現地レポート:観光の幅広がったテキサス州に新商品の可能性を探る
カウボーイにモダンアート巡り、ショッピングが可能
観光の幅広がったテキサス州に新商品の可能性を探る
テキサス州への日本人訪問者数が増加している。アメリカへの日本人訪問者数が減少する中、2005年は6万9000人、2006年は9万5000人と着実に数を伸ばしており、テキサス州観光局では今年、10万人を目標人数に設定している。主要客はビジネス渡航で、2006年は日本人旅行者の75%。一方、レジャーは、南米方面の帰りに立ち寄るツアーがあるものの、テキサス周辺をメインに取りあげる商品はまだ少ない。そこでテキサス州および州内各都市の観光局は、観光目的での訪問を促すため、まずは、同州の知られていない観光資源の認知を拡大することで商品造成につなげたい考えだ。先日実施されたダラス、フォートワース、ヒューストンの3都市を対象にしたファムツアーから、従来のカウボーイを代表とする西部のイメージだけではない観光素材をレポートする。(取材協力:テキサス州観光局、ダラス観光局、フォートワース観光局、ヒューストン観光局)
進化を続けるダラス−アートを活かし、感性を刺激する街
ダラスでは現在、大規模な再開発プロジェクトが進められている。特にアートに関連する施設の建設が特徴的だ。ダウンタウンには、工場の廃墟などをリノベーションしたおしゃれな店やレジデンスが増え、各地から若い世代が移り住んでいる。例えば、総工費30億米ドル以上のプロジェクトを進めているビクトリーパーク地区には、ダラスに本社を置き、東京ミッドタウンにも出店している高級チョコレート「NOKA」が、まるでギャラリーのような店舗を構える。通りに並ぶアパレルショップもそれぞれに工夫を凝らしたディスプレイをしており、作品の一部のようだ。
日本ではダラスというと、「芸術」とつながるイメージは薄いかもしれない。しかし、実際には本格的な芸術の街としての顔をもつ。例えば1983年には、文化的な機関への施設提供と芸術のコミュニティを1ヶ所にまとめたアート地区を設けており、これはアメリカで最大規模を誇る。ロダンやイサム・ノグチといった世界有数のモダン・コンテンポラリーのプライベートコレクションを揃えた「ナッシャー・スカルプチャー・センター」をはじめ、美術館やコンサートホールが集まるほか、2009年にはオペラハウスや劇場を含む「ダラス・パフォーミング・アーツ・センター」が完成する。このほか、アート地区だけではなく、ダウンタウンなど至る所で優れたデザインに触れられる。ダラスの再開発は2013年まで様々な地域で計画されており、訪れるたびに異なる表情を見せるおもしろい時期だといえる。
芸術でもうひとつ注目したいのは、ダラスのダウンタウンから電車で約1時間のフォートワースにある「フォートワース現代美術館」。こちらは安藤忠雄が手掛けた施設で、常設展示コーナーと企画展示コーナーがあり多くの作品を所有する。また、1階のカフェにはテラス席があり、水辺に建つ美術館の外観を眺めながら食事が楽しめる。現代美術、アジアやラテンを専門に扱う美術館、音楽と幅広いジャンルの作品を効率よく周れ、芸術鑑賞を旅の目的にあげる人も増えつつある中で、商品の企画に検討する余地が
あるのではないだろうか。
スポーツ観戦、豊富なショッピング施設が充実したヒューストン
アメリカ第4の都市であるヒューストンには、巨大モールの「ギャラリア」を中心としたショッピング施設が充実している。ギャラリアには350店以上が入り、中にはテキサス州のお土産を集めた店のほか、ニーマンマーカス、ノードストローム、メイシーズともつながっている。店舗によって異なるが午後9時ごろまで営業しており、ゆっくり買い物が楽しめる。さらに施設内にはアイススケートのリンクもあり、テキサスの夏の日差しの厳しい中でも利用できるのもユニーク。また、海沿いの都市らしくガルベスト湾沿いにシーフードレストランや遊園地がある「キイマー・ボードウォーク」というスポットもあり、家族旅行でも楽しめる。
市内では近年デザインホテルが増加しており、元は銀行だった建物をリノベーションした「アイコン」や、館内を新進気鋭の写真家たちの作品で飾る「ザザ」など、若い世代に人気の高い個性的なインテリアと質の高いサービスを提供する。そのほか、メジャーリーグの球団で現在、松井稼頭央選手が所属している「ヒューストン・アストロズ」の本拠地であるミニッツメイドパークもあり、観戦ツアーをメインにしたツアーの可能性も考えられるだろう。ここでは球状内を見学するボールパークツアーも実施されているので、試合観戦と組み合わせて本場の雰囲気を堪能したい。
新たな魅力と定番の人気スポットの共存
このほか、定番の人気スポットも忘れてはならない。ジョン・F・ケネディ元大統領が暗殺された地であるダラスには、暗殺際に発砲した地点?といわれる教科書倉庫の建物が当時の資料を展示した「シックスス・フロア・ミュージアム」となっているほか、フォートワースには馬に乗ったカウボーイが実際に往来する「ストックヤード歴史保存地区」、ヒューストンのNASA公式の「スペースセンター・ヒューストン」など、これまで人気の観光スポットもあわせてこそ、テキサスらしさのある旅行が提供できるといえるだろう。
また、ヒューストンの場合は、観光スポットのスペースセンター、キイマー、ショッピング施設と、ホテルが集まるダウンタウンなどスポットが広い市内の異なる地区に位置しており、旅程の組み方によって所要日数が変わってくる。例えばスペースセンターでは、日本語の説明は館内の案内パンフレットだけなので、ガイドが説明をしながらじっくりまわると、その後は中心地のホテルに近いショッピングセンターで自由時間をとって1日が終了する行程が考えられる。ゆったりした旅程でじっくりまわるか、ポイントを出来るだけ多くまわるのか、ターゲットが求めるものにあわせて調整が必要だ。
