ハワイ体験レポート−その4 ワイコロアのペトログリフツアー
身近なショッピング・モールではるかなる歴史探索
〜ワイコロアのペトログリフツアー〜
ハワイのショッピング・モールでは、買い物以外の楽しみの提供に力を入れている。その一例がイベントやアクティビティの充実で、モールでの滞在時間を延ばし、モール自体を「プチ・ディスティネーション」化する取り組みが目立つ。今回はその最先端といえるワイコロア・ビーチ・リゾート内のショッピング・モール「キングス・ショップ」でのアクティビティを紹介する。土産物品やリゾートグッズ、ブランド品のショッピングやレストランでの飲食のみならず、古代めぐりツアーが楽しめる。
(現地取材:宮田麻未 写真:神尾明朗)
◆溶岩に刻まれた先史時代の伝承を体感する
先史時代のハワイには文字が無かったので、文化の継承は口承が中心だった。そして、もう一つ重要なのが岩に刻まれたペトログリフ(線刻岩絵)だ。ペトログリフは世界各地で見ることができるが、ハワイ島のように溶岩に刻まれたものは珍しい。ハワイ諸島の先史遺跡の半数以上はハワイ島にあるといわれており、ハワイ島北西部のコハラ海岸沿いに広がるワイコロア・ビーチ・リゾートの敷地内に残された溶岩原にも、驚くほど多様でパワフルなメッセージが刻み込まれたペトログリフが残されている。
実は、今回のハワイ島滞在で、私が最も期待していたのが、このペトログリフ見学。アリゾナやニューメキシコ、カナダのバンクーバー島やカナディアン・ロッキーの山中など、ペトログリフはいつでも私の想像力を心地よく刺激してくれ、簡単には消えない旅の思い出につながっている。
ペトログリフは通常、風化や落書きなどの破損を恐れるためか、周囲は柵などに囲まれていることが多い。しかし、ワイコロアではすぐそばまで近づいて、じっくりと観察できる。ペトログリフは先住民の文化や祭祀に深い関係を持つだけに、どのペトログリフも「パワースポット」としても大切にされてきた。ましてや島全体がパワースポットと言われるほどのハワイ島。保護区のトレイルを歩くだけで、不思議な「気」が体に満ちてくるように感じられた。
◆岩絵から伝わる古代の人々の躍動感
キングス・ショップスは、モールの建物の壁に先史時代のハワイの人々の豊かな暮らしを生き生きと描くなど、ショッピングをしながらハワイの文化や歴史、自然などに触れることをテーマにしている。ペトログリフ保護区へのガイド付ツアーもその取り組みの一つ。毎日一回、ハワイ人の専門ガイドと一緒に保護区をめぐり、ハワイの歴史や文化の特徴、ペトログリフに描かれたメッセージを読み解いていく。
ペトログリフ保護区に入るトレイルは、19世紀半ばに作られた「王の道」街道の一部。カメハメハ大王にゆかりのあるこの道は、カイルアとプアコを結んで、およそ50キロメートルも続いていた。両脇に詰まれた石は、荷物を積んだ馬やラバなどが溶岩原に足を踏み外さないようにとの工夫だそうだ。こげ茶色の溶岩の厚い層は、太古から続いてきた火山活動の膨大なパワーを実感させる。そこにまっすぐのびた歴史的街道、そしてその向こうに緑豊かなゴルフ場が広がっている光景は、不思議な一枚の絵を見るようだ。
数千以上もあるというペトログリフが集まっているエリアは、古代のコナ王国とコハラ王国の国境があったところだという。ペトログリフに描かれたものが何を意味しているのかというのはまだ定説があるわけではないが、その多くは国境を越える際の神々への敬意などを表現しているのではないかとされている。
ガイドのNさんは、大きな双胴船と見られる岩絵を示し、その周囲に星座を表すものがたくさん刻まれていると説明してくれた。ポリネシアの人々は、すぐれた航海術と星座から方角を知る能力を駆使して、南太平洋を広範囲に行き来していたという。それだけに、岩に刻まれた船の姿はとても力強く、漕ぎ手のかけ声が聞こえてくるような気さえするほどだ。もし、この岩に描かれた星座を見た後に、マウナケア山に登れば、スターゲイジングの星座観察が寄り深い感動を呼ぶことだろう。8世紀に海を越えてハワイにやってきた人も、きっと、あの満天の星を頼りに旅をしてきたのだろうから――。
▽関連情報
マウナケアのスターゲイジングツアー、体験レポートはコチラ
〜ワイコロアのペトログリフツアー〜
ハワイのショッピング・モールでは、買い物以外の楽しみの提供に力を入れている。その一例がイベントやアクティビティの充実で、モールでの滞在時間を延ばし、モール自体を「プチ・ディスティネーション」化する取り組みが目立つ。今回はその最先端といえるワイコロア・ビーチ・リゾート内のショッピング・モール「キングス・ショップ」でのアクティビティを紹介する。土産物品やリゾートグッズ、ブランド品のショッピングやレストランでの飲食のみならず、古代めぐりツアーが楽しめる。
(現地取材:宮田麻未 写真:神尾明朗)
◆溶岩に刻まれた先史時代の伝承を体感する
先史時代のハワイには文字が無かったので、文化の継承は口承が中心だった。そして、もう一つ重要なのが岩に刻まれたペトログリフ(線刻岩絵)だ。ペトログリフは世界各地で見ることができるが、ハワイ島のように溶岩に刻まれたものは珍しい。ハワイ諸島の先史遺跡の半数以上はハワイ島にあるといわれており、ハワイ島北西部のコハラ海岸沿いに広がるワイコロア・ビーチ・リゾートの敷地内に残された溶岩原にも、驚くほど多様でパワフルなメッセージが刻み込まれたペトログリフが残されている。
