大韓航空、サンパウロ線が復活、南米とアジアを結ぶルートの大幅拡大に期待
大韓航空サンパウロ線が復活
南米とアジアを結ぶルートの大幅拡大に期待
大韓航空は6月2日、2001年の9.11テロ以来、運休していた仁川/サンパウロ線を7年ぶりに復活した。今回、新たに組まれたタイムスケジュールは、ロサンゼルス(LAX)での乗り継ぎ時間が大幅に縮小され、日本/ブラジル間がこれまでより近くなるという。「アジアと南米を結ぶ路線」と位置づけられたこの路線を利用して、日本人のブラジル移住100周年のまさに記念式典がおこなわれた期間に、日本/ブラジルの交流にわく現地を訪れた。
仁川経由でアジアネットワークに強み
韓国からはフルフライトも
ブラジルを訪れる場合、経由地のアメリカ以遠の予約がとりにくくなっているという。今年はブラジル日本移民100周年を機に、両国で「日本ブラジル交流年」と定め、特にブラジルでは全土でさまざまなイベントが開催されており、旅行者だけでなくブラジル移民による各県の県民会が日本から関係者を呼び寄せるなど、相互の往来が活発になっていることも理由のひとつだろう。そのような時、大韓航空(KE)が7年ぶりにサンパウロ線を復活させ、南米への新たなルートが「誕生」した。実際に搭乗した6月18日の往路ではエコノミークラスからプレステージクラスまで満席、復路の6月26日にはエコノミークラスは6割ほど、プレステージクラスは9割ほどで日本人の利用客も見受けられ、運航開始直後としては上々の滑り出しという印象をうけた。
仁川国際空港からロサンゼルスを経由し、サンパウロへ向かうこの路線は、ロサンゼルスからサンパウロへの唯一の直行便となる。さらに、仁川、ロサンゼルスともに乗り継ぎ時間が短く、比較的早く南米に到着できるのが特徴だ。仁川で乗り継ぐことを考えても、例えば東京からソウルまでKE002便を利用し、ロサンゼルス経由サンパウロ行きのKE061便へ乗り継ぐ場合、乗り継ぎ時間はわずか1時間20分。空港の拡大とリノベーションを進めた仁川国際空港は、電車を使って移動するターミナルが新たにできたが、韓国籍の航空会社を利用する場合は同一ターミナル内で乗り継ぎとなる。移動距離が短いので、あわてることもなく、乗り継ぎはスムーズだ。
KEではロングフライトとなる仁川/サンパウロ線は、プレステージ、およびファーストクラスを中心に販売していきたいと考えている。KEは現在、日本の13都市から仁川へのフライトを運航しており、路線網の多さはこの路線を販売していく上での強みだ。在日ブラジル人が多く働く北関東や浜松、愛知からの集客が見込めるほか、九州発の場合は、日本国内の空港ではなく仁川を経由することで乗継を含む飛行時間が短くなり、南米、北米ともに近くなった感がある。この先は「アジアと南米を結ぶ路線」として、中国や台湾など、ほかのアジア各国からの乗り継ぎ客も見込めるだろう。
また、成田発の場合、ソウル経由ではなく、KE001便を利用してロサンゼルスで乗継をするスケジュールも利用できるが、こちらの場合はロサンゼルスでの乗継時間が約10時間ある。KEではこの乗り継ぎを利用する旅客に対し、同一フライトで希望者が合計5名以上になった場合、利用クラスに関係なく無料でハリウッドやビバリーヒルズ、チャイナタウンなどを巡るランチつきのシティツアーサービスを提供する。事前にリクエストする必要があり、出発15日前までに旅行会社を通じてKEに希望を伝える必要がある。
ツアー参加者はロサンゼルスに到着の際、「Transit(乗り継ぎ)」ではなく「Arrival(到着)」へ行き、入国審査を経て荷物をピックアップする。その後、指定場所でツアー催行会社のスタッフと待ち合わせし、荷物を再びチェックインしてから、ツアーへ出かけるという手順だ。ツアーに参加しない旅客は、利用クラスにかかわらずビジネス/ファーストクラス専用のスカイチームラウンジを利用することができる。長時間の移動にはうれしいサービスだ(下段コラム参照)。
機内で言葉の通じる安心感
エンターテイメントも日本語が充実
KEの客室乗務員は全員、訓練の段階から日本語教育を受けており、どの路線でも日本語での対応ができるという外資系航空会社としては珍しいサービスを提供している。日本路線はもちろん、仁川からロサンゼルスまで、あるいはロサンゼルスでの乗り換え時の案内、そしてロサンゼルスからサンパウロまでの機内でも、日本語によるサービスが受けられる。機内をはじめ、ビジネス/ファーストクラス専用のスカイチームラウンジやシティ・ツアーの参加などの空港の外に出る場合でも、一部で日本語の案内があり、不安要素は抑えられている。
