観光活性化フォーラム
観光活性化フォーラム

JATA、09年上期商品で“新IT運賃”を−燃油サーチャージで航空会社に要望書

  • 2008年5月12日
 日本旅行業協会(JATA)は、日本に乗り入れる航空会社に「燃油サーチャージ問題解決のための要望について」と題した要望書を、海外旅行委員長の佐々木隆氏の名前で提出した。5月7日には日本航空(JL)と全日空(NH)の各社長宛てに郵送したほか、5月9日からは外航60社の日本担当責任者宛てに郵送を順次、開始した。

 要望書にはJATAの基本スタンスとして、(1)解決策は旅行業者や航空会社の都合ではなく、「お客様の目線」での改善を最優先させること、(2)燃油サーチャージの代金徴収業務が発生しないような解決策をはかること、(3)従来主張していた「サーチャージ制度」を廃止し、本体運賃への一本化を要望することを盛り込んだ。その上で、具体的な問題解決策として(1)サーチャージ込みの旅行商品造成用運賃「新IT運賃」の設定、(2)公示運賃に対する、総額表示の実施と代行徴収に対する対価の支払いの要望、(3)幼児に対する燃油サーチャージの廃止、(4)説明責任を果たすべき航空会社側の広報活動や周知方法の改善を求めた。

 このうち、新IT運賃については、遅くとも2009年上期の商品に対し、設定することを要望。また、原油の高騰や暴落に対応する双方のリスクヘッジの仕組み構築が必要との認識を示しつつ、商品造成・企画・販売サイクルにあわせて6ヶ月単位の契約運賃とするように明記した。


▽今後は旅行会社と航空会社が個々に交渉、7月以降の動きに注目

 新IT運賃の設定に向けて、業界団体であるJATAが各航空会社と具体的な協議をすすめることは独占禁止法に抵触するため、今後は旅行会社の航空会社に対する仕入交渉で、個々にアプローチしていくことになる。来上期の商品造成に向けた企画と仕入交渉は7月ごろからスタートすることが多く、早ければその頃から航空会社と旅行会社の交渉が活発化し、道筋が見えはじめることだろう。ただし、近年はIT運賃の決定が12月以降にずれ込むことが多く、新IT運賃が形となって見えてくるのは、その頃になりそうだ。まずは市場のシェアを握るJLとNHの日系2社がIT運賃に燃油サーチャージを含めることに対し、どのような考え方を示すのか。そのスタンスに注目が集まる。


▽航空局や観光事業課に要望も

 一方、JATAは航空局に対し、3月7日の要望書提出で伝えたとおり、今回の問題解決策は旅行商品造成用のIT運賃に絞った対応であることの理解を求めると共に、新IT運賃は燃油サーチャージを含む仕入運賃とし、現行の燃油サーチャージは公示運賃のみに適用とするルールの検討を求める。また、観光事業課に対しては、広告表示方法の改善策を通達に反映することに加え、旅行会社がサーチャージ込みの旅行商品を造成できるよう、通達の見直しの検討を要望していく。


▽関連記事
JATA、航空局に燃油サーチャージで要望−鈴木局長「下がらない分の組み込みを」(2008/03/10)