ツアーの総額表示、JTBは6ヶ月の設定を理想−NHのIT運賃検討で各社対応は?

  • 2008年8月4日
 先ごろ、全日空(NH)が 2009年4月以降はツアー代金の総額表示ができる運賃の導入を検討していることを明かしたことで、総額表示をしやすい運賃の登場が現実味を帯びてきた。これを受け旅行会社、とりわけホールセールとリテールの間で、総額表示によるコミッション額の設定の議論や、燃油サーチャージの徴収を店頭以外で実施するなどのアイディアもあり、幅広いレベルで対応が検討されている。現在のところ、総額表示に向けたIT運賃の検討を表明したのがNHの1社のみで、他の航空会社のスタンスが揃わない可能性がある。その場合、「単発商品であれば良いが、期首商品など多商品を含めたパンフレット展開の場合、各商品の表示やお客様に対する説明をどうしたらいいか」(某ホールセーラー)という問題がでてくる。

 ジェイティービー(JTB)では、6ヶ月固定の総額表示をめざす。「旅行者が早くに予約したいというニーズがあり、値段が分からなければ安心感がない」とし、「旅行会社やホテル、航空会社など提供側の事情のために、消費者目線からずれた形にしたくない」と強調する。現在、燃油サーチャージの目安額の近接表示を開始したが、これでも消費者に「分かりにくい」との声も寄せられており、「消費者の目線を外れたら売れない」との考えが強い。

 現在は、航空会社に対する仕入交渉と平行し、社内で旅行商品における総額表示に向けた方法を検討している。例えば、燃油サーチャージ額が決定している場合だけを商品化するのか、現行の3ヶ月毎の燃油サーチャージ額の申請が変更ない場合は、商品体系や造成の期間を変えるのか。さらに、6ヶ月間のパンフレットを出すが、金額が決まっていない期間の旅行代金は空白とし、後日差し込むか、など方法はさまざまある。このため、「旅行会社間でやり方がまちまちになっても仕方がない」との考えで、この点では消費者に分かりにくくなる可能性もある。ただし、JTBでは先導して交渉し、できるだけ早期に総額表示のめどをたて、広く発表したい考えだ。



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