観光活性化フォーラム
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JTBF、2009年の海外旅行者数は続減の1520万人を予想−回復は10年半ば以降か

  • 2008年12月18日
 財団法人日本交通公社(JTBF)は12月17日に旅行動向シンポジウムを開催、2008年の海外旅行者数の見込みが前年比7.5%減の1600万人、2009年が08年の見込みから5.0%減の1520万人との予想を示した。また、国内宿泊旅行は2008年が1.0%減、2009年が2.5%減、インバウンドは2008年が2.1%増の852万人、2009年が3%減の825万人の予想。JTBF主任研究員の黒須宏志氏は、JTBFの独自調査の結果をもとに、金融危機により株価の値下がりなどの影響を受け、60代以上の旅行に対する積極性が2007年に比べて急減したことを説明。現在は30代と50代が昨年を上回っているものの、今後実体経済への影響が本格的に出始めれば、50代以下の積極性減退も避けられないという。

 また、若年層を中心とした正規雇用比率が低下するなかで、景気後退の結果「派遣切り」も起きており、「二極化がさらに進み、旅行に行く人はますます行き、行かない人はもっと行かなくなる」可能性があるという。また、海外旅行渡航者数は、以前はGDPの規模との連関性が見られたものの、9.11とSARS以降、景気が拡大しても旅行者増に結びついてこなかった。しかし、2007年からの景気後退には連動して減少していると考えられ、2009年の1520万人の予想はGDP成長率がマイナス5.0%で推移した場合のもので、GDP成長率がマイナス7.2%となると、1490万人まで落ち込む可能性もあるという。

 旅行市場の回復の見通しとしては、バブル崩壊など、過去の旅行会社の取扱額のマイナス成長期を分析すると、底を打つまでに1年ほど、プラス成長に転じるには2年から3年かかるという。特に海外旅行市場では、景気後退により新たに海外旅行のリピーターになり得る層が減少し、市場の成長余力がさらに削がれ、2008年の水準に回復するまでの時間が伸びる可能性もある。海外旅行消費単価は、2006年、2007年と増加してきたが、09年は下落傾向を示す予想で、取扱人数と金額も2008年に続いて下がる見込みだ。

 ただし、短期的には、燃油サーチャージの値下がりや円高により需要が喚起され、増加する方面もあるとしている。具体的には、長距離デスティネーションの欧州が復調する一方、現在好調な韓国を含む近場のアジアはマイナス基調を予想。中国は今年の低迷から反転し、増加する予測だ。