現地レポート:グアム ホテルのアップグレードが力強く進行
ホテルのアップグレードが力強く進行
ファミリー層から富裕層まで楽しめる多彩なリゾートへ
日本から3時間半。気軽に行ける近場のデスティネーションのグアムは、ファミリー層や若者層向けというイメージがあるが、最近では同行者の多い海外ウエディングのデスティネーションとしても定着してきた。さらに、週末の息抜きにふらりと訪れる女性層も増えている。受け入れ面でもホテルのリノベーションや新しいチャぺルの建設が続き、多様な目的で滞在できる場所へと進化している。5月下旬に開催された「ハファデイ・スタディ・ツアー2008」で、参加した旅行会社スタッフとともに現状と今後の展望を探った。(取材協力:グアム政府観光局)
滞在にあわせたホテルの選択肢が広がる
グアムでは、2006年にオープンしたヒルトンの「タシ・クラブ」や、昨年オープンした「シェラトン・ラグーナ・グアム・リゾート」など、ワンランク上のクオリティの高いホテルの開設が続いている。これにより、ファミリー層だけでなくハネムーナーや女性客、シニア層、富裕層といった幅広い客層から支持されるようになった。さらに、多様な旅行形態にあったホテルも登場し、この数年でグアムの宿泊施設のイメージは大幅に変化した。スタディ・ツアーでは、その大きな目的にホテル視察をあげる人が多く、ホテルの進化に対する旅行会社の期待もうかがえた。
なかでも参加者の反響が高かったのが「グアム・プラザホテル」。もともとタモン地区の中心という立地条件と手ごろな値段が人気であったが、現在ではモダンなデザインのカジュアルホテルに変身。最近は週末にふらりと旅行する若い女性客を獲得し、リピーターも増加している。部屋全体のグレードアップに加え、日本人にあわせた小さめの歯ブラシ、ドライヤーの完備など、アメニティの質を向上した。ツアー参加者からも「以前と比べて綺麗になった」、「自信を持って薦められる」と評判は上々。同ホテルのセールス&マーケティングディレクターの岩本邦浩氏は「値段に対する満足感を高めていく」と、エコノミーホテルとしての位置づけのまま満足度を向上させる方針を説明。今年の1月に全504客室のリノベーションを終了しており、8月にはロビーの改装も完了する予定だ。
このほか、「フィエスタ・リゾート・グアム」も女性客の取り込みをめざし、サウスウイング8階のレディースウィングルーム11室で、今年4月からヘアーアイロンやハーブティー、アクセサリー用のトレイなどアメニティを充実。ビーチフロントには新たに、8月の完成に向け3階建てのバーベキュー・スペースを建設中で、恋人岬を見下ろすような景観とともに食事を楽しめるようにするという。一方、前出のシェラトン・ラグーナ・グアム・リゾートは今年7月、「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったともいわれるアルパット島で、バナナボートやジェットスキー、シュノーケリングができるプランをスタートする予定で、「島遊びができるシェラトン」としてアピールしていく。
また、今年4月にリニューアルオープンした「グアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパ」は、「空と海に包まれた最上級のラグジュアリーリゾート」がコンセプトの高級志向のホテル。グアムホテルオークラから名前を変更したもので、現在、施設の増改築が実施しており、年内には旧アイランドインの約200の客室を68室のスイートに改装し、オープンする予定。日本風の浴室やミニキッチンを備えた客室もあり、ファミリー層や長期滞在者の需要をねらう。このほか、専用のプライベートプール、またはジャグジーを設置するラグジュアリー・ヴィラ約20棟も建設中で、来年に完成する予定。同ホテルを含め、高級志向のホテルに対して、好感触を得た参加者が多かったようだ。
個性のあるスパが増加、ハイクオリティのリラックス体験を
スパの新規オープンやリノベーションも盛ん。各ホテルでは滞在中、スパで癒しの空間を体感してもらおうと、こだわりのあるプログラムを有した特徴的なスパを併設。スタディ・ツアーのワークショップでも、ブースでマッサージを提供するパフォーマンスやエージェント・ディスカウントを用意するなどの積極的なアプローチで、スパを売り込もうとする熱意が伝わってくる。
スタディ・ツアーの参加者の大半が20代の女性で、自由時間を使った体験にエージェント・ディスカウントで島内のスパを利用する人が多く、「リラックスできた」「癒された」と、施設やサービスの質に満足していたようだ。今回は数あるスパのなかから、グアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパが4月1日にソフトオープンした「弁天スパ・アウロラ」を試してみた。