実は、今回のハワイ島滞在で、私が最も期待していたのが、このペトログリフ見学。アリゾナやニューメキシコ、カナダのバンクーバー島やカナディアン・ロッキーの山中など、ペトログリフはいつでも私の想像力を心地よく刺激してくれ、簡単には消えない旅の思い出につながっている。
ペトログリフは通常、風化や落書きなどの破損を恐れるためか、周囲は柵などに囲まれていることが多い。しかし、ワイコロアではすぐそばまで近づいて、じっくりと観察できる。ペトログリフは先住民の文化や祭祀に深い関係を持つだけに、どのペトログリフも「パワースポット」としても大切にされてきた。ましてや島全体がパワースポットと言われるほどのハワイ島。保護区のトレイルを歩くだけで、不思議な「気」が体に満ちてくるように感じられた。
◆岩絵から伝わる古代の人々の躍動感
キングス・ショップスは、モールの建物の壁に先史時代のハワイの人々の豊かな暮らしを生き生きと描くなど、ショッピングをしながらハワイの文化や歴史、自然などに触れることをテーマにしている。ペトログリフ保護区へのガイド付ツアーもその取り組みの一つ。毎日一回、ハワイ人の専門ガイドと一緒に保護区をめぐり、ハワイの歴史や文化の特徴、ペトログリフに描かれたメッセージを読み解いていく。
ペトログリフ保護区に入るトレイルは、19世紀半ばに作られた「王の道」街道の一部。カメハメハ大王にゆかりのあるこの道は、カイルアとプアコを結んで、およそ50キロメートルも続いていた。両脇に詰まれた石は、荷物を積んだ馬やラバなどが溶岩原に足を踏み外さないようにとの工夫だそうだ。こげ茶色の溶岩の厚い層は、太古から続いてきた火山活動の膨大なパワーを実感させる。そこにまっすぐのびた歴史的街道、そしてその向こうに緑豊かなゴルフ場が広がっている光景は、不思議な一枚の絵を見るようだ。
数千以上もあるというペトログリフが集まっているエリアは、古代のコナ王国とコハラ王国の国境があったところだという。ペトログリフに描かれたものが何を意味しているのかというのはまだ定説があるわけではないが、その多くは国境を越える際の神々への敬意などを表現しているのではないかとされている。
ガイドのNさんは、大きな双胴船と見られる岩絵を示し、その周囲に星座を表すものがたくさん刻まれていると説明してくれた。ポリネシアの人々は、すぐれた航海術と星座から方角を知る能力を駆使して、南太平洋を広範囲に行き来していたという。それだけに、岩に刻まれた船の姿はとても力強く、漕ぎ手のかけ声が聞こえてくるような気さえするほどだ。もし、この岩に描かれた星座を見た後に、マウナケア山に登れば、スターゲイジングの星座観察が寄り深い感動を呼ぶことだろう。8世紀に海を越えてハワイにやってきた人も、きっと、あの満天の星を頼りに旅をしてきたのだろうから――。
▽関連情報
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クィーンズ・マーケットプレイス、08年上期にグランドオープン
ワイコロア・ビーチ・リゾートは、550万平方メートル
の敷地に2つの大型リゾートホテル、コンドミニアム、2つ
のゴルフ場、ショッピング・モールなどが点在する複合リ
ゾートエリア。ここに2008年上期、「クィーンズ・マーケ
ットプレイス」がオープンする。「キングス・ショップス」
がDFSギャラリアをはじめとする高級志向なのに対し、道
を隔てて隣接するクィーンズ・マーケットプレイスは総合
食料品スーパーマーケット「アイランド・グルメマーケッ
ト」から多彩なエステメニューを揃えた「キング&クィー
ン・ドライスパ」まで、カジュアルなお店が並ぶ予定だ。
クィーンズ・マーケットプレイスも、キングス・ショップ
スと同じく、ハワイの多様な文化を“体験する場”を打ち
出す。例えば、店舗が並ぶエリアの西側には、4000人を収
容できる大規模な野外ステージを含む、カルチャー・ガー
デンが建設される。ここでは国際的なフラ・フェスティバ
ルやローカルや世界で活躍するアーティストのライブなど、
さまざまなイベントが催される予定だ。
すでに一部はオープンしており、ビショップ・ミュージア
ムの所蔵品を展示するコーナーや体験ワークショップのス
ペースも作られている。ローカルの人々と観光客の出会い
の場として楽しいところになりそうだ。ワークショップの
指導をしてくれるのは、笑顔がやさしい地元のシニア。
「急がないで、まあ、座っていっしょに作ろうよ」と声を
かけてくれた。
周辺の建物は、ハワイ王朝時代の女王や王女たちをモチーフにデザインしたものとか。
広々としたオープンスペースには、さわやかな海風が吹き抜け、ハイビスカスの花をゆ
らしている。ここでゆっくり地元の人と話をしながら、楽器を作って過ごすのは理想的
な「ハワイを感じる旅」になるだろう。もちろん、ハワイアンキルトやハンドメイドの
ハワイアン・ジュエリーのショッピングも十分楽しいものだ。