成田空港の発着枠拡大に向け検討開始−30万回で経済波及効果は1.2兆円増

  • 2009年1月27日
 国土交通省と千葉県、地元自治体、成田国際空港(NAA)からなる四者協議会は1月23日、成田空港の更なる容量拡大に向けて騒音や飛行ルートの課題について検討を開始することで合意した。国土交通省が、可能な限り騒音の影響を拡大させないで済む飛行ルートを検討し、それを踏まえてNAAが増枠後の予測騒音コンター(予測される騒音レベルの大きさを地図上で表すもの)を作成する。NAAは、予測騒音コンターの提示の際には、環境対策と地域共生策についての基本的な考え方をあわせて示すことが求められた。

 成田空港の発着枠は、2010年に現在の20万回から22万回に増加するが、外国航空会社の旺盛な乗り入れ意欲を満たせないと予想されている。これに対してNAAでは、昨年3月に空港周辺の地元自治体による「成田国際空港都市づくり推進会議」に対して、2本の滑走路の長さや運用時間を変えることなく30万回まで増枠が可能と説明し、発着枠が増加した場合の地元へのメリットを試算することが決まっていた。


▽経済波及効果は07年比で1兆1833億円増、航空旅客数は50%増を想定

 このほど示された「成田国際空港の容量拡大に伴う経済波及効果調査」の中間報告によると、発着回数が30万回に増加した場合の千葉県への経済波及効果は、2007年と比較して1兆1833億円増、建設投資を除いても5295億円増加する。22万回の場合は、2725億円増(建築投資を除くと1102億円増)の見込み。このほか、30万回の効果としては、雇用創出効果が7万3000人増(22万回:1万7000人増)、税収効果も398億円増(同:92億円)となる予想だ。

 なお、この前提となる航空旅客数と航空貨物数は、22万回時は10%増程度、30万回時は50%増程度を想定している。また、経済波及効果の推計にあたっては、航空券の売上や海外旅行に伴う県内消費、外国人の消費なども考慮している。

 今後のスケジュールとしては、2月中旬をメドに周辺自治体への経済波及効果を算定。その結果を3月上旬に検証して3月末をメドに報告書をとりまとめ、4月以降の成田国際空港都市づくり推進会議で報告する予定だ。