インフルエンザなど感染症対策、知識もって最大限備えるべき−JTBセミナー
ジェイティービー(JTB)と日本渡航医学会は2月14日、企業の業務渡航や人事などの担当者、教育機関の事務担当者らを集め、「海外渡航における新型インフルエンザ・麻疹(はしか)対策セミナー」を開催した。大流行の可能性が指摘され続ける「新型インフルエンザ」や、若者を中心に流行した麻疹などに、いかに備え、対処すべきか。講師として登壇した、国立感染症研究所感染症情報センター第2室(感染症情報室)室長の多田有希氏、労働者健康福祉機構海外勤務健康管理センター所長代理の濱田篤郎氏、日本航空インターナショナル健康管理室主席医師の大越裕文氏、ジェイアイ障害火災保険リスクコンサルティングセンター部長の酒井悦嗣氏の話をまとめた。
▽感染症とは?−「近づかない」ことが大前提
感染症とは、ウィルスや細菌などの病原体が体内に入り増殖した(感染)結果、症状が出た状態のこと。感染は、「感染源」と「感染経路」、「感染への免疫がないこと」の3点が揃うことで成立する。逆に言えば、このうち1点でも完全に対策がうてれば、感染しないということだ。「完全に」することは難しいが、個人レベルでも対処できる最も簡単な方法は「感染経路」の遮断で、感染源に近づかないことが大前提。「自分だけはかからないだろう」という考えで安易に近づくのは大きな間違い。マスクの着用や手洗い、うがいも基本的な予防法として再認識すべきだ。
▽新型インフルエンザ大流行−お客様を取り残させないためには
ひとくちにインフルエンザといっても、AからCまでの3つの型がある上、A型には144種類の亜種がある。これまで人間に感染しやすいと考えられたA型ウィルスは4種類であったが、144種類のうち、1つの遺伝子が変異して人間に感染するようになったものが「鳥インフルエンザ」だ。08年2月の時点での人への感染例は、患者数359人、死亡数226人で、患者数は氷山の一角も考えられている。 現在よく耳にする「新型インフルエンザ」は、鳥インフルエンザが変異したものを指している。研究者たちは、新型インフルエンザの大流行は「必ず起こる」と口を揃えるという。大流行すると、4日から7日程度で世界中に同時多発、伝播し、16億人から30億人が感染、死亡者は最低で500万人、最大5億人にのぼるとされる。オーストラリアのように国境閉鎖を検討する国もあり、航空機が運航停止する可能性もあるという。そのため、旅行客を現地に残さないようにするためには、早い段階での判断がポイントとなる。迅速に情報を入手するために有用なのが、国際感染症学会のウェブサイト(リンク)だ。06年5月の北スマトラでの集団発生時には、発生から18日後に発表があった。メディアでは20日後、世界保健機構(WHO)では24日後であった。
そうは言っても、業務渡航などで退避させにくい場合もあり得る。その場合の判断基準は、訪問国の医療環境やタミフルの備蓄率など対策の充実度が参考になる。残留した場合、途上国の多くでは、日本人が日ごろ受診する医療機関では対応が不可能な可能性がある。
▽日本は麻疹輸出国−ワクチン接種と免疫の英文証明書携帯が必須
麻疹(はしか)は、発疹や高熱、咳、下痢などの症状を伴うもので、インフルエンザ同様、脳炎などの合併症の危険もある。感染力もインフルエンザより数倍高い。世界ではアメリカやカナダなど、ほぼ根絶した国も多いが、日本は発展途上国並みの発症率で、「麻疹の輸出国」と呼ばれている。実際にアメリカでは、1996年から2003年の間に日本から44人の麻疹の患者を“輸入”している。2007年にも、修学旅行生がカナダで発症したほか、アメリカ人が訪日旅行後に発症している。旅行者が、あるいは旅行業界として必要なことは何か。それは、免疫の確認と免疫を証明する英文証明書の携帯だ。免疫検査で免疫がなかった場合は、ワクチンを接種しなければならない。2度接種する場合、1ヶ月期間をあけなければならないため、早めの対応が必要だろう。
▽旅行保険は「発病」しなければ補償対象外−特約の契約を
