定する「Bespoke(ビスポーク)プラン」を取り入れたもので、出発日や見学場所、食事内容、ホテルのアレンジなど細やかな対応を可能とした。また、自分たちだけのグループで旅行したいといった要望に応えるため、別途手配旅行での申込みも受け付ける。所有するマイレージカードの航空会社への変更にも対応する。

 商品の設定期間は6月5日から9月26日までで、周遊型と滞在型コースを用意。今回販売を開始した周遊型コースでは、休みが取りにくくても参加しやすいよう、ヨーロッパを中心としたプランで最長9日間、1都市滞在では6日間の日程を主にそろえている。添乗員は一部コースを除いて同行せず、最少催行人数を2名から6名に抑えることで個人旅行感覚を楽しめるようにした。旅行代金は、例えばプロヴァンス芸術紀行8日間の場合138万円から。滞在型コースは4月下旬から順次発売していく予定だ。


▽富裕層向け商品を再構築−消費者目線でニーズにあわせた提案を

 イースリータイムセクションマネージャーの才木剛氏は、「富裕層向け商品が画一化してきている」と指摘したうえで、「少し工夫することで顧客の細かなニーズに応えることができる」と今回の商品展開に自信を示す。富裕層を対象にした商品展開では、5ツ星ホテルやファーストクラスなど豪華な素材を集めただけでハード面ばかりが強調される傾向にあることを例にとり、「ひとりひとりのニーズを見つめ直して富裕層マーケット向けの商品を再構築したい」と意気込む。また、これまでは需要が一部の時期に集中することがあったため、年間を通した販売によりさらなる集客をめざしたい考えだ。2007年の立ち上げ当初はターゲットを時間に余裕のある熟年層やシニア層ではなく「現役世代のエグゼクティブや医師」など、短時間でも充実した旅行を求める人に設定していたが、ゴールデンウィークや年末年始など、休暇のとれる時期に集まっていた。2009年からは、「通年を通して取り込んでいきたい」という。

 今回のパッケージ商品は、店頭へのパンフレット掲出はせずにダイレクトセールスをおこなっていく。また、法人へは全国30支店の法人セールス担当支店長や副支店長などが直接セールスを展開する。才木氏は、「直接先方に出向いたり電話をするなど顧客のニーズを聞き出して対応していく」考えで、当面は店舗展開は実施しないという。このほか、4月下旬には日本旅行ウェブサイトにイースリータイムのページを開設する予定だ。