仁川発のKE061便はロサンゼルスでの待ち時間が約4時間のため、KEではトランジット・ラウンジの利用を薦めている。スカイチームラウンジを利用したい場合は、シティ・ツアー・サービスの利用時と同じ手順になるため、やはり事前にリクエストしておくと良いだろう。ただし、トランジットだけの場合、セキュリティ・チェックがないが、ラウンジ利用のため、空港のセキュリティ・エリアから外に出ると手荷物検査があり、機内販売等で液体物を購入して持っている場合、没収される可能性があるので、注意したい。
さらに、日本人にとってうれしいことは、経由地以遠は英語と目的国のプログラムばかりになってしまいがちの機内エンターテイメントも、KEでは日本路線と同じプログラムを導入。目的地に着くまで飽きることなく映画やショートプログラムを楽しむことができる。機内での過ごし方はこの便を利用する一つの魅力だ。機内食には必ず韓国料理のチョイスがあるのも、特に復路でご飯が恋しくなる人にはメリットだろう。
また、ポルトガル語を話すクルーがロサンゼルスから1名搭乗する。KE今後は、約30万人といわれる在日ブラジル人、そして在米ブラジル人をも同路線のターゲットに据えており、機内エンターテイメントの導入についても現在、検討中を進めているという。
ブラジル人が米国を経由して帰国する場合、経由するだけでもビザの取得が必要なため敬遠する向きも多く、ヨーロッパや中東経由を利用する場合もある。ただし、アジアの航空会社ならではの細やかなサービスを好む需要も想定され、それをメリットとして薦めるポイントとなるだろう。このほか、日本各地の地方都市からソウルへのフライトがあり、地方発では成田、関空だけでなくソウルの経由とすることで移動にかかる総時間が少なくなる。さらに、一部の路線ではシティ・ツアーでロサンゼルスを垣間見ることができることなど、アピールするポイントは十分にある。
◆現地レポート:ブラジル 人気3都市を巡る旅(2008/07/08)
南米とアジアを結ぶルートの大幅拡大に期待
大韓航空は6月2日、2001年の9.11テロ以来、運休していた仁川/サンパウロ線を7年ぶりに復活した。今回、新たに組まれたタイムスケジュールは、ロサンゼルス(LAX)での乗り継ぎ時間が大幅に縮小され、日本/ブラジル間がこれまでより近くなるという。「アジアと南米を結ぶ路線」と位置づけられたこの路線を利用して、日本人のブラジル移住100周年のまさに記念式典がおこなわれた期間に、日本/ブラジルの交流にわく現地を訪れた。
仁川経由でアジアネットワークに強み
韓国からはフルフライトも
ブラジルを訪れる場合、経由地のアメリカ以遠の予約がとりにくくなっているという。今年はブラジル日本移民100周年を機に、両国で「日本ブラジル交流年」と定め、特にブラジルでは全土でさまざまなイベントが開催されており、旅行者だけでなくブラジル移民による各県の県民会が日本から関係者を呼び寄せるなど、相互の往来が活発になっていることも理由のひとつだろう。そのような時、大韓航空(KE)が7年ぶりにサンパウロ線を復活させ、南米への新たなルートが「誕生」した。実際に搭乗した6月18日の往路ではエコノミークラスからプレステージクラスまで満席、復路の6月26日にはエコノミークラスは6割ほど、プレステージクラスは9割ほどで日本人の利用客も見受けられ、運航開始直後としては上々の滑り出しという印象をうけた。
仁川国際空港からロサンゼルスを経由し、サンパウロへ向かうこの路線は、ロサンゼルスからサンパウロへの唯一の直行便となる。さらに、仁川、ロサンゼルスともに乗り継ぎ時間が短く、比較的早く南米に到着できるのが特徴だ。仁川で乗り継ぐことを考えても、例えば東京からソウルまでKE002便を利用し、ロサンゼルス経由サンパウロ行きのKE061便へ乗り継ぐ場合、乗り継ぎ時間はわずか1時間20分。空港の拡大とリノベーションを進めた仁川国際空港は、電車を使って移動するターミナルが新たにできたが、韓国籍の航空会社を利用する場合は同一ターミナル内で乗り継ぎとなる。移動距離が短いので、あわてることもなく、乗り継ぎはスムーズだ。
KEではロングフライトとなる仁川/サンパウロ線は、プレステージ、およびファーストクラスを中心に販売していきたいと考えている。KEは現在、日本の13都市から仁川へのフライトを運航しており、路線網の多さはこの路線を販売していく上での強みだ。在日ブラジル人が多く働く北関東や浜松、愛知からの集客が見込めるほか、九州発の場合は、日本国内の空港ではなく仁川を経由することで乗継を含む飛行時間が短くなり、南米、北米ともに近くなった感がある。この先は「アジアと南米を結ぶ路線」として、中国や台湾など、ほかのアジア各国からの乗り継ぎ客も見込めるだろう。
また、成田発の場合、ソウル経由ではなく、KE001便を利用してロサンゼルスで乗継をするスケジュールも利用できるが、こちらの場合はロサンゼルスでの乗継時間が約10時間ある。KEではこの乗り継ぎを利用する旅客に対し、同一フライトで希望者が合計5名以上になった場合、利用クラスに関係なく無料でハリウッドやビバリーヒルズ、チャイナタウンなどを巡るランチつきのシティツアーサービスを提供する。事前にリクエストする必要があり、出発15日前までに旅行会社を通じてKEに希望を伝える必要がある。
