現地レポート:オーストラリア NSW州北部でフライ&ドライブ
ニュー・サウス・ウェールズ州北部でフライ&ドライブ
ジェットスター航空のゴールドコースト便で新たな旅行可能に
昨年12月18日にジェットスター航空は成田/ゴールドコースト便を開始。これにより首都圏からゴールドコーストへのアクセスが格段に便利なっただけでなく、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州北部への観光もさらに身近になった。ゴールドコーストはクイーンズランド(QLD)州の南端にあり、空港自体がQLD州とNSW州に分かれている場所にある。NSW州といえばシドニーが中心だが、空港を基点にすれば新たなNSWの魅力をめぐることができる。おすすめは、フライ&ドライブ。NSW州北部には海、山、そして独特の文化など、ゴールドコーストとは異なるユニークな観光素材があふれている。
空港そのものも、見どころのひとつ
ゴールドコースト中心のサーファーズ・パラダイスから南へ車でおよそ30分、ゴールドコースト空港の敷地はQLD州のクーランガッタとNSW州のツィードヘッドに分かれている。州境を走るボンダリー・ストリートも中央分離帯を挟んで片側車線がQLD州、反対車線がNSW州に分かれ、海に面した突きあたりに州境のモニュメント「ポイント・オブ・デンジャー」がある。
州境といっても、当然ながら同じオーストラリア。国境ではないので移動に何の支障もない。しかし、夏時間(10月〜3月)は要注意だ。夏時間を採用しているNSW州に対して、QLD州は不採用。道路を挟んだだけで1時間の時差が出てくる。夏にゴールドコースト空港に到着した日本人観光客は、まずこの「ポイント・オブ・デンジャー」に立って、その不思議な感覚を味わうことが多いようだ。
FITからグループまで、幅広い層にアピール可能な素材
サーファーズ・パラダイスから南へおよそ45分、広大な土地に広がる「トロピカル・フルーツ・ワールド」はドライブの途中に立ち寄るのにぴったりの観光素材だ。アボガド栽培から開始され、現在では500種類以上のフルーツが栽培されている。園内はトラムでまわり、それぞれのフルーツやこの土地の特徴の説明を受けながら、南国フルーツの試食も可能。園内には子ども向けのアトラクションが整う公園もあるほか、BBQランチを楽しめるなど、特にファミリー層にぴったりの場所。アボガドのオイルを抽出して作られたオリジナルのソープやボディオイルも、お土産として人気がある。
また、マッドクラブ(泥カニ)の釣りツアーも名物。ツィードヘッドは内陸から流れ出るツィード川が太平洋に注ぐ肥沃な土地で、その河口のデルタには多種多様の野鳥や動物が生息し、その代表的なのが沼地に生息するマッドクラブ(泥カニ)。これを観光資源として、数社の現地オペレーターが泥カニ釣りのツアーを催行しているのだ。
このツアーは釣りを楽しむだけでなく、60種類近い野鳥が生息する地帯を巡るため、自然体験的なクルーズとしても人気が高い。船をチャーターすることもできるので、ドライブで訪れたFITだけでなく、インセンティブや修学旅行などさまざまなグループにも対応することが可能だ。
個性的なビーチで遊び、ラグジュアリー・リゾートに泊まる
ゴールドコーストからツィードヘッドを抜けてさらに南に走ると、サーフスポットとして有名で、個性的な若者文化が興味深いバイロンベイに着く。白浜のビーチに面した街は小さいながらも、アートギャラリーやスタイリッシュなレストラン、カフェなどが並び、歩いているだけで楽しい。その開放的で自由な空気は、観光客で賑わうサーファーズ・パラダイスとは異なる清々しさだ。
街の中心から15分ほど離れた場所にある大人の隠れ家的リゾート「ザ・バイロン・アット・バイロン・リゾート&スパ」も注目したい。広い敷地内には、エコ・フレンドリーというコンセプトのもと、周辺の自然と見事に調和したスイートルームが点在する。各部屋にはキッチンも付いており、長期滞在も可能。プライベートアクセスのビーチも近く、プール、スパ、ジムなど、リゾートには欠かせない施設も整う。
同リゾートのジェネラル・マネージャーのリン・パーチェ氏は「ジェットスターのゴールドコースト/成田便の開設はうれしいこと」と、今後、日本人宿泊者が増えることに期待を示す。空港から車で約1時間というアクセスを考えれば、新たなリゾート・デスティネーションとして人気を集めそうだ。
このほか、街からおよそ10分の位置にあるケープバイロン灯台も見どころのひとつ。白亜の美しい灯台が、青い太平洋を背景にして映える。キャプテン・クックゆかりのこの岬はオーストラリア最東端。灯台から岬の突端までは遊歩道が整備され、途中に立つ最東端を示す表示は絶好のフォトポイントだ。灯台まではカーブが続き、道も広くないが、スピードを出さなければ何の問題もない。灯台の前には駐車場(有料)も完備されているので、ゆっくりと岬を散策することもできる。バイロンベイの街から灯台を訪れることができるのもドライブの旅ならでは。レンタカーの機動性を十分に発揮できる場所だ。