このスパでは、温めた玄武岩を使ったトリートメントや特製のアロマテラピーオイルを使用したマッサージなど各種プログラムを用意。グアムではここだけという、温めたホットベッドでのマッサージは、すぐに眠りにつけるほど心地良い。施術後にはフルーツやゼリー、ジンジャーティーのサービスがあり、窓の外に広がる美しい海を間近に感じながら、ティータイムを満喫。心身ともにリラックできる優雅な時間が楽しめた。
今年オープンしたものの、すでに旅行者の人気を得ているスパもある。「パシフィック・アイランド・クラブ・グアム」(PIC)に今年3月、オープンした「ジバーナ(JIIVANA)スパ」を現地で予約しようとしたところ、既に予約でいっぱいだった。「精神に宿る生命力」をテーマとしたグアム初のウェル・ビーイング・スパ(自然治癒力をよみがえらせるスパ)で、ヨガや瞑想を取り入れながら心と体のバランスを整え、体の内部から綺麗にしていく各種プログラムを提供しており、それぞれ資格をもった専門のスタッフが担当。
人気のコースはツアー出発前の早めに予約することが望ましいという。この好評を受け、同スパでは9月をめどに現在の6部屋から10部屋へと拡大する予定だ。
一連の視察を終え、スタディ・ツアー参加者の20代の女性から「グアムはちょっと高級なホテルに滞在してスパを体験し、買物を楽しみ、のんびり過ごせるデスティネーションだ」という感想が聞こえた。旅行業界の現場で活躍する若手から、グアムのイメージ向上の姿を実感する意見があったのは、今後のグアムの商品やセールス展開に新たな動きにつながると期待できるだろう。
チャペルとプランで競争力増すウエディング
グアム政府観光局は重要市場の一つであるウエディングについて、2005年に1万組だった利用者を1万5000組に増やす方針だ。日本から3時間半で到着し、時差が少なく、招待客を式に招きやすい点がグアムウエディングの人気の秘密で、同行者は平均10名から15名と多い。日本人スタッフや日本語を話せるスタッフも充実しているほか、招待客や新郎新婦が楽しめるアクティビティの豊富さも強みだ。
海外ウエディングを希望するカップルはチャペルにこだわりを持つケースが多い。こうしたニーズにあわせ、グアムでは近年、タモン湾を中心に新しいチャペルがオープン。グアムの魅力である海を活用したオーシャンビューはもちろんのこと、それぞれコンセプトを持ち、特徴的なプランを考案して差別化をはかっている。
昨年11月にヒルトン・グアム・リゾート&スパにオープンした「アクアステラチャペル」は、アールイズ・ウエディングが運営するチャペル。水と星のイメージの演出が特徴で、バージンロードには天の川をイメージしてスワロフスキーをちりばめ、誓いの砂を器に注ぐというチャペル独自のプログラム「星砂合わせの儀式」もある。また、新郎新婦の入場前と式後の披露宴でアニバーサリーフィルムを流すなど、同行者を意識した演出も魅力のひとつだ。ツアーでは模擬挙式がおこなわれ、美しい聖歌とともに、牧師による誓いの儀式を見学。実際に現場で式の様子を見ると具体的なイメージがわき、海を目前にした美しい景色のなかでの特別な挙式が人気であることを実感した。
「シェラトン・ラグーナ・ホワイトアロウチャペル」も、アールイズ・ウエディングが運営するチャペル。2枚の天使の羽がハガニア湾に舞い降りた、というコンセプトで、式のクライマックスには白い羽が天井から舞い降る演出や、年配の方でも座りやすいように配慮したやわらかめのベンチシートなど、細部にまでこだわったチャペルだ。アールイズ・ウエディングの2つのチャペルは夜のウエディングも実施しており、ライトアップされたチャペルは日中よりもさらにロマンチックなムードが際立つ。
このほか、今年8月にはグアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパに新しいチャペル「グアムチャペル〜オーシャン&シンフォニー」と3室のパーティールームが完成する予定。クチュールナオコのプロデュースによるもので、木を多用したインテリアが特徴。ドイツ製のパイプオルガンが奏でる音色を聞きながらの挙式が可能だ。
それぞれのチャペルを見比べると、外観では似ている部分があるかもしれないが、内装や式の進行、コンセプトにそれぞれの独自性がうかがえる。他のデスティネーションと比較しても、グアムでのウエディングが従来以上に、特徴付けられたように思える。
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◆グアム政観、ハファデイ・スタディ・ツアー開催、質の向上と新イメージ強調(2008/06/16)
ファミリー層から富裕層まで楽しめる多彩なリゾートへ
