取材ノート:カナダが初の合同セミナー開催、各州、エア・カナダが参加

  • 2009年4月15日
 カナダ観光局(CTC)は4月7日に大阪、8日に東京で、ブリティッシュ・コロンビア州(BC)、観光局、アルバータ州観光公社、オンタリオ州観光局、ユーコン準州観光局の国内各州とエア・カナダ(AC)と合同で「カナダ スプリング・セミナー」を開催、それぞれ最新情報を含むプレゼンテーションを実施した。カナダ観光局マーケティング・プローモーション・マネージャーのアンソニー・リッピンゲール氏によると、このような合同セミナーは初の試み。現在、カナダの観光旅行市場も厳しい状況にあるが、互いに協力しあうことで危機をチャンスに変え、セールスポイントを探す好機であると捉えている。積極的にカナダの魅力をアピールし、今後の飛躍に結び付けられればとセミナー開催に向けて前向きな姿勢を示した。

 CTCは、カナダ全体をBC州、アルバータ州の西部、サスカチュワン、マニトバ州の中部、オンタリオ、ケベック州の中・東部、プリンスエドワード島などがあるアトランティック、そしてユーコン、北西準州、ヌナブト準州の北部と5つのエリアに分け、それぞれの見所を紹介。農業地帯で観光客があまり行かない中部ではファームステイや完全に英語だけの環境での語学研修を勧めるなど、新しい企画を提案した。

 また、(ACは現在の予約動向を紹介。4月1日以降、オンラインの予約件数がそれまでの1日4、5件から200件を数えるようになったという。燃油サーチャージの下落の影響を痛感したとし、今後の展開に期待する。ACの夏スケジュールは、成田からカナダへ週14便(バンクーバー7便、トロント7便)が運航。使用機材は4月がボーイングB767型機、5月はエアバスA330型機、7月にはボーイングB777型機と、シーズンに向けて大型化することを紹介した。

 このほか、BC州、アルバータ州、オンタリオ州、ユーコン準州がそれぞれ基本情報や見所についてプレゼンテーションを実施。詳細情報は個別セミナーで提供した。


▽大阪発の需要、教育旅行関係が堅調  

 08年下期からACが関西線を運休したことで、大阪会場は参加者の新たな旅のヒントを求める意欲が強くうかがえた。運休により、ツアーの催行や関心の低下などが懸念されたが、AC東京支社旅客営業部の阪井裕司氏によると、関西からの修学旅行や研修旅行の利用は減っていないという。「カナダが安全な場所であること、自然の素晴らしさ、英語の美しさ、ホスピタリティの良さが、保護者に認知されている」ことが、成田での乗継が必要であっても修学旅行の目的地として継続して選ばれる理由だとする。今後は「需要の多さをアピールし、関空路線の再開を要請していきたい」と復便への意欲を話した。

 参加者からも関空発の需要について、同様のコメントがあった。あるオペレーターは「直行便がなくなったことでカナダが遠いというイメージが広がったのは否めない」としながら「教育関係のツアー、修学旅行、スタディツアーなどはそれほど落ち込んでいない」という。そこで今後はボランティア体験の旅など新たな切り口での商品開発に意欲的。また、ある旅行会社からは「成田経由にお客様が少しずつ、慣れてきているようだ」との動向も明かした。


▽各州の個別セミナー 

■ブリティッシュ・コロンビア州−2010年冬季オリンピック開催 

 2010年2月12日から開催される冬季オリンピックとパラリンピックに向け、開催地であるバンクーバーとウィスラーを中心に観光情報を提供。カナダラインが9月7日に開通し、空港からダウンタウンまでの所要時間が直行で25分となったほか、オリンピック会場でもあるリッチモンド地区へアクセスできるようになり、交通の利便性をアピール。また、予約が厳しくなっている宿泊施設については、リッチモンド地区での滞在を提案。バンクーバー市内よりも宿泊料金の平均額が低く、さらに最近はレストランなどが増えているという。オリンピックへ向け、各種のメディア露出とともにカナダ旅行の需要喚起を期待する声もあがった。


■アルバータ州−教育旅行や語学研修など

 カナダに15ある世界遺産のうち5つがアルバータ州内にあることを紹介し、教育旅行の最適地であることをアピール。シニア向けの語学研修も視野に入れており、学ぶより楽しむことを目的に、ハイキングなどのアクティビティや現地のシニアとの交流を含めた教育旅行プランを提案した。また、ウェブサイト上で展開する『Vacations Canada TV』を案内。レポーターが取材形式で見所を紹介するもので、トレーニングツールとしても役立てて欲しいとアピールした。参加者はオンラインブローシャーやウェブページとの連動など、幅広い活用を期待していた。


■オンタリオ州−リドー歴史街道とフライ&ドライブ

 オンタリオ州では、2007年にオンタリオ州で初めて世界遺産に登録されたリドー運河や運河沿いに続く「リドー歴史街道」を素材にしたモデルルートを紹介。リドー運河は、首都オタワからオンタリオ湖岸の町キングストンまで伸びる運河。建設当時の面影を残す史跡、現在も稼働する水門所など多くの見どころが点在する「リドー歴史街道」沿いの町に立ち寄る6日間のクルーズなどを紹介した。また、「フライ&ドライブ」のテーマのセミナーも実施。紅葉期の定番ルートであるトロント/キングストン/ケベック州に、クイーン・シャーロット・カウンティなどの新エリアを組み込んだ新たな切り口を提案した。


■ユーコン準州−夏のアクティビティとオーロラ

 BC州とノースウエスト準州、アメリカのアラスカ州のあいだに位置するユーコン準州は、夏のアクティビティも充実している。ユーコン川くだりや、ハイキング、サイクリングなどさまざまで、初心者から熟練者まで対応できるコースがある。ボートや鉄道での旅なら車椅子の人でも楽しめるといい、装備も専門のアウトフィッターに任せられるので誰でも気軽に大自然を堪能することができる。ベストシーズンは5月下旬から9月中旬。必ず現地のウィルダネスガイドを雇うことなど、注意点も話された。また、ユーコン準州はカナダの新しいオーロラデスティネーションであり、オーロラのセミナーの時間も設けられた。