大自然の恵みを心、体で体験
NSW州北部に広がる多雨林地帯。その圧倒的な自然を体験するなら、ウォーニング山がおすすめだ。この山は、オーストラリア中東部多雨林保護区群としてユネスコ世界遺産に指定されている地域の一部。ゴールドコーストからおよそ1時間と気軽に訪れることができる。ウォーニング(Warning)とは、オーストラリア大陸を発見したキャプテン・クックが周辺海域での座礁を避けるため、この山が見えたら注意するようにと「警告」の意味で名付けたもの。その尖った独特の形状は「ポイント・オブ・デンジャー」からもよく見える。山頂までは往復約9キロメートル、変化に富んだ登山道が続く。本格的なトレッキングに挑戦しなくても、駐車場から200メートルほど続くライアーバード・ルックアウトまでの遊歩道を歩けば、この地帯独特の自然の一端を観察することは可能だ。
麓には魅力的な宿泊施設やレストランも点在する。3つのコテージからなる「ウランビン・パームス・リトリート」は、カップルだけを受け入れるというユニークな宿泊施設。各コテージは、『Air』『Water』『Earth』という異なるコンセプトのもとラグジュアリーな滞在を提供。大自然の中、静かに2人で時を過ごしたい、ハネムーナーにぴったりの場所だ。
ウォーニング山から30分ほど南に下ると、ニンビンという街に出る。ヒッピー文化が色濃く残る刺激的な街だ。街自体は小さいが、メインストリートには雑貨ショップやレストランが並ぶ。毎月第3日曜日にはフリーマーケットが立ち、露天の出店やアボリジニの民族楽器「ディジリドゥ」のパフォーマンスなども開かれ、大勢の人で賑わう。
NSW州北部はビーチや雨林がはぐくむ自然、リゾート、そして個性的な街など、多様な客層にあった素材が点在する有望なエリアといえるだろう。JQ就航による注目の高まりにあわせ、客層にあった素材を踏まえ、ユニークなドライブ旅行を提案したい。
ジェットスター航空のゴールドコースト便で新たな旅行可能に
昨年12月18日にジェットスター航空は成田/ゴールドコースト便を開始。これにより首都圏からゴールドコーストへのアクセスが格段に便利なっただけでなく、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州北部への観光もさらに身近になった。ゴールドコーストはクイーンズランド(QLD)州の南端にあり、空港自体がQLD州とNSW州に分かれている場所にある。NSW州といえばシドニーが中心だが、空港を基点にすれば新たなNSWの魅力をめぐることができる。おすすめは、フライ&ドライブ。NSW州北部には海、山、そして独特の文化など、ゴールドコーストとは異なるユニークな観光素材があふれている。
空港そのものも、見どころのひとつ
ゴールドコースト中心のサーファーズ・パラダイスから南へ車でおよそ30分、ゴールドコースト空港の敷地はQLD州のクーランガッタとNSW州のツィードヘッドに分かれている。州境を走るボンダリー・ストリートも中央分離帯を挟んで片側車線がQLD州、反対車線がNSW州に分かれ、海に面した突きあたりに州境のモニュメント「ポイント・オブ・デンジャー」がある。
州境といっても、当然ながら同じオーストラリア。国境ではないので移動に何の支障もない。しかし、夏時間(10月〜3月)は要注意だ。夏時間を採用しているNSW州に対して、QLD州は不採用。道路を挟んだだけで1時間の時差が出てくる。夏にゴールドコースト空港に到着した日本人観光客は、まずこの「ポイント・オブ・デンジャー」に立って、その不思議な感覚を味わうことが多いようだ。
FITからグループまで、幅広い層にアピール可能な素材
サーファーズ・パラダイスから南へおよそ45分、広大な土地に広がる「トロピカル・フルーツ・ワールド」はドライブの途中に立ち寄るのにぴったりの観光素材だ。アボガド栽培から開始され、現在では500種類以上のフルーツが栽培されている。園内はトラムでまわり、それぞれのフルーツやこの土地の特徴の説明を受けながら、南国フルーツの試食も可能。園内には子ども向けのアトラクションが整う公園もあるほか、BBQランチを楽しめるなど、特にファミリー層にぴったりの場所。アボガドのオイルを抽出して作られたオリジナルのソープやボディオイルも、お土産として人気がある。
また、マッドクラブ(泥カニ)の釣りツアーも名物。ツィードヘッドは内陸から流れ出るツィード川が太平洋に注ぐ肥沃な土地で、その河口のデルタには多種多様の野鳥や動物が生息し、その代表的なのが沼地に生息するマッドクラブ(泥カニ)。これを観光資源として、数社の現地オペレーターが泥カニ釣りのツアーを催行しているのだ。
このツアーは釣りを楽しむだけでなく、60種類近い野鳥が生息する地帯を巡るため、自然体験的なクルーズとしても人気が高い。船をチャーターすることもできるので、ドライブで訪れたFITだけでなく、インセンティブや修学旅行などさまざまなグループにも対応することが可能だ。