日本から3時間半。気軽に行ける近場のデスティネーションのグアムは、ファミリー層や若者層向けというイメージがあるが、最近では同行者の多い海外ウエディングのデスティネーションとしても定着してきた。さらに、週末の息抜きにふらりと訪れる女性層も増えている。受け入れ面でもホテルのリノベーションや新しいチャぺルの建設が続き、多様な目的で滞在できる場所へと進化している。5月下旬に開催された「ハファデイ・スタディ・ツアー2008」で、参加した旅行会社スタッフとともに現状と今後の展望を探った。(取材協力:グアム政府観光局)
滞在にあわせたホテルの選択肢が広がる
グアムでは、2006年にオープンしたヒルトンの「タシ・クラブ」や、昨年オープンした「シェラトン・ラグーナ・グアム・リゾート」など、ワンランク上のクオリティの高いホテルの開設が続いている。これにより、ファミリー層だけでなくハネムーナーや女性客、シニア層、富裕層といった幅広い客層から支持されるようになった。さらに、多様な旅行形態にあったホテルも登場し、この数年でグアムの宿泊施設のイメージは大幅に変化した。スタディ・ツアーでは、その大きな目的にホテル視察をあげる人が多く、ホテルの進化に対する旅行会社の期待もうかがえた。
なかでも参加者の反響が高かったのが「グアム・プラザホテル」。もともとタモン地区の中心という立地条件と手ごろな値段が人気であったが、現在ではモダンなデザインのカジュアルホテルに変身。最近は週末にふらりと旅行する若い女性客を獲得し、リピーターも増加している。部屋全体のグレードアップに加え、日本人にあわせた小さめの歯ブラシ、ドライヤーの完備など、アメニティの質を向上した。ツアー参加者からも「以前と比べて綺麗になった」、「自信を持って薦められる」と評判は上々。同ホテルのセールス&マーケティングディレクターの岩本邦浩氏は「値段に対する満足感を高めていく」と、エコノミーホテルとしての位置づけのまま満足度を向上させる方針を説明。今年の1月に全504客室のリノベーションを終了しており、8月にはロビーの改装も完了する予定だ。
このほか、「フィエスタ・リゾート・グアム」も女性客の取り込みをめざし、サウスウイング8階のレディースウィングルーム11室で、今年4月からヘアーアイロンやハーブティー、アクセサリー用のトレイなどアメニティを充実。ビーチフロントには新たに、8月の完成に向け3階建てのバーベキュー・スペースを建設中で、恋人岬を見下ろすような景観とともに食事を楽しめるようにするという。一方、前出のシェラトン・ラグーナ・グアム・リゾートは今年7月、「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったともいわれるアルパット島で、バナナボートやジェットスキー、シュノーケリングができるプランをスタートする予定で、「島遊びができるシェラトン」としてアピールしていく。
また、今年4月にリニューアルオープンした「グアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパ」は、「空と海に包まれた最上級のラグジュアリーリゾート」がコンセプトの高級志向のホテル。グアムホテルオークラから名前を変更したもので、現在、施設の増改築が実施しており、年内には旧アイランドインの約200の客室を68室のスイートに改装し、オープンする予定。日本風の浴室やミニキッチンを備えた客室もあり、ファミリー層や長期滞在者の需要をねらう。このほか、専用のプライベートプール、またはジャグジーを設置するラグジュアリー・ヴィラ約20棟も建設中で、来年に完成する予定。同ホテルを含め、高級志向のホテルに対して、好感触を得た参加者が多かったようだ。
個性のあるスパが増加、ハイクオリティのリラックス体験を
スパの新規オープンやリノベーションも盛ん。各ホテルでは滞在中、スパで癒しの空間を体感してもらおうと、こだわりのあるプログラムを有した特徴的なスパを併設。スタディ・ツアーのワークショップでも、ブースでマッサージを提供するパフォーマンスやエージェント・ディスカウントを用意するなどの積極的なアプローチで、スパを売り込もうとする熱意が伝わってくる。
スタディ・ツアーの参加者の大半が20代の女性で、自由時間を使った体験にエージェント・ディスカウントで島内のスパを利用する人が多く、「リラックスできた」「癒された」と、施設やサービスの質に満足していたようだ。今回は数あるスパのなかから、グアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパが4月1日にソフトオープンした「弁天スパ・アウロラ」を試してみた。
このスパでは、温めた玄武岩を使ったトリートメントや特製のアロマテラピーオイルを使用したマッサージなど各種プログラムを用意。グアムではここだけという、温めたホットベッドでのマッサージは、すぐに眠りにつけるほど心地良い。施術後にはフルーツやゼリー、ジンジャーティーのサービスがあり、窓の外に広がる美しい海を間近に感じながら、ティータイムを満喫。心身ともにリラックできる優雅な時間が楽しめた。