ツアー参加者はロサンゼルスに到着の際、「Transit(乗り継ぎ)」ではなく「Arrival(到着)」へ行き、入国審査を経て荷物をピックアップする。その後、指定場所でツアー催行会社のスタッフと待ち合わせし、荷物を再びチェックインしてから、ツアーへ出かけるという手順だ。ツアーに参加しない旅客は、利用クラスにかかわらずビジネス/ファーストクラス専用のスカイチームラウンジを利用することができる。長時間の移動にはうれしいサービスだ(下段コラム参照)。
機内で言葉の通じる安心感
エンターテイメントも日本語が充実
KEの客室乗務員は全員、訓練の段階から日本語教育を受けており、どの路線でも日本語での対応ができるという外資系航空会社としては珍しいサービスを提供している。日本路線はもちろん、仁川からロサンゼルスまで、あるいはロサンゼルスでの乗り換え時の案内、そしてロサンゼルスからサンパウロまでの機内でも、日本語によるサービスが受けられる。機内をはじめ、ビジネス/ファーストクラス専用のスカイチームラウンジやシティ・ツアーの参加などの空港の外に出る場合でも、一部で日本語の案内があり、不安要素は抑えられている。
仁川発のKE061便はロサンゼルスでの待ち時間が約4時間のため、KEではトランジット・ラウンジの利用を薦めている。スカイチームラウンジを利用したい場合は、シティ・ツアー・サービスの利用時と同じ手順になるため、やはり事前にリクエストしておくと良いだろう。ただし、トランジットだけの場合、セキュリティ・チェックがないが、ラウンジ利用のため、空港のセキュリティ・エリアから外に出ると手荷物検査があり、機内販売等で液体物を購入して持っている場合、没収される可能性があるので、注意したい。
さらに、日本人にとってうれしいことは、経由地以遠は英語と目的国のプログラムばかりになってしまいがちの機内エンターテイメントも、KEでは日本路線と同じプログラムを導入。目的地に着くまで飽きることなく映画やショートプログラムを楽しむことができる。機内での過ごし方はこの便を利用する一つの魅力だ。機内食には必ず韓国料理のチョイスがあるのも、特に復路でご飯が恋しくなる人にはメリットだろう。
また、ポルトガル語を話すクルーがロサンゼルスから1名搭乗する。KE今後は、約30万人といわれる在日ブラジル人、そして在米ブラジル人をも同路線のターゲットに据えており、機内エンターテイメントの導入についても現在、検討中を進めているという。
ブラジル人が米国を経由して帰国する場合、経由するだけでもビザの取得が必要なため敬遠する向きも多く、ヨーロッパや中東経由を利用する場合もある。ただし、アジアの航空会社ならではの細やかなサービスを好む需要も想定され、それをメリットとして薦めるポイントとなるだろう。このほか、日本各地の地方都市からソウルへのフライトがあり、地方発では成田、関空だけでなくソウルの経由とすることで移動にかかる総時間が少なくなる。さらに、一部の路線ではシティ・ツアーでロサンゼルスを垣間見ることができることなど、アピールするポイントは十分にある。
新装オープンのスカイチームラウンジ
エコノミークラスでも利用が可能
ロサンゼルス空港ではスカイチーム専用ラウンジが、約
6ヶ月間のリノベーションを経て、今年1月1日に新たにオー
プンした。白を基調とした清潔感のあるラウンジは、プレ
ステージ138席、ファースト22席。設備はシャワールーム、
マッサージチェア、無線LANなど、仁川国際空港にあるKEの
KALラウンジとほぼ同じ設備が整っており、快適に待ち時間
を過ごすことができる。成田発で仁川を経由せずに直接、
ロサンゼルスを経由してサンパウロへ向かうフライトを利用
する場合、エコノミークラスの利用客でもこのラウンジが利
用できるサービスがある。
このラウンジを利用する場合、「Transit(乗り継ぎ)」ではなく「Arrival(到着)
」の案内にしたがい、一度、アメリカに入国をする手続きが必要。アメリカでは乗り継
ぎでも出入国カードを提出するが、記載内容は一般の乗り継ぎやシティ・ツアー参加時
と同じように「米国内アドレス」の欄に「Transit for Sao Paulo」と記せばよい。荷
物をピック・アップし、再入国手続きをする手間があるが、KEスタッフによる案内があ
るため、事前にリクエストしておくとスムーズに移動ができる。荷物再チェックインす
る手間などがあるものの、サンパウロまでのロングフライトに向け、リフレッシュでき
ることは大きな特典となるだろう。
◆現地レポート:ブラジル 人気3都市を巡る旅(2008/07/08)