さらに、今回訪問した3都市のほか、近隣都市との組み合わせも可能性として挙げられる。イメージを裏切らない歴史のある街並みが保存されている一方で、街は進化を続け活気に満ちており、旅程次第で観光の魅力をどれほど伸ばせるのか、期待できるだろう。
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◆テキサス州政府観光局、レジャー増めざしビジネス渡航者向け観光資源紹介(2008/04/02)
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進化を続けるダラス−アートを活かし、感性を刺激する街
ダラスでは現在、大規模な再開発プロジェクトが進められている。特にアートに関連する施設の建設が特徴的だ。ダウンタウンには、工場の廃墟などをリノベーションしたおしゃれな店やレジデンスが増え、各地から若い世代が移り住んでいる。例えば、総工費30億米ドル以上のプロジェクトを進めているビクトリーパーク地区には、ダラスに本社を置き、東京ミッドタウンにも出店している高級チョコレート「NOKA」が、まるでギャラリーのような店舗を構える。通りに並ぶアパレルショップもそれぞれに工夫を凝らしたディスプレイをしており、作品の一部のようだ。
日本ではダラスというと、「芸術」とつながるイメージは薄いかもしれない。しかし、実際には本格的な芸術の街としての顔をもつ。例えば1983年には、文化的な機関への施設提供と芸術のコミュニティを1ヶ所にまとめたアート地区を設けており、これはアメリカで最大規模を誇る。ロダンやイサム・ノグチといった世界有数のモダン・コンテンポラリーのプライベートコレクションを揃えた「ナッシャー・スカルプチャー・センター」をはじめ、美術館やコンサートホールが集まるほか、2009年にはオペラハウスや劇場を含む「ダラス・パフォーミング・アーツ・センター」が完成する。このほか、アート地区だけではなく、ダウンタウンなど至る所で優れたデザインに触れられる。ダラスの再開発は2013年まで様々な地域で計画されており、訪れるたびに異なる表情を見せるおもしろい時期だといえる。
芸術でもうひとつ注目したいのは、ダラスのダウンタウンから電車で約1時間のフォートワースにある「フォートワース現代美術館」。こちらは安藤忠雄が手掛けた施設で、常設展示コーナーと企画展示コーナーがあり多くの作品を所有する。また、1階のカフェにはテラス席があり、水辺に建つ美術館の外観を眺めながら食事が楽しめる。現代美術、アジアやラテンを専門に扱う美術館、音楽と幅広いジャンルの作品を効率よく周れ、芸術鑑賞を旅の目的にあげる人も増えつつある中で、商品の企画に検討する余地が
あるのではないだろうか。
スポーツ観戦、豊富なショッピング施設が充実したヒューストン
アメリカ第4の都市であるヒューストンには、巨大モールの「ギャラリア」を中心としたショッピング施設が充実している。ギャラリアには350店以上が入り、中にはテキサス州のお土産を集めた店のほか、ニーマンマーカス、ノードストローム、メイシーズともつながっている。店舗によって異なるが午後9時ごろまで営業しており、ゆっくり買い物が楽しめる。さらに施設内にはアイススケートのリンクもあり、テキサスの夏の日差しの厳しい中でも利用できるのもユニーク。また、海沿いの都市らしくガルベスト湾沿いにシーフードレストランや遊園地がある「キイマー・ボードウォーク」というスポットもあり、家族旅行でも楽しめる。
市内では近年デザインホテルが増加しており、元は銀行だった建物をリノベーションした「アイコン」や、館内を新進気鋭の写真家たちの作品で飾る「ザザ」など、若い世代に人気の高い個性的なインテリアと質の高いサービスを提供する。そのほか、メジャーリーグの球団で現在、松井稼頭央選手が所属している「ヒューストン・アストロズ」の本拠地であるミニッツメイドパークもあり、観戦ツアーをメインにしたツアーの可能性も考えられるだろう。ここでは球状内を見学するボールパークツアーも実施されているので、試合観戦と組み合わせて本場の雰囲気を堪能したい。
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このほか、定番の人気スポットも忘れてはならない。ジョン・F・ケネディ元大統領が暗殺された地であるダラスには、暗殺際に発砲した地点?といわれる教科書倉庫の建物が当時の資料を展示した「シックスス・フロア・ミュージアム」となっているほか、フォートワースには馬に乗ったカウボーイが実際に往来する「ストックヤード歴史保存地区」、ヒューストンのNASA公式の「スペースセンター・ヒューストン」など、これまで人気の観光スポットもあわせてこそ、テキサスらしさのある旅行が提供できるといえるだろう。
また、ヒューストンの場合は、観光スポットのスペースセンター、キイマー、ショッピング施設と、ホテルが集まるダウンタウンなどスポットが広い市内の異なる地区に位置しており、旅程の組み方によって所要日数が変わってくる。例えばスペースセンターでは、日本語の説明は館内の案内パンフレットだけなので、ガイドが説明をしながらじっくりまわると、その後は中心地のホテルに近いショッピングセンターで自由時間をとって1日が終了する行程が考えられる。ゆったりした旅程でじっくりまわるか、ポイントを出来るだけ多くまわるのか、ターゲットが求めるものにあわせて調整が必要だ。
さらに、今回訪問した3都市のほか、近隣都市との組み合わせも可能性として挙げられる。イメージを裏切らない歴史のある街並みが保存されている一方で、街は進化を続け活気に満ちており、旅程次第で観光の魅力をどれほど伸ばせるのか、期待できるだろう。
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