観光活性化フォーラム
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JATA金井会長、09年は追い風を最大限活用−協会のあり方も精査、深化へ

  • 2009年1月8日
 日本旅行業協会(JATA)会長の金井耿氏は1月7日、2009年について「基本的には(環境が)厳しいが、燃油サーチャージの値下げや円高傾向の追い風をどう活かしていくか」がポイントと強調した。追い風をつかむための具体的な方策は、観光庁との連携やビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)、チャーター便の利用促進など。「景気の動向は変わりそうになく、雇用の問題もあって旅行マインドは冷え込んでいる」なかで、「できることを一つでも多く実施し、状況を切りひらいていく」考え。

 燃油サーチャージは、「(このまま推移すれば)4月以降はゼロに近い額、あるいは撤廃もあり得る」状況で、「燃油サーチャージによって減退した需要を取り返すことを考えなくてはならない」と強調。燃油サーチャージの影響が大きいヨーロッパの需要喚起などの「仕掛け」を進める方針を示した。また、燃油価格の動向によっては「燃油サーチャージの制度自体が必要か検証し、お願いすべきところはお願いする」と、撤廃の要望の可能性も示唆した。

 また、チャーター便については、「国土交通省と観光庁への要望の結果、満額回答に近い規制緩和をしてもらった以上、それを有効に使うことが役割」であることから、制度の活用を進める方針。具体策としては、会員各社が参加し、「新しい枠組みでどのようなビジネスモデルがあり得るのか」を議論するケーススタディの研究会を設置する方針。制度を運用する上で障害が明らかになった場合に、観光庁や航空局、航空会社と情報を共有できる場の設定も検討中だ。また、複数の旅行会社が共同でチャーターする場合に、リスクを個別に負担するのではなく、共同仕入のように販売した座席数に応じて利益とリスクを配分するような仕組みづくりも検討しているという。


▽「会員各社からJATAへの要望が変化する可能性」への対応も模索

 金井氏は、「会員各社は、今までで最大の厳しさを実感しており、今後、JATAに対する要望がこれまでより厳しくなる可能性がある」と指摘した。要望は、例えば、ゼロコミッションの問題や国際航空運送協会(IATA)との関係についての対応方法などが考えられるという。要望の内容は各社の立場によって異なる可能性があり、「全てに対応はできない」ものの、できることに関しては「はっきりとした対応」をしていく方針。先ごろに、日系航空会社に対してゼロコミッションの撤回を要望したこともこの一環で、今後は、「1つ1つの事柄についてこまめに意見を聞き、対応していく」考えだ。