カナダの修学旅行のケースでは、免疫を証明できなかった生徒と教員の一部が免疫の検査結果が出るまで留め置かれたが、通常の旅行保険では、発病していない被保険者の超過滞在分は補償されない。このため、この部分も補償する「海外旅行保険特約」に契約することが望ましいという。また、保険という意味では、例えば新型インフルエンザが大流行した場合、医療用のチャーター便など、諸費用が通常期より大幅に向上する可能性もあり得るため、治療費と救援者費用が最大限補償されるよう掛け金を惜しむべきではない。
▽感染症とは?−「近づかない」ことが大前提
感染症とは、ウィルスや細菌などの病原体が体内に入り増殖した(感染)結果、症状が出た状態のこと。感染は、「感染源」と「感染経路」、「感染への免疫がないこと」の3点が揃うことで成立する。逆に言えば、このうち1点でも完全に対策がうてれば、感染しないということだ。「完全に」することは難しいが、個人レベルでも対処できる最も簡単な方法は「感染経路」の遮断で、感染源に近づかないことが大前提。「自分だけはかからないだろう」という考えで安易に近づくのは大きな間違い。マスクの着用や手洗い、うがいも基本的な予防法として再認識すべきだ。
▽新型インフルエンザ大流行−お客様を取り残させないためには
ひとくちにインフルエンザといっても、AからCまでの3つの型がある上、A型には144種類の亜種がある。これまで人間に感染しやすいと考えられたA型ウィルスは4種類であったが、144種類のうち、1つの遺伝子が変異して人間に感染するようになったものが「鳥インフルエンザ」だ。08年2月の時点での人への感染例は、患者数359人、死亡数226人で、患者数は氷山の一角も考えられている。 現在よく耳にする「新型インフルエンザ」は、鳥インフルエンザが変異したものを指している。研究者たちは、新型インフルエンザの大流行は「必ず起こる」と口を揃えるという。大流行すると、4日から7日程度で世界中に同時多発、伝播し、16億人から30億人が感染、死亡者は最低で500万人、最大5億人にのぼるとされる。オーストラリアのように国境閉鎖を検討する国もあり、航空機が運航停止する可能性もあるという。そのため、旅行客を現地に残さないようにするためには、早い段階での判断がポイントとなる。迅速に情報を入手するために有用なのが、国際感染症学会のウェブサイト(リンク)だ。06年5月の北スマトラでの集団発生時には、発生から18日後に発表があった。メディアでは20日後、世界保健機構(WHO)では24日後であった。
そうは言っても、業務渡航などで退避させにくい場合もあり得る。その場合の判断基準は、訪問国の医療環境やタミフルの備蓄率など対策の充実度が参考になる。残留した場合、途上国の多くでは、日本人が日ごろ受診する医療機関では対応が不可能な可能性がある。
▽日本は麻疹輸出国−ワクチン接種と免疫の英文証明書携帯が必須
麻疹(はしか)は、発疹や高熱、咳、下痢などの症状を伴うもので、インフルエンザ同様、脳炎などの合併症の危険もある。感染力もインフルエンザより数倍高い。世界ではアメリカやカナダなど、ほぼ根絶した国も多いが、日本は発展途上国並みの発症率で、「麻疹の輸出国」と呼ばれている。実際にアメリカでは、1996年から2003年の間に日本から44人の麻疹の患者を“輸入”している。2007年にも、修学旅行生がカナダで発症したほか、アメリカ人が訪日旅行後に発症している。旅行者が、あるいは旅行業界として必要なことは何か。それは、免疫の確認と免疫を証明する英文証明書の携帯だ。免疫検査で免疫がなかった場合は、ワクチンを接種しなければならない。2度接種する場合、1ヶ月期間をあけなければならないため、早めの対応が必要だろう。
▽旅行保険は「発病」しなければ補償対象外−特約の契約を
カナダの修学旅行のケースでは、免疫を証明できなかった生徒と教員の一部が免疫の検査結果が出るまで留め置かれたが、通常の旅行保険では、発病していない被保険者の超過滞在分は補償されない。このため、この部分も補償する「海外旅行保険特約」に契約することが望ましいという。また、保険という意味では、例えば新型インフルエンザが大流行した場合、医療用のチャーター便など、諸費用が通常期より大幅に向上する可能性もあり得るため、治療費と救援者費用が最大限補償されるよう掛け金を惜しむべきではない。