今年オープンしたものの、すでに旅行者の人気を得ているスパもある。「パシフィック・アイランド・クラブ・グアム」(PIC)に今年3月、オープンした「ジバーナ(JIIVANA)スパ」を現地で予約しようとしたところ、既に予約でいっぱいだった。「精神に宿る生命力」をテーマとしたグアム初のウェル・ビーイング・スパ(自然治癒力をよみがえらせるスパ)で、ヨガや瞑想を取り入れながら心と体のバランスを整え、体の内部から綺麗にしていく各種プログラムを提供しており、それぞれ資格をもった専門のスタッフが担当。
人気のコースはツアー出発前の早めに予約することが望ましいという。この好評を受け、同スパでは9月をめどに現在の6部屋から10部屋へと拡大する予定だ。
一連の視察を終え、スタディ・ツアー参加者の20代の女性から「グアムはちょっと高級なホテルに滞在してスパを体験し、買物を楽しみ、のんびり過ごせるデスティネーションだ」という感想が聞こえた。旅行業界の現場で活躍する若手から、グアムのイメージ向上の姿を実感する意見があったのは、今後のグアムの商品やセールス展開に新たな動きにつながると期待できるだろう。
チャペルとプランで競争力増すウエディング
グアム政府観光局は重要市場の一つであるウエディングについて、2005年に1万組だった利用者を1万5000組に増やす方針だ。日本から3時間半で到着し、時差が少なく、招待客を式に招きやすい点がグアムウエディングの人気の秘密で、同行者は平均10名から15名と多い。日本人スタッフや日本語を話せるスタッフも充実しているほか、招待客や新郎新婦が楽しめるアクティビティの豊富さも強みだ。
海外ウエディングを希望するカップルはチャペルにこだわりを持つケースが多い。こうしたニーズにあわせ、グアムでは近年、タモン湾を中心に新しいチャペルがオープン。グアムの魅力である海を活用したオーシャンビューはもちろんのこと、それぞれコンセプトを持ち、特徴的なプランを考案して差別化をはかっている。
昨年11月にヒルトン・グアム・リゾート&スパにオープンした「アクアステラチャペル」は、アールイズ・ウエディングが運営するチャペル。水と星のイメージの演出が特徴で、バージンロードには天の川をイメージしてスワロフスキーをちりばめ、誓いの砂を器に注ぐというチャペル独自のプログラム「星砂合わせの儀式」もある。また、新郎新婦の入場前と式後の披露宴でアニバーサリーフィルムを流すなど、同行者を意識した演出も魅力のひとつだ。ツアーでは模擬挙式がおこなわれ、美しい聖歌とともに、牧師による誓いの儀式を見学。実際に現場で式の様子を見ると具体的なイメージがわき、海を目前にした美しい景色のなかでの特別な挙式が人気であることを実感した。
「シェラトン・ラグーナ・ホワイトアロウチャペル」も、アールイズ・ウエディングが運営するチャペル。2枚の天使の羽がハガニア湾に舞い降りた、というコンセプトで、式のクライマックスには白い羽が天井から舞い降る演出や、年配の方でも座りやすいように配慮したやわらかめのベンチシートなど、細部にまでこだわったチャペルだ。アールイズ・ウエディングの2つのチャペルは夜のウエディングも実施しており、ライトアップされたチャペルは日中よりもさらにロマンチックなムードが際立つ。
このほか、今年8月にはグアム・アウロラ・リゾート・ヴィラ&スパに新しいチャペル「グアムチャペル〜オーシャン&シンフォニー」と3室のパーティールームが完成する予定。クチュールナオコのプロデュースによるもので、木を多用したインテリアが特徴。ドイツ製のパイプオルガンが奏でる音色を聞きながらの挙式が可能だ。
それぞれのチャペルを見比べると、外観では似ている部分があるかもしれないが、内装や式の進行、コンセプトにそれぞれの独自性がうかがえる。他のデスティネーションと比較しても、グアムでのウエディングが従来以上に、特徴付けられたように思える。
注目高まる新テーマ、チャモロ文化
ビーチリゾートとして名高いグアムだが、近年は歴史
や文化に対する関心が高まってきている。先住民であ
るチャモロ人の遺跡が残るラッテストーン公園や伝統
文化が体験できるチャモロ文化村といった、文化を体
験できる場所が島内に点在しており、グアムに訪れる
観光客の17%にあたるシニア層や修学旅行で訪問する
学生層の需要が増加しているようだ。
局長のジェラルドS.A.ペレズ氏は、現在グアムにある
19の村に個々の村の文化や自然といった特徴を生かし
たアクティビティを作るよう働きかけており、文化や
歴史をさまざまな形でアピールしていく考え。今後の
グアム観光では、文化や歴史がクローズアップされて
いくことだろう。
▽関連記事
◆グアム政観、ハファデイ・スタディ・ツアー開催、質の向上と新イメージ強調(2008/06/16)