個性的なビーチで遊び、ラグジュアリー・リゾートに泊まる
ゴールドコーストからツィードヘッドを抜けてさらに南に走ると、サーフスポットとして有名で、個性的な若者文化が興味深いバイロンベイに着く。白浜のビーチに面した街は小さいながらも、アートギャラリーやスタイリッシュなレストラン、カフェなどが並び、歩いているだけで楽しい。その開放的で自由な空気は、観光客で賑わうサーファーズ・パラダイスとは異なる清々しさだ。
街の中心から15分ほど離れた場所にある大人の隠れ家的リゾート「ザ・バイロン・アット・バイロン・リゾート&スパ」も注目したい。広い敷地内には、エコ・フレンドリーというコンセプトのもと、周辺の自然と見事に調和したスイートルームが点在する。各部屋にはキッチンも付いており、長期滞在も可能。プライベートアクセスのビーチも近く、プール、スパ、ジムなど、リゾートには欠かせない施設も整う。
同リゾートのジェネラル・マネージャーのリン・パーチェ氏は「ジェットスターのゴールドコースト/成田便の開設はうれしいこと」と、今後、日本人宿泊者が増えることに期待を示す。空港から車で約1時間というアクセスを考えれば、新たなリゾート・デスティネーションとして人気を集めそうだ。
このほか、街からおよそ10分の位置にあるケープバイロン灯台も見どころのひとつ。白亜の美しい灯台が、青い太平洋を背景にして映える。キャプテン・クックゆかりのこの岬はオーストラリア最東端。灯台から岬の突端までは遊歩道が整備され、途中に立つ最東端を示す表示は絶好のフォトポイントだ。灯台まではカーブが続き、道も広くないが、スピードを出さなければ何の問題もない。灯台の前には駐車場(有料)も完備されているので、ゆっくりと岬を散策することもできる。バイロンベイの街から灯台を訪れることができるのもドライブの旅ならでは。レンタカーの機動性を十分に発揮できる場所だ。
大自然の恵みを心、体で体験
NSW州北部に広がる多雨林地帯。その圧倒的な自然を体験するなら、ウォーニング山がおすすめだ。この山は、オーストラリア中東部多雨林保護区群としてユネスコ世界遺産に指定されている地域の一部。ゴールドコーストからおよそ1時間と気軽に訪れることができる。ウォーニング(Warning)とは、オーストラリア大陸を発見したキャプテン・クックが周辺海域での座礁を避けるため、この山が見えたら注意するようにと「警告」の意味で名付けたもの。その尖った独特の形状は「ポイント・オブ・デンジャー」からもよく見える。山頂までは往復約9キロメートル、変化に富んだ登山道が続く。本格的なトレッキングに挑戦しなくても、駐車場から200メートルほど続くライアーバード・ルックアウトまでの遊歩道を歩けば、この地帯独特の自然の一端を観察することは可能だ。
麓には魅力的な宿泊施設やレストランも点在する。3つのコテージからなる「ウランビン・パームス・リトリート」は、カップルだけを受け入れるというユニークな宿泊施設。各コテージは、『Air』『Water』『Earth』という異なるコンセプトのもとラグジュアリーな滞在を提供。大自然の中、静かに2人で時を過ごしたい、ハネムーナーにぴったりの場所だ。
ウォーニング山から30分ほど南に下ると、ニンビンという街に出る。ヒッピー文化が色濃く残る刺激的な街だ。街自体は小さいが、メインストリートには雑貨ショップやレストランが並ぶ。毎月第3日曜日にはフリーマーケットが立ち、露天の出店やアボリジニの民族楽器「ディジリドゥ」のパフォーマンスなども開かれ、大勢の人で賑わう。
NSW州北部はビーチや雨林がはぐくむ自然、リゾート、そして個性的な街など、多様な客層にあった素材が点在する有望なエリアといえるだろう。JQ就航による注目の高まりにあわせ、客層にあった素材を踏まえ、ユニークなドライブ旅行を提案したい。
オーストラリアでのドライブの注意点
オーストラリアは日本と同じ左側通行。しかも、総
じて道幅は広く運転しやすい。ひとつ注意しておきた
いのが、日本にはない「ラウンドアバウト」という交
差点の仕組みだ。このロータリーでは時計回りの一方
通行。右側から来る車(すでにロータリーに入ってい
る車)に優先権がある。
また、夜間のドライブにも注意。オーストラリアは
夜行性の動物が飛び出してくる場合が多く、特にカン
ガルーは車のライトに向かって飛び出してくる習性がある。動物のサインがある場合は特
に注意力を高めて運転することが必要。
レンタカーの借り方、返し方はアメリカなどと同じだが、各社ともオーストラリアの営
業所で通用する免許証翻訳サービスは行っていないので、レンタカーを借りる場合は国際
免許を取得する必要がある。また、カーナビも現在のところ英語表記/音声のみだ。
取材協力:オーバーシーズトラベル、エイビスレンタカー、ジェットスター航空(JQ)、
ニュー・サウス・ウェールズ州政府観光局
取材:山田友樹