教育旅行、旅行会社への期待高まる−学習指導要領改定で産業観光に脚光

キャリア教育とは、単なる職業設計ではなく、勤労観・職業観を育成し、自分の将来設計を促して生きる力、意欲を向上し、自己実現と社会創造をめざすもの。3月に改定された小学校、中学校の新学習指導要領、および今年中に改定が予定される高等学校の新学習指導要領ではキャリア教育が含められており、小学校では平成23年、中学校と高等学校では平成24年から全面実施となる。生活、仕事に関連した体験、総合的な学習によって体得していくことが重要であることから、人間の生業そのものを対象とする産業観光がキャリア教育の大きな役割になり、その実践の場として教育旅行で産業観光を取り入れる学校が増えることが予想される。
ただし、産業観光は「ニューツーリズム」とも呼ばれる新しい観光形態であり、教育旅行で実施するにあたっては産業側にビジネスモデルがないこと。学校側にとっても産業側への交渉に手間がかかること、両者間の認識のギャップや情報発信の不足などの課題がある。そのため河上氏は「今後、キャリア教育が推進され、産業観光、教育旅行が重要な役割をになうことは確実」とし、旅行会社には「学校のニーズと受け入れる産業側とのマッチングができるように営業能力を高めないと、教育旅行での旅行会社の将来はない。双方にアドバイスできる能力が必要だ